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環境ビジネス②〜アメリカのガソリン使用量削減への取り組み〜

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今となっては昔の話だが、今年の1月末にブッシュ大統領が「10年後の2017年までにガソリン消費量を20%削減する」という目標を打ち立てた(10年間で20%削減ということで「Twenty in Ten」と言われている)。しかし、その実態は・・・

ガソリン消費20%削減のうち15%分を年間350億ガロン(1億3,000万kl)の「再生可能燃料・代替燃料使用義務付け」で達成するとしている(残り5%分は自動車の燃費向上)(米国のバイオエタノールの現状と今後の展望(NEDO情報・システム部) [1]より引用)

というもの。全体の使用量は全く減らさず、「再生可能燃料・代替燃料」つまりはバイオ燃料で置き換えることと、燃費の向上によって達成しようというのだ。でも、大量生産、大量消費という構造は変わらない・・・。

そして、それによって引き起こされているバイオエタノールブームが原因で、食料価格が高騰しているのは、皆さん周知の事実だろう。

一方、アメリカでは、バイオエタノールの原料となるトウモロコシ価格の高騰や、食品の販売価格の上昇によって、農家が大儲けしているらしい。

米国農家、収益最高に・07年、エタノール需要で潤う(NIKKEI NET) [2]

 【シカゴ=毛利靖子】米農家の2007年の収益が急拡大し、過去最高を更新する見通しだ。米農務省によると、企業のもうけにあたる農家の収益は871億ドル(約10兆1000億円)と前年の1.5倍となる見通し。バイオ燃料需要の拡大で原料のトウモロコシ価格が高騰。飼料にも使われるトウモロコシ高騰で当初は苦戦が予想された畜産農家も、牛乳や鶏肉の値上げが効いて潤っている。

 春先に実施した試算では、前年比10%増の670億ドルだった。農家の収益が大きく増えた主因は、エタノール向け需要拡大をきっかけに起きたトウモロコシ高騰の影響が、食肉や牛乳、チーズなど多様な食品の販売価格を押し上げていることだ。さらに、中国など新興国では経済成長に伴って食習慣が欧米型にシフト。海外からの需要増で酪農品などの価格が上昇し、米農家のもうけを増やす好循環が生まれた。

これまで、自分たちの経済発展と利便性追求のために、エネルギーを消費するだけ消費してきたアメリカ。いきなりガソリンの使用量を削減すると言い出したと思ったら、単にバイオ燃料に置き換えるだけで、使用量は減らさない。バイオ燃料が普及すると、食料の値段が上がって、農業大国アメリカは大儲け。

こんな事を許しておいていいのだろうか?

P.S. もちろん、エネルギー使用量が増え続けている日本も何とかしなければならないのは言うまでもない。

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