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なぜロシアは国家統制を強めるのか

■なぜ国家管理を強めるのか
 ロシアのプーチン政権は、初期は、新興財閥であるオリガルヒの力を借りて政治力を獲得した。
 が、後に、手のひらを返すように、オリガルヒの企業家たちを、様々な口実を使って失脚させている。
 例えばオリガルヒの中でも超大物であったボリス・ベレゾフスキー(同名のヴァイオリニストとは別人)は、2003年の選挙でプーチンを支持している。
 ベレゾフスキーは、石油、マスコミ、金融などの産業にまたがる企業を傘下に持っていた。政府の要職にさえついていた。
 しかし、後にプーチン政権の手により、横領、詐欺の名目で追及され、現在は亡命の身である。
 なぜ、ロシアは、独裁の汚名を受けても、強権を行使し、国家管理を強めようとするのだろうか?
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■ロシアの影響力
 ロシアはサウジアラビアに次ぐ世界第2位の石油輸出国である。
 そのシェアはおよそ10パーセント。第3位のノルウェーが6%であることを考えるとその大きさが伺える。
 2割ほどは近隣の東欧諸国であるが、輸出先の半数は西ヨーロッパ諸国を占める。
 天然ガスについては、ロシアに100%依存している国家がいくつかある。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/energy/pdfs/b-4.pdf
http://moneykit.net/from/topics/topics81_03.html
 ロシアはエネルギー資源を外交の手段として利用している。
 親米政権が発足したウクライナ、グルジアには、エネルギー価格をつりあげた。
 2006年5月には、アメリカのチェイニー副大統領はエネルギーを「脅迫の材料」にしていると指摘している。
 http://www.worldtimes.co.jp/special2/sumit/060712.html
■アメリカの事情
 アメリカはこうしたロシアの資源外交を露骨に批判できない事情がある。
 アメリカの第一の石油輸入先は、サウジアラビアであるが、中東で戦争を展開していきたいアメリカとしては、中東にエネルギー供給を依存している状況を脱したいという思惑がある。
 中東に変わる輸入先の一つがロシアである。そのために、ブッシュ政権は、エネルギー輸出インフラの拡充支援などを盛り込んだ、「米ロエネルギー共同宣言」を2002年に採択している。
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2005/html/17022410.html
 プーチンの独裁についても、マスコミで批判的な記事が出てこないのは、アメリカの意向に基づく情報統制の可能性がある。
■アメリカとロシアの共通点
 ロシアは冷戦期の軍拡競争で疲弊、敗北した苦い経験がある。
 それでも、政治的な成果があればよいが、東欧諸国がEU加盟を志向するなど、結局は同盟国をつなぎとめることはできなかった。
 プーチンと背後のシロヴィキ(治安・国防省庁の関係者たち)は、国家統制に基づくエネルギーを武器に、再びロシアを大国の地位に押し上げようと目論んでいると思われる。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/europe/27984/
 アメリカではネオコンが、ロシアはシロヴィキ。気付けば、タカ派の強権主義者、軍産複合体が、2大国を牛耳ることになっている。

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