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『インド洋給油活動 累計48万キロリットルで219億円の無償提供。』〜海上自衛隊だけが燃料補給活動を行うヒミツ〜

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「テロ特措法成立に職を賭す」と言っていた安倍首相は辞任表明してしまいましたが、海上自衛隊のインド洋給油活動は依然として続いています。その規模は01年12月から今年7月末までで約48万キロリットル(約219億円)に上ります。これが全部タダ!!(リンク [1]
 海上自衛隊のインド洋派遣は01年からなので今年で7年目。米国では最近、この活動に対して「対テロ戦での対日感謝決議」も成立しました。近代戦争にとってもそれほど兵站は重視されるということの証ですが、それなら何故米軍は、陸上自衛隊や航空自衛隊には燃料補給を依頼してこないのでしょう。(陸上自衛隊はイラクで給水だけでした)
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 理由は簡単。米軍と自衛隊では燃料体系が違うからです。
 湾岸戦争の際、陸海空の混成部隊での作戦遂行の必要から、米軍は使用燃料の統一を図りました。現在の米軍車両や駆逐艦はジェット燃料で走っているのです。元々、艦船や戦車をガスタービンエンジン化が進んでいた米軍は、90年代にディーゼル動力のトラックその他の車両を改造してすべてジェット燃料で運用できるよう統一を図りました。(http://pws.prserv.net/spanglemaker/essays/gulf_war_1.html)
まぁジェット燃料と言うのは精製された灯油なので改造すればディーゼルエンジンも動かせますし、艦船や戦車は既にガスタービン化済。空母や潜水艦は原子力なので作戦中の補給は不要。完璧です。
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(M1A2エイブラムス:ガスタービンエンジン AGT-1500搭載)
 
 一方、自衛隊はどうかと言うと、海上自衛隊の新鋭艦はガスタービン化(今、インド洋に派遣されているのこのタイプ。ましゅう型補給艦:ロールスロイス社製スペイSM1Cガスタービンエンジン2基搭載)進んでいますが、旧型艦や潜水艦はディーゼルなので重油or軽油、車両は軽油orガソリン、航空機はジェット燃料ですが米軍とは成分が違います(米軍はJP-8で自衛隊はJP-4を使用)。
 ですから、当初陸自にも「イラクで燃料補給業務を」という話もあったらしいのですが、結局は給水作業に落ち着いたという経緯があったようです。まぁ碌に武器も携行出来ない陸自が燃料なんかを運んでいたらゲリラの格好のマトになっていたでしょう。陸上自衛隊、結果オーライですがGJです。
 これは、燃料体系が違ったままなら簡単には日米混成部隊は容易に編成できず、米軍の盾にされることもないということなのですが…。
 最近航空自衛隊では米軍と合同で空中給油訓練を行っています。 米軍が自衛隊に合わせた燃料を積んでくれるわけ無いので、参加したF15は切り替え済なのでしょう。08年に空中給油機が日本に導入される頃にはひっそりと切り替えが終了しているのかもしれません。次期主力戦闘機も米国製なら一体化はほぼ終了と見ていいでしょう。
 残りは陸上自衛隊ですが、次期主力戦車(TK-X)には、国産V型8気筒4サイクル水冷ディーゼルエンジンが採用される予定です(http://ja.wikipedia.org/wiki/TK-X)。しかし「動力装置の設計は、現時点での最新技術を導入した正攻法なものと考えられる」 との記述もあるので出来上がってみたらガスタービンだったりして。そんなことになったら…米軍の下請け確定。自衛隊、死亡フラグです。

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