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「三セク損失補償に歯止め」の結果どうなる?

Posted By wyama On 2007年10月26日 @ 1:02 AM In 03.国の借金どうなる? | 3 Comments

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10月18日、「三セク損失補償に歯止め、年内に総務省が指針」という報道があった。
公会計のモデル作成などとともに、国による地方財政再建に向けた対策の一環とされているが、はたして、それで良い方向に向うことになるのだろうか?
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国の検討委員会から以下の中間報告(抜粋)が出されている(リンク [1]

<基本的な考え方>
●地方公共団体の財政規律を強化する観点から、三セク等の資金調達に関する損失補償に対する規律強化のために新たな仕組みが必要
●しかし、地方公共団体の権能について法律上新たな制約を設けることは、地方公共団体の自己決定・自己責任原則の確立を目指す地方分権改革等との関係において、十分な検討が必要
国の施策と関連して設立された三セク等や、国の施策で前提となっている損失補償契約もあり、これらについて新たな制約を制度化するためには広範な検討・調整作業が必要
●当面、地方公共団体の自主性を尊重しつつ、三セク等に係る財政規律の確保を図るために、総務省からガイドライン等を提示し、地方公共団体が自己規制ルールを策定するよう要請するのが適当
●三セク等に係る損失補償について、住民への情報開示の徹底、損失補償契約締結の手続面の厳格化等を求めるとともに、三セク等の存廃も含めた改革を進めるための方策をガイドライン等として示す
<想定されるガイドラインの内容>
まずはPFI方式等他の手法の活用を検討
⇒三セク方式によらざるを得ない場合、プロジェクト・ファイナンスの考え方を基本とすべき
⇒これに基づく資金調達が困難な場合、三セク方式による事業化を原則として断念すべき
⇒特別の理由がない限り、三セク等に関する損失補償は原則として行わないこととすべき
●新たな損失補償契約をしようとする場合、損失補償に関する情報開示を徹底する
⇒損失補償債務残高の一定割合を、地方公共団体の将来負担額に算入する
⇒損失補償のリスクが高まった場合、所要の引当金相当額を基金に積み立てる
●年一度、三セク等の損失補償の状況を開示し、財政規模に対する債務残高の割合等を公表
⇒経営が悪化した三セク等について、年限を区切って以下のような措置をとる
 ・平成20年度までに「経営検討委員会」(仮称)を設置し、評価検討を行う
 ・その検討結果を踏まえ、平成21年度までに「改革プラン」(仮称)を策定する
●三セク改革について、地域力再生機構(仮称)の活用も含め、総務省でも必要な措置を講じる
●既存の損失補償の債務についても、将来負担額への算入や引当金の積立を検討すべき

ちなみに、三セクに対する損失補償契約を結ぶことは違法という判決が確定して、金融機関の中に波紋が広がっているらしい。(リンク [2]
もし、損失補償禁止といった原則が確定すると市場の原理によって、金融機関からの資金調達コストが上昇するのは明らかだろう。リスクのある対象には相応の金利をかけなければ融資はしない。
その結果、三セクを活用した事業は割高なものになるだろうし、必然的に、PFIなど他の手法を活用する方向に誘導されることになる。
しかし、そもそも三セクが持っている意義があるのではないだろうか。(PFIや民営化など、国が進めている方策は何であれ市場原理に従わせるという方向だが、それは誤りだろう)
例えば、以下のような観点からの分析がある。(リンク [3]

各地で3セクの破たんが相次ぐ理由は、バブル期の不動産投機の失敗など外部不経済が経営に悪影響を与えているのに加え、①組織の無責任体質、②社会情勢の変化に対応しない事業計画、③議会などチェック機関の機能不全、④低収益体質を無視した不適正な運営、⑤赤字を容認する組織の雰囲気、などがある。根底には、なあなあのなれ合い感覚に見られる日本人特有の「旧弊」があることも見逃せない。従って現在の低い評価を理由に3セクの役割を無視すべきではない。3セクは内部的な公民連携に位置づけられるもので、過去の反省を踏まえて分野や形態を限定して使えば十分有効な手法と言える。

 
自治体の自主性を生かすべく地方分権を推進すると宣言しながら、他方で国の敷いたレールに従わせようとしている。
結局、これまでと同様に国の指導の下に地方を従わせて自治体が自ら考える余地を狭めてゆくものでしかないだろう。
最後に、多少の皮肉を込めた元島根県知事の片山氏のコメントを紹介しておきたい。(リンク [4]
  …国は(国の施策に追従して)「がんばる」自治体をむやみに応援してはならない
by わっと


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[1] リンク: http://www.soumu.go.jp/menu_03/shingi_kenkyu/kenkyu/saimu_chousei/pdf/071017_1_si1.pdf

[2] リンク: http://ameblo.jp/psa/entry-10024148807.html

[3] リンク: http://www.tonichi-kokusai-u.ac.jp/tonichi/eco-info/ohkawa/H0403.pdf

[4] リンク: http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/katayama.cfm?i=20070910c2000c2&p=2

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