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地上デジタル放送-背後に米国の覇権戦略

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12月1日から、全国の地上デジタル放送が開始された。地上デジタル放送のメリットは
(1)高品質な映像・音声サービス
(2)データ放送
(3)通信網と連携した高度な双方向サービス
(4)話速変換等の高齢者・障害者に優しいサービスの充実

などが挙げられるが、地デジ放送が提言される前に、以下のような米国の覇権戦略があったのである。
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NII(全米情報基盤)は米国のクリントン政権が推進する政策で、全米規模のコンピュータネットワークを構築し、社会基盤として利用する計画。NII構想の立役者であるゴア副大統領の父親は、議員時代に全米に高速道路網を整備する計画を立案したことで有名なことから、NIIのことを俗に「情報スーパーハイウェイ」と呼ぶこともある。NII構想では、2015年までに全米の企業、家庭、行政機関、教育・研究機関、医療機関などを結ぶ、社会基盤としての情報通信網を構築することが目標とされている。(引用もと [1]
ところが、日本の情報ハイウェイ構想(VI&P構想)をいち早く打ち出し(1990年)たのは日本の通産官僚とNTTの若手で、日本国内に光ファイバーを張り巡らせ、高速情報インフラを世界最高スピードにまで整備する。その情報伝達に呼応できる輸送手段のネットワークも同時に並行構築し、日本全土をネットワークで結んでしまうというものであった。
これに、ゴア副大統領は、大変な危機感を覚え、日本のNTTが打ち出したVI&P構想に強い衝撃を受けてNII構想(1993年2月発表)を思い立ったと言われている。
ゴアの父親も政治家で米国全土に高速ハイウェイを張り巡らし、全米のトラック輸送網を整備した実績を持っていた。息子も来るべき情報化社会において覇権国アメリカの実現の為に情報ハイウェイ構想を持っていた。しかし、日本のその構想がはるかにそれを上回っていたのである。そして、アメリカは国家ぐるみで日本の情報化を遅らせようと躍起になってくるのであった。引用もと [2]
現在、アメリカの年次改革要望書には、詳論1「電気通信」の項で 以下のような要望が出されている。
B. 調達。NTT地域会社などの支配的事業者による調達活動が公正に行われるよう、引き続き保証するために、米国は日本が以下の措置を取るべきであると提案します。
1. 日米両首脳への第3回報告書の中で触れられている「日米間のネットワーク回線終端装置(NCTE)(※3)に関する合意」が定める義務の改定について、広く一般にその是非を問い、意見を募集する期間を設けること。
※3 NCTE(ネットワーク回線終端装置)とはデジタルサービスにおいて電気通信事業者が提供する回線設備の終端装置のこと。
2. 標準化技術が大々的に導入されそうな調達案件の場合に、新技術が開発初期段階や商用試験段階で入札に参加することを制限しているNTTの現行制度を見直すこと。
3. 総務省が次世代インフラ技術要件に関する政策提言を行う場合には、その提言が必ずオープンで透明性の確保されたプロセスを経たものであるよう心がけること。
4.VoIP を始め、日本政府が電気通信サービスの調達を行う際には、外国の事業者も含むすべての供給者に対して公平に門戸を開放すること。

地上デジタル放送は、平成9年(1997年)6月、郵政省(現在は総務省)に設置された有識者等を構成員とする「地上デジタル放送懇談会」において検討が開始され、平成10年(1998年)10月にデジタルへの全面移行が提言されたが、その前から、米国政府の覇権戦略があり、今や米国が市場参入しやすいように日本に「市場開放」を迫るものと化してしまったということである。
BYシロハナミズキ

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