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クリスマスと日本経済

Xmas.jpg今日はX’mas。そこで、クリスマスにちなんだ記事を書いてみた。とはいえ、ここは一応「Fiancial Journal」なので、このイベントと日本の経済との関わり、経済に及ぼす影響という観点で少し調べてみた。
クリスマスはどのように日本の文化に根付き、我々はクリスマス騒ぎによって、日本のGDPにどのぐらい貢献しているのだろう?

ちなみに「X’mas」という綴りは日本独特の誤りで、正しくは「Xmas」か「X−mas」なのだそうだ。
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日本におけるクリスマスの歴史を少し振り返ってみる。
◆F・ザビエルが伝え、「明治屋」が広めた
日本で初めてのクリスマスは、1552年に現在の山口県周防において宣教師たちが日本人信徒を招いてのミサであった(注:クリスマスは“キリストのミサ”の意)。日本でクリスマスが受け入れられたのは、1900年(明治33年)に明治屋が銀座に進出し、クリスマス商戦が始まったことが大きな契機であった。1928年(昭和3年)の朝日新聞には「クリスマスは今や日本の年中行事となり、サンタクロースは立派に日本の子供のものに」と書かれるまでになっていた。(Wikipediaより)
◆「歯磨き粉」と「子ども福袋」の時代

初期のプレゼントの定番は「歯磨粉」だったようです。日露戦争後、急速に人々の間でクリスマスが広がっていきました。それは、西洋化をすることで「国際社会の一員」を意識するために必要だったようです。(中略)この頃、サンタクロースをヒントに「子供福袋」が登場してきます。(大晦日の晩に枕元に福袋を置いていまいた。24日で無いところがポイントです。)しかし、この習慣は次第に修正され、子供たちはクリスマスを「サンタが子供におもちゃをくれる日」というように理解するようになりました。

◆戦後は「Give me chocolate!!」のノリ

戦後の日本復興支援としてGHQは、クリスマスにサンタの格好をした人がキャンディを配ったり、パラシュートで空から舞い降りてくるなどのクリスマスイベントを開き人々に笑顔を与えました。この物資が乏しかった時代には「愛を贈る日」として広がっていきました。

(以上日本文化いろは事典 [1]より)
昭和23年には、GHQの「クリスマス恩赦」として、A級戦犯19名の釈放も行われている。
日本のクリスマスの歴史(年表) [2]
その後、日本経済が上向きになってくると、クリスマスは再び商業化を強め、やがて“子供たちのもの”であった日本のクリスマスは、恋愛の全盛期を経て、とりわけ山下達郎が「クリスマス・イブ」をヒットさせた80年代以降は、すっかり“カップルたちのもの”になってしまった。
予想通りというか当然ながらというか、日本のクリスマスは宗教的文化とは殆んど無関係に、物的欠乏恋愛という、まさに市場経済の原動力を象徴するイベントとして根付いてきたのだ。
◆さて、クリスマスの経済効果は・・・・?
クリスマスが及ぼす経済波及効果については、昨年12月に第一生命経済研究所が試算している。
クリスマスの生産波及効果 [3]」第一生命経済研究所より
このレポートによると、クリスマスによる生産波及効果は約1兆1千億円ほどになるらしい。試算方法は、クリスマスプレゼントの出費に関するアンケート(2002年)から贈物の直接金額を出し、各種産業への波及率を掛けるというもの。
すなわち、成人男女約1億人のうち半分が何らかのクリスマスプレゼントを購入し、その平均金額は男性1.8万円、女性1.2万円になる。そして、プレゼントの金額の約1.5倍が、食事や旅行、イベントなどといった付随生産として生み出される。この総計が1兆1千億円の総売上になる。
この1兆1千億円に「付加価値率 [4]」を掛けると、名目GDPの押し上げ効果約7400億円になるという計算だ。四半期のGDPへの貢献は0.6%である。ちなみにバレンタインデーの経済効果は約500億円、ワールドカップは700億円だそうで、試算が正しければ、圧倒的にクリスマスが勝っている。
◆大騒ぎの時代は既に去り・・・
2006年の今年はどうだろうか?昨年の上記レポートでは、アンケート実施時に比べ日本の株価等が上がっていることから、経済効果はもっと大きくなるのではないかとのコメントで結んでいる。
しかし、今年は神戸のルミナリエももう一つ盛り上がらなかったようだし、いざなぎを超える景気回復といっても、企業利益が個人消費には回っている状態ではない。何よりも、日本のクリスマス祭りを支えてきた物的欠乏と恋愛が、今ではすっかり衰弱してしまっているのだ。
イブを一緒に過す相手がいるのいないので一喜一憂してる若者がまだチラホラいるようだが、そんな時代はとうに過ぎ去ろうとしている。クリスマスの主役の座は子どもたちに返し、大人たちは、日本の八百万の精霊たちに静かに感謝する日ぐらいに止めておくのが良いのではないだろうか。
(s.tanaka)

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