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日本のガソリン価格の行方

本日、ガソリンの小売り価格が144円/リッターと今年度最高値を記録し、お盆の帰省家族を直撃!と言った報道が紙上を賑わしている。一体、ガソリンの価格は今後どのように推移していくのか気になるところである。

国内のガソリン価格は、2001年当初は、105円/リットルだった(レギュラー)。それが、2004年から継続的に値上がりして行き、昨年の夏に、145円となった。今年もまた、145円レベルまで値上がりしている。

ガソリン価格の推移(レギュラーガソリン・四半期平均)、石油情報センターデータから
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ガソリン価格の推移(レギュラーガソリン・月次)、石油情報センターデータからgasolinPrice01.JPG
夏前から始まった原油価格の上昇を受けてガソリン価格が連動して上昇していることは素直に理解できる。

原油価格高騰の原因として語られている、中国やインドなどを中心とする世界的需要拡大やOPEC諸国の生産動向などの需給的要因、中東情勢などの地政学的要因、更には原油先物市場への投機的要因などが複雑に絡み合っていることも事実である。

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確かに日本や東南アジアの原油価格を決定付けているドバイ産原油のスポット価格のこの5年間の価格の推移を見ていくと、‘02の1バレル24ドルから‘03の28ドル、‘04の35ドル、‘05の50ドル、‘06の70ドル、‘07の75ドルのように上昇しつづけていることがみてとれる。

中東産原油先物(期近物)の推移
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特に日本は円建てで取引をしており、この間の円安がより原油価格の上昇に拍車を掛けていることは間違いない。とここまでは原油価格の上昇=ガソリン価格の上昇と言うように単純な図式は理解できるが、このままではOPECなど産油国の思惑や金余り市場の投機筋などの欲や思惑に左右され、我が国にとっては常に不安定な状況に晒されつづけることになる。

我が国においてはガソリンの消費量はこの2、3年連続して減少しており、これは燃費の良い軽・小型車へのシフトや少子高齢化を背景としたガソリン需要の構造的な変化の現れなどに加え国民一人一人の省エネ意識浸透の表れであろう。

こういった成果が実際にガソリン価格の安定に何故繋がっていかないのか疑問の残るところである。

この疑問にヒントを与えてくれたのが三菱UFJリサーチ&コンサルテイングの「原油レポート」NO,108である。このレポートでは「ガソリンは消費国側で原油から精製されるのが主流であり、日本でも量的には少ないが同様であり、需要の調整弁として輸出入が行われている」と述べられている。「つまり、ガソリンは国際的に取引される商品であり、ある国のガソリンだけ割安になるということはおこりにくい」と結論づけて語られている。
リンク [1]

従って、ガソリン価格の安定化を図るには、我が国の省エネ技術の国際社会への啓蒙や指導などと平行して、中近東をははじめとする紛争を抱えた政情の不安定な地域への関心や関わり、国際貢献といった面での積極的なアクションが求められているのではないかと考える。

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