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アメリカのバイオ燃料政策、早速失速か?

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アメリカのバイオエタノールブームに早くもかげりが見えている。
ブッシュ大統領は、農産物余りと、かさむ一方の農業支援金を減らしたいという目的もあって、バイオエタノールを推奨してきたが、ここへ来て準備不足の目先の政策が破綻を来たしてきた様だ。


ちょっと前の事だが、9月30日付けのニューヨーク・タイムズ紙が、始まったばかりの米国バイオエタノールブームに早くも陰りが見え始めたと報じている。原因は、余りに急速な生産拡張に流通手段が追いつかないことにある。
エタノール価格は全国平均で5月以来約30%も下落した。
そもそも、エタノールは腐食性で、水や不純物を吸収しやすく効率良く燃料パイプラインで運ぶことはできない。また、列車・トラックなどの輸送手段では、急増するエタノール生産に追いつくのは難しく、結局生産はしたものの、市場に乗せられないというお粗末な結果を生んでしまっている。
それに、加えて税制的な優遇策が無ければ、コストが高くつくという構造から脱し得ないということもある。その内、エネルギー関連予算から支出される支援金も財政を圧迫する事になるのでは無いだろうか?
農業情報研究所
米国最大級のバイオエタノール生産者 エタノール価格急落で新工場建設を停止
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/earth/energy/news/07100302.htm

米国最大のバイオエタノール生産者の一つであるヴェラサン・エネルギー社が、年産1億1000万ガロンのエタノール工場の建設を停止した。2008年には建設を再開するかもしれないが、再開するかどうかは市場条件の成り行き次第、この60日でエタノール価格が1ガロンあたり[200セントほどから]50セントも下落しており、現在のペースでの拡張には慎重にならざるを得ないという。
 VeraSun Energy Suspends Construction on Reynolds, Ind., Biorefinery,PR Newswire,10.1
 先日報じたように(米国エタノールブームに陰り 生産急増で市場が”食傷の病”に倒れる,07.10.1)、米国エタノールブームは、確かに曲がり角に来ているようだ。小規模なものが多い農業者(地方)所有工場の中には、操業停止に追い込まれるものも増えるかもしれない。今週、上昇が続いていた原料トウモロコシ価格は下落に転じたが、製品価格が半分にも下がったのでは採算はまったく取れないだろう。
 参照:米国燃料エタノール統計:工場数と生産能力における農業者所有工場の比率 シカゴ商品取引所穀物等先物相場:07.8.21-10.2
 なお、ヴェラサン・エネルギー社は、米国各地に9工場を持ち、その現在の総生産能力は4億5000万ガロンとされている。単独会社としては、27工場で11億ガロン(生産能力、さらに3億7500万トン増やす予定)のポエト社、7工場で10億700万ガロン(同、さらに5億5000万トン増やす予定)のADM社に次ぐ生産能力を持つ。今後の工場建設・拡張で能力は5億5000万トン増やす予定としていた。
 以上、米国更新可能燃料協会(RFA):http://www.ethanolrfa.org/industry/locations/

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