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なぜ都市圏(東京、神奈川、愛知)おいてここ数年転入傾向が続いているのか

3大都市圏の転入超過数(転入人口マイナス転出人口)の推移をグラフを示す。
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1973年のオイルショックまでの高度成長期には、東京圏、大阪圏、名古屋圏のいずれにおいても大きな転入超過が続いており、この間に、地方圏で生まれた人が多く就職、進学などを目的に大都市圏に移り住んだ様子がうかがえる。大都市圏への人口集中が進んだ時代である。
オイルショック以降の安定成長期にはいると大阪圏、名古屋圏の人口の伸びが鈍化する中で、東京圏の人口だけが増加したため、人口の東京一極集中が進んでいる。
オイルショック以降の大阪圏と名古屋圏の動きを比較すると名古屋圏では毎年の上下はあるものの転入超過のプラス・マイナスがほぼ均衡しており、長期的に人口の純流入はほぼゼロとなっている。これに対して、大阪圏は一貫してマイナスが続いており、いわゆる大阪の地盤沈下をあらわすひとつの指標となっている。
東京圏は、高度成長期以降、2度の転入超過のピークを見ている。1度目は、1987年をピークとする転入超過であり、いわゆるバブル経済の時期の東京圏への集中である。2度目は、2002年をピークとする東京圏への人口集中である。
1度目は、東京都心はむしろ人口が減少し、埼玉、千葉、神奈川といった周辺県で人口が急増した時期であり、地価の高騰が都心から郊外へと波及した点に典型的なバブル経済の特徴があった。2度目の特徴は、郊外県での人口は余り増加せず、むしろ東京23区の人口が増加した時期であり、いわゆる都心回帰現象が特徴となっている。
(引用:http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/7675.html [1]
では、何故都市圏に人工が集中したのであろうか?大きくは、以下の四つの理由が、考えられる。
Ⅰ.地域間の景気回復の違いを反映した動き・・・例えば、①東京、神奈川では企業向けサービス業が集積していること。②愛知では域内産業の主力である自動車、電気機械が好調であること、等を背景にこれら地域の景況感は他地域を上まっている。そのため、相対的に就業機会に恵まれた関東・中京圏へ向けて、労働力の移動が起きたと見ることができる。
2005年の国勢調査による実際の人口増減数を表にすると、前回の将来推計においても、地方での人口減少と大都市圏への人口増加を見て取ることができる。とりわけ、東京、神奈川、愛知での人口増加が上振れており、これら地域への人口流入が活発であった。(日本総合研究所2006年12月18日活発化する我わが国の人口移動)
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Ⅱ.地価下落・・・東京都住宅白書によると分譲マンションの1戸当たりの平均価格は93年に急激に下落しており、95〜97年は4,500万円から5,000万円の間で推移している。この地価下落にともなう都内の住宅価格の低下により転入者が増加したことは十分に可能性として考えられる。
Ⅲ.住宅供給戸数の増加・・・東京都住宅白書によると東京都の分譲マンションの新規供給戸数は、94年から急激に増加し95〜97年には毎年3万戸以上の分譲マンションが供給されている。埼玉県、千葉県、神奈川県も増加しているものの東京都ほどではなく、この住宅供給戸数の増加も転入超の原因であると考えられる。実際、地区別の転入転出を見ても、大規模なマンション建設等が行われている練馬区、江東区等で転入が進んでいることが窺える。
Ⅳ.都会の魅力・・・住み易さ等のランキングを見ると東京都やその中に属する市区町村は必ずしも良い評価を得ていないが、実際に都市としての魅力は低いのであろうか。週刊ダイヤモンドが読者1,513人に定年後に住みたい街をアンケートしたところ、市区町村では東京都23区、都道府県ではやはり東京都が1位になった。このようなことからも統計的な指標による住み易さとは裏腹に東京都の居住地としての魅力は高いと考えられ、この魅力により転入超になっている可能性はあると言える。(引用:http://www2u.biglobe.ne.jp/~machi-IT/004.htm [2]
以上が、都市圏(東京、神奈川、愛知)においてここ数年転入傾向が続いている理由として考えられるが、この状態が恒常的に続いていくことは考えにくい。
【今後の大都市圏の人口移動の予測】
・大都市への人口移動の誘因として挙げられているものは今後どうなるのだろう?
・地価の下落による、「庶民にも買える都心住宅の供給」はそろそろ頭打ちだ。(最近はバブル気味に住宅価格が上昇する動きを見せている)
・「大企業による集中的な設備投資」はもうしばらく続くかもしれないが、いずれ打ち止めになるはずだ。
根強いのは「都会の魅力」かもしれない高収入、地方にはない便利で快適な生活、といったことがよく挙げられる。何をするにもお金がかかる現代社会の中で、地方よりも高収入が得られる都会はそれだけで魅力があるように見えるだろう。
しかし、それは表面的な見方でしかないだろう。
かつて、都会には自由な恋愛の可能性が待つ魅力に満ちた性市場があり、それを求めて地方から都会に若者達が集まった。しかし、現代はかつてのような性市場の魅力はもはや無い。都会にあるのは、閉塞した時代状況の中で唯一残された可能性を感じさせる、様々な人や場との出会いだろう。
そのような観点で見ると、経済だけでなく、人々の活力そのものが低下し続けている地方は、可能性を感じさせる出会いに乏しい、魅力のない場なのだろう。
BYシロハナミズキ

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