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預貯金を取り崩している消費の実態と景気回復の矛盾

マスコミでは景気回復などと報道されているが、どう考えても家計の実感とはかけ離れている。そこで、過去10年の家計消費(世帯支出)の実態を調べてみた。参照データはこちら→http://www.energia.co.jp/eneso/keizai/research/MR0606.pdf [1]

 

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まず、世帯(家計)の消費支出は、’91のバブル崩壊以降に減速し始め、’97を境にそれまでの上昇傾向から横ばいに転じており、何とか消費レベル(=生活レベル)を維持しているという結果だと思う。(個人的な実感ベースは節約・節制=消費縮小ですけど・・・)。

 その消費支出の中身(お金の出所)はというと、別データ(リンク先の図表25参照)を見ると、実収入以外の収入が伸びている。これは過去一貫して増加しているのだけれども、預貯金の取り崩しや有価証券の売却、クレジットカードによる消費だ。

 さらに、預貯金の対前年増減データを見てみると、’98年を境に急激に減少しており、先の預貯金の取り崩し状況を表している。このデータは全世帯を対象としているので、世代別の状況はわからないが、預貯金の多い年配層では特にその実感は当てはまるのでは無いだろうか。預貯金の少ない若年層はクレジットカードによる消費傾向が強いであろうことは容易に予想される。

 これらのことから家計(世帯)は、’97〜’98年以降、クレジットカードや貯金等を取り崩しながら生活(消費)を維持しているのが実態だといえそうだ。ただ、特に欲しいものがあるわけではないので、いま生活に窮しているという感覚の人は少ないだろう。

 一部企業の収益改善はあるだろうが、生活実感とかけ離れた景気回復を謳われても、政治家や官僚の誤魔化しでしかないことは、大半の人は気付いているのではないだろうか・・・

家計は貯金を取り崩し、国は借金(国債)を増やしながらの景気回復(?)が実態であり、まさに上辺だけの幻想経済といえる。景気回復を謳わなければならないのは、そのことで身分(人気)を確保したいという政治家の保身でしかない。いったいどこまで誤魔化し続けようというのか。(by:コスモス)

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