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「財務省 40年国債の発行検討」〜2045年問題への苦肉の策〜

kokusai.bmp [1]

財務省は償還までの期間が40年の国債を来年度下期にも発行する検討に入った。現在は30年が最も長く、40年債は初めて。今後、長期金利が上昇していく公算が大きく、種類を多様化して残高600兆円を超える国債の利払い負担を軽くする。年金基金などの需要を見込むほか、海外の投資家層を広げる狙いがある。(中略)
投資家の需要が強ければ発行を50年債にすることも視野に入れる。
(18年11月29日日経新聞)

長期金利上昇を見込んでの処置とは表向きの理由であり、超超長期国債を発行せざるを得ない切羽詰まった理由が政府にはある。
 
※償還までの期間が10年のものを「長期国債」、10年を超える国債を「超長期国債」と呼んでおり、既存の30年国債ですら充分長い。
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さて、ここで国債発行のルールを復習しよう。

ネットやテレビで10年ものの国債って言われていたから、なんとなく10年間で返されるものだと思っていたけど 国が10年で返す予定の借金を、60年かかって返しているなんって知らなかった!1年間では、実質借金の60分の1しか返してないことになってたんだ。
Financial Journal 2006.9.20 [2]

これは「60年償還ルール」といい、特別会計のひとつである「国債整理基金特別会計」を通じて行われているのだが、見かけ上の国債発行額を小さく見せかける粉飾決算と言っても過言ではない。
参考るいネット [3]
 
一般的に、国債発行額は毎年約30兆円と言われているが、一旦発行された国債はそれが2年債だろうが10年債だろうが、年限にかかわらず全て60年後まで自動的に借換されることになっている。たとえば、2年債が一旦発行されたらその後償還期限が来る度に30回借換債として発行される。
 
ところが、この借換のために発行される国債は、「30兆円」の中には含まれていない。
では、借換債も含めたトータルの国債発行額は、毎年どのくらいあるのだろうか。
 
 

’01年度 133兆円
’02年度 139兆円
’03年度 141兆円
’04年度 162兆円
’05年度 167兆円
’06年度 165兆円(あくまで予定)

財務省「国債発行計画」 [4]
 
 
60年償還ルールという誤魔化しをやっている以上、借換債の発行額は年々積み重なるばかり。60年償還ルールを設定したのが’85年、その60年後である2045年には、それまで表に出てこなかった膨大な借換債が満期を向かえて表面化しだすのである。
 
2045年まであと40年を切った現在、「2045年問題を回避するには、何としてでも40年以上の超超期国債を発行して借換債を減らしていかねばならない」これが、今回40年国債を発行する真の理由である。
 
 
それにしても、40年国債とか50年国債とか、誰が買うんかね。30年国債でさえ毎年2兆円しか買う人いないのに。積極的に買う動機があるとしたら・・・
 
「海外の投資家層を広げる狙いがある」の一文が妙に引っかかる。
 
 
by倭民

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