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批判はあれど特定検診制度に期待する

H19年に施行された改正医療法では4疾病5事業について重点的に取り組む事が規定されました。4疾病とは①がん②心筋梗塞③脳卒中④糖尿病の事です。5事業とは①救急医療②災害時医療③へき地医療④周産期医療⑤小児医療の事です。
近年病気の死亡率では1位悪性新生物(がん)が30%、2位心筋梗塞15%、3位脳卒中13%の順位となっており4疾病のうち3つが死亡原因の上位3位までを占めています。
H17年における疾病数の上位を見ますと、1位高血圧性疾患780万9000人(前年比11%増)、2位糖尿病246万9000人(8%増)、悪性新生物(がん)142万3000人(11.1%増)、脳血管疾患136万5000人(0.6%減)となっています。
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特に糖尿病は病気を強く疑われる人を含めると780万人、さらに否定できないという人まで含めると1600万人を超えると言われています。
40年前には3万しかいなかったといわれる糖尿病患者がここまで増大しています。糖尿病も重点4疾病のうちに数えられた理由だと思います。
糖尿病はその9割が2型糖尿病と言われ、要するに高カロリーの食べ物を大量摂取する食生活に起因します。いわゆる「食べ過ぎ、飲みすぎ」の生活習慣病です。
生活習慣病と言われるものは糖尿病のほかに、高脂血症、高血圧症などがあります。ドロドロした血液が血管を詰まらせやすくしたり、動脈硬化を引き起こして血管を破ったり、心筋梗塞や脳卒中を引き起こします。
昨年度の人間ドック協会の発表によると294万人の受診者のうち健常者だった人の割合は11.4%しかおらず過去最低だったとの事です。年々生活習慣病が増大しています。
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そこで糖尿病を焦点とする生活習慣病対策としてメタボリックシンドロームを減じようとした動きが来年4月から施行される特定健診の実施です。
特定健診については既に紹介しましたが、糖尿病に限らず、心筋梗塞や脳卒中への原因にもなっており、その対策を講じるのは当然だと思います。
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メタボリックシンドロームについては、内臓脂肪のつきすぎが問題視され、腹囲の目安が提示されています。内臓脂肪の面積が100㎡を超えると様々な問題が生じるといわれ、その統計的平均値から肥満学会からは男が85cm以上、女が90cm以上というガイドラインが出されていますが、確かにその数値自身は根拠が怪しいような気がします。
高脂血症の有名な薬である三共製薬のメバロチンはこの薬だけで年間3000億円も売り上げた事もあります。特定健診制度は世界第2位の6兆円薬市場を更に拡大させるだけという見方もあるようです。
でも、現代の疾病及び死亡原因の多くがメタボに象徴される生活習慣病に起因する事は明らかではないかと思います。高脂血症だから、高血圧だから薬を飲むのではなく、健診によって問題をいち早くキャッチし、適切な指導を受けて食生活の改善に取り組む姿こそ予防医学の目指すものだと考えます。医食同源の言葉が示すように、薬ではなく食で健康を守る事が目指すべき方向性だと思います。
その意味で、特定健診で結果を提示するだけでは効果は少なく、健診によって発見された「警鐘」を健診指導や啓蒙によってどこまで是正されていけるのかが重要だと思います。その意味で今後の特定健診制度の実施状況と結果を注視したいと思っています。

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