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北朝鮮の経済って、どうなってるの?

[1]右はウィキペディアで拾ったNASAの衛星からの地球夜景写真の一部だ。白い部分は照明なのだが、朝鮮半島の辺り、ちょうど北緯38度を境に、南側の韓国がまるで海に浮いているように見える。「北朝鮮は平壌以外は闇であり、照明の電気も無いことが分かる。」ということらしい・・・。

先月核実験をやらかした後も、「6か国協議に日本はいらん!」とのたまったり、非常に精度の高いニセドル紙幣が見つかったりと、何かとお騒がせな北朝鮮。
実際、北朝鮮の経済状態は一体どうなっているのだろうか?


るいネットの便利データサイト [2]で、GDPや貿易収支などのデータを調べてみようとしたのだが・・・・。
・・・・無い。確かに、世界の主要市場とは縁遠い存在か。
とりあえずウィキペディアに戻って、基礎的な情報から押さえ直してみる。

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)
[3]
人 口(2004年):2,270万人(世界第48位)
GDP(2003年):228億5千万ドル(世界第98位)※PPP
1人当たりGDP  :1,000ドル
GDPは為替レートで換算しドル表示されている場合が多いが、北朝鮮ではこの情報が無い。しかも自国通貨表示のGDPもよく分からないらしい。上記の数字も、北朝鮮の発表ではなく、お隣の韓国銀行が“推定”したものだ。※ちなみにPPPは“購買力平衡説”と言って、どの国でも同じモノなら値段は等価になるという考え方に基づく計算のこと(実際の為替レートは必ずしもそうならない)。
日本の1人当たりGDPは29,400ドルだから、約30分の1だ。月給1万円。ちなみに隣国の韓国は17,700ドル、中国は5,600ドル、インドは3,100ドル。1,000ドルという数字は、世界最貧国に数えられているアフガニスタンやアフリカのエチオピアより少し上、カンボジアやネパールより少し下、というポジション。相当苦しい台所事情なのは事実のようだ。
kimu.bmp世間では、このような困窮状態に追い詰められたあげく、国家統合がガタガタになり、見境無くキレた金正日総書記(→)が無謀な愚挙に出たのが、昨今のミサイル発射や核実験の強行である、という見方も相変わらず多い。追い詰められているのは確かだろうが、金総書記がトチ狂っているという話は、果たして本当なのだろうか?

核実験直前、10月6日付けのNewsweek日本版の北朝鮮関連記事にこういうくだりがある。

私が見たかぎり、いま北朝鮮は安定しているし、首都の平壌では、これまでこの国を訪問した際には見られなかったほど活発に経済活動が行われていた。自動車や自転車、上等な服を着た人々を昔より多く見かけるようになったし、レストランや家族経営の店も増えた。それに何よりも、金儲けへの意欲がこれまでになく高まっていた。これは、改革により企業の自由裁量を拡大し、利益追求を奨励した結果だ。

平壌とは対照的に、地方の経済は停滞している。貧困に苦しんでいる地域も少なくない。だが、それが原因で金正日体制が揺らいでいるという事実はない。

また、とあるホームページ [4]によれば、北朝鮮当局の発表による95年の1人当たりGDPは、その4年後に韓国銀行が推定した数字の3分の1にも満たない。4年でGDPが3倍になるわけがないから、韓国銀行の推定がほぼ正しいとすれば、意図的な過少申告とも考えられる。
逆境に置かれた金正日は、実は我々の予想以上にしたたかに情勢を読み、計算ずくで物事を運んでいるのかも知れない。
(S.Tanaka)
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