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食料自給率から見えてくるもの・・・!

世界の国別主要農水産物の自給率をみると、穀類、砂糖、いも、豆、野菜、果物、肉、卵、魚介が詳細に並んでいます。
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日本の自給率の低さは、誰しも漠然と不安視しているくらいの関心でしょうが、よく「腹が減っては戦ができない」と言われるくらい食料確保は本能と一体のものであり、とりわけ主食は世界の国々にとって国民の基本的な生存と生産活力を規定していると言えます。
そこで世界各国の主食である穀類(米、小麦)の自給率に注目して見て行くと、大半の国は60%〜242%の中で、日本、韓国、マレーシア、オランダ、アルジェリアの20%台、次にサウジアラビア34.8%、ポルトガルの32.8%と極端な数字に目が行きます。主食の穀類の自給率が、これほど低いのは、その国の気候、歴史、経済に、それぞれの事情がありそうです。


サウジ、アルジェリアは、砂漠地帯であるのと、豊富な石油、鉄鉱石によって貿易黒字を生み出し穀類の生産より消費の方が上回っていると言えます。マレーシアの22%は、お隣のタイの151%、インドネシアの84%と比べても頭を捻ってしまいます。これは、どうもイギリスの植民地時代に熱帯雨林の気候に目をつっけた大規模な天然ゴムのプランテーションによって国土の大半の農地が転用されたことに起因していると考えられます。

自給率の高いEU圏の中でオランダ、ホルトガルの二ヶ国は、特殊でUE圏の自給率の役割分担が行われていると思えます。オランダは、チュウリップで有名なように花木の歴史と野菜の自給率が高いことからEU圏の近郊農業として施設園芸部門の役割を担っていると思えます。ポルトガルは、ワイン生産で主食の輸入を賄う賄う体制になっているのではなかろうか思います。

そうなると最後に残った日本と韓国は、相当に特殊な要因がありそうです。

戦前までの富国強兵と食糧増産は国策として一体だったはずで、穀物の自給率は高いかったと思います。米に対する意識は、食生活の基礎であり、農家への感謝を含め躾の根本なっていました。
大きな転機は、戦争に負け急激な食糧難に陥った戦後だと思います。韓国も挑戦動乱による混乱期を日本と同じよう味わっています。食料確保は本能を直撃するわけで、戦後の食糧難を、日本も韓国もアメリカの食糧援助に頼らざるを得なかった歴史があります。アメリカの援助で、都市部は飢えを凌ぎ、子供は学校給食で育ち盛りの栄養補給を行ったきました。

一方で日本の農村は、米の大増産に励んできました。

しかしながら、アメリカにとって、有り余る小麦の生産量を長期的に裁く格好な市場戦略があり、米食中心の日本や韓国の国民に欧米の消費生活と食生活の習慣を植え付ける格好の機会であったと思います。それは、食物を通して歴史、文化、規範(感謝、躾)も同時に転換させる同化政策だった。

戦後の日本や韓国の国民は、従順に欧米の食文化や消費文化にあこがれを募らせていった。

小麦の市場拡大と米の増産運動との勝敗が着いてしまったのが、昭和43年から始まった米の減反政策である。それ以来、穀物自給率は急速に低下し20%台になってしまった。

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