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シリーズ「不動産投資ファンドの成長は続くのか?」10

【第10回:ロスチャイルドの軌跡】
 
市場を支配する巨大財閥の意志を読み解くために、ロスチャイルドの軌跡をまとめます。
 
ロスチャイルドが過去にどの様な戦略で市場を支配・独占し、ここまで巨大化したかを押さえることで現在及び将来の戦略が見えてきます。(前回は、こちら [1]
 
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         (ロスチャイルドの5人兄弟)
 
 
■以下にロスチャイルドの財閥史(リンク付き)を示します。
引用は、「赤い盾 [2]」広瀬隆著(下巻巻末の年表からロスチャイルド関係のみ抜粋)
関連リンクに是非ともお目通しを.....
(彼らのことは知れば知るほど現実から遊離した存在になっていくというパラドックスにおちいる場合があります。どうか始めに、『彼らは実在する!』と(心の中で)3回唱えた上でリンクをお読み下さい。なお、年表だけで意志が読み取れた方は御一報を!)


 
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ロスチャイルド財閥史
 
◆1585年◆Isaak Blchananという人物が『赤い盾』の看板を掲げてフランクフルトに定住していた記録が歴史に登場(一世紀後にその子孫のNaftali Hirzが登場)
 
◆1744年◆Hirzの子孫がすでに『赤い盾』を姓にしてロートシルトを名乗り、この年、マイヤー・アムシェル・ロートシルト [3]がフランクフルトのユダヤ人ゲットー [4]に生まれる。(後年、一族がイギリス読みの名前ロスチャイルドとして全世界に君臨し、マイヤーがロスチャイルドの始祖となる)
 
◆1764年◆始祖マイヤー・アムシェルがフランクフルト・ロスチャイルド商会を操業
 
◆1787年◆ウォルムズ兄弟がルイ十六世 [5]の知遇を得て台頭し、1795年に一族がロスチャイルド家と結婚、のちにフランス映画界を支配するウォルムズ銀行 [6]に成長
 
◆1804年◆ネイサン・ロスチャイルド [7]ロンドン・ロスチャイルド商会 [8]を創業
 
◆1810年◆ロンドン証券取引所の支配者フランシス・ベアリング [9]死去。ネイサン・ロスチャイルドが新しい支配者となり、世界一の金融王として台頭
 
◆1814年◆東インド会社 [10]インド貿易独占権 [11]が廃止される(ロスチャイルドが利権支配)
 
◆1815年◆「踊る」ウィーン会議 [12]直後、ワーテルローの戦い [13]ナポレオン [14]は敗れる。このときイギリス勝利の速報を操作したネイサン・ロスチャイルドが莫大な冨を築く [15]
 
◆1817年◆ジェームズ・ロスチャイルド [16]パリ・ロスチャイルド商会 [17]を創業
 
◆1820年◆サロモン・ロスチャイルド [18]ウィーン・ロスチャイルド商会 [19]を創業
 
◆1821年◆カール・ロスチャイルド [20]ナポリ・ロスチャイルド商会 [21]を創業
 
◆1824年◆ネイサン・ロスチャイルドがアライアンス保険 [22]を設立
 
◆1828年◆ジェームズ・ロスチャイルド [23]が製鉄業に進出
 
◆1835年◆サロモンとジェームズのロスチャイルド兄弟が鉄道事業 [24]に進出
 
◆1837年◆ロスチャイルド代理人オーガスト・ベルモント [25]がニューヨークにベルモント商会 [26]を創業(1849年にペリー提督の娘と結婚)
 
◆1845年◆ジェームズ・ロスチャイルドが北部鉄道 [27]を設立、ヨーロッパの鉄道王 [28]となる
 
◆1855年◆サロモン・ロスチャイルドがウィーン・クレディタンシュタルト [29]を設立。最高級ワイン「ムトン・ロチルド [30]」誕生
 
◆1860年◆ナポリ・ロスチャイルド商会が革命のため閉鎖される
 
◆1862年◆ナポレオン三世 [31]がジェームズ・ロスチャイルド邸を訪問して金融提携 [32]
 
◆1870年◆ロスチャイルドがバチカン [33]に融資を開始し、カトリック教を金融支配 [34]
 
◆1873年◆ロンドン、パリのロスチャイルド商会がリオ・チント [35]の設立に参加
 
◆1875年◆ロスチャイルド資本によってイギリスがスエズ運河会社 [36]の最大株主となる
 
◆1878年◆キリスト教の事業銀行ユニオン・ジェネラールが設立され、パリ・ロスチャイルド銀行と激しい対立関係に入るが、1882年に崩壊してユダヤ人問題 [37]が激化する
 
◆1881年◆パリ・ロスチャイルドがル・ニッケル社を設立(のちイメタル [38]と改名)
 
◆1883年◆ロスチャイルドがバクー油田 [39]の石油販売を開始(シェル石油の前身)
 
◆1888年◆ロスチャイルド資本によって南アでダイヤ鉱山が大合同し、デビアス社 [40]創業
 
◆1894年◆ユダヤ人とロスチャイルド財閥をめぐるドレフュス事件 [41]勃発
 
◆1898年◆フランスの電機メーカーCGEがロスチャイルドの資本で設立される
 
◆1901年◆男子相続者なく、フランクフルト・ロスチャイルド商会が閉鎖される(実質的には1878年の同商会の女子ミンナ・ロスチャイルド [42]とベルリンのマクシミリアン・ゴールドシュミット [43]の結婚によって、後者が商会を相続し、ベルリンのディスコント銀行 [44]を中心にフランクフルト・ロスチャイルド財閥が維持される)
 
◆1917年◆バルフォア宣言 [45]により、ロスチャイルドがユダヤ人国家 [46]の建設に踏み出す
 
◆1919年◆ロンドン金属取引所でロスチャイルド五社による金取引きの独占支配 [47]確立される
 
◆1924年◆ロスチャイルド代理人メルシェがパリでフランス石油 [48]設立 [49]
 
◆1933年◆財政家ジェームズ・ゴールドスミス [50]が生まれる
 
◆1950年◆観光会社・地中海クラブ [51]が設立され、ロスチャイルドの資金で大きく成長する
 
◆1952年◆ロスチャイルドがカナダ開発のための大会社ブリンコ [52]を設立
 
◆1962年◆リオ・チントとジンクが合併してリオ・チント・ジンクが誕生し、ロスチャイルドが世界的なウラン・カルテルを支配、本格的に原子力産業へ進出 [53]
 
◆1969年◆ロスチャイルド銀行総支配人ポンピドー [54]フランス大統領に就任 [55]
 
◆1989年◆ロスチャイルド銀行 [56]が88年ぶりにフランクフルトでの事業再開を発表
 
◆1991年◆崩壊後の東ヨーロッパを救済するためのヨーロッパ復興開発銀行の総裁にロスチャイルド [57]代理人ジャック・アタリ [58]が選ばれ、銀行が正式に発足
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■18世紀半ばにフランクフルト・ロスチャイルド商会を操業して以降、19〜20世紀にかけて銀行、証券取引、保険業、貿易利権、製鉄、鉄道、石油、金・ダイヤ、ウラン・・といった主要産業を次々と牛耳り、資本力(権力)を拡大しながら国家に接近して政策を誘導し、ある時は戦争を利用し、ある時は国家をも造り上げ、またある時は宗教をも支配してきた。
 
■一族の血は強く、他の財閥や政治家などの要人と政略的に血縁を拡大させながらネットワークを拡大してきている。興味深いのは、他の財閥などが苦しい時には敵にまわって潰すのではなく、支援を行い、生かして取り込み、自らを拡大するという戦略が見られること。(勿論、可能性のないところは潰してきたことだろう)
 
■秘密主義を取ることで自らは表に出ず、息のかかった財閥・財団・企業によって市場を動かしている。また、国家に対しては、政界に人材を送り込むと同時に市場からの圧力やロビーストを通じてコントロールしている。アメリカにおいては、FRB自体が既に彼らの支配下にあり、既に国家経済を支配していると言っても過言ではない。アメリカ大統領選においても彼らの支持・支援がなければ勝ち抜くことは困難になってきている。
 
■彼らの目的は、やはり市場支配・世界支配にあるのだろう。今までの軌跡は明らかにそれを物語っている。逆説的には、弱肉強食の市場社会(=資本主義社会)を真に理解するならば、喰らい続けなければ喰われてしまう構造から全支配を志向することになるのも必然である。ただし、そこまで志向する意志の背景には、徹底した血族意識か選民意識が存在する。未来に渡って生き続ける血または選民思想があって初めて成立する目的であることも明らかだろう。
 
■彼らの戦略は、裏での主要財閥の吸収または連合による拡大戦略であり、人脈及び情報ネットワークを駆使して市場と国家をコントロールすることである。ある時は政策を変え、金利や株価を操作し、市場システム自体を変えることで資本を集積することにある。
 
■彼らは、最後まで秘密主義をとり続けるだろう。表に出れば、あからさまな冨の集積と支配戦略に対する反発から逃れられず、支配戦略は失敗する。彼らにとっては、人類の団結可能性が最大の恐怖であり、支配に都合が良いように国家、個人をバラバラなものにしておく必要がある。また、彼らはあくまで市場に身を置く支配者であり、搾取する大衆・市場とは支配と非支配の関係を維持しなければならない。従って、市場を破壊するような戦略は取らず、生かさず殺さず、市場を隷属化することがその基本戦略であると見る。
 
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