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混乱がカネを産む! ・・・ プリズン・リアリティ・トラスト

「負担にあえぐ医療債務も証券化して利益を上げる米国」に引き続き、アメリカの証券市場の状況報告です。
今回のテーマは刑務所。
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まずはバードレポート [1]さんからの引用です。

アメリカでは刑務所も不動産ビジネスです。「刑務所」という事業用不動産を所有し、政府から囚人一人当たり料金を受け取って運営します。刑務所は常に超満員で空室率?の心配も無く、不況期には犯罪が増え収益向上する魅力ある投資先だそうです。
数十ヶ所の刑務所を運営する全米最大の会社がREIT(不動産投資信託)になります。まず別会社をつくり、運営部門を移管します。抜け殻となった元の会社は不動産を所有するだけの会社となり、不動産を運営会社に賃貸します。この抜け殻会社をREITとして証券化するのです。会社として上場企業になるのではなく、投資信託として上場されるのです。その名も「刑務所不動産信託(プリズン・リアリティ・トラスト)」といいます。

というように、増え続ける囚人数を基盤に、政府=国家の金を吸い上げてゆく、という驚くべきシステムが作り上げられているようです。
ちなみにアメリカ囚人数・刑務所数の推移はこんな感じ。
「ピープルズ・ニュース」さんより アメリカの刑務所事情/「負け犬の掃き溜め」化 [2]

現在、米国の囚人数は二二〇万人を越えており、これは、国民一〇万人につき七〇二人の割合で、産業先進国トップの収監率。二位のロシアは六二八人、フランスとイギリスはそれぞれ一三八人。
この収監率の急増は、この三〇年間に生じた。一九七二年には、一〇万人につき一六〇人の服役人口だった。米国の人口は世界人口の約五%なのに、服役人口は世界の服役人口の二五%を占めるといえば、この異常さがよく分かるだろう。ジェシー・ジャクソン師の言葉を借りると、「我々は中国を抑圧国と考えがちだが、わが国の人口は中国の四分の一以下なのに、刑務所人口は中国より五〇万人も多いのである。これは、他国では貧しい者、教育のない者、規則に従わない者、心身不安定な者、中毒者などに様々な社会的救済処置や治療や病院などで対処しているのに、わが国では刑務所に閉じ込めるからである」。
最も犠牲になっているのはマイノリティ。二〇歳—三四歳のアフリカ系米国人男性の場合、八人に一人が刑務所に入っている。同年齢層のヒスパニック男性の場合は、二五人に一人。生涯のうち一度は服役する可能性を確率で表すと、黒人男性は三人に一人、ヒスパニック男性は五人に一人。
刑務所運営維持にかかる費用は、現在年間五七〇億㌦以上。連邦政府教育省の年間総予算が四二〇億㌦であることと比較すれば、その巨額さが分かるだろう。
州レベルで見るともっとひどい状況である。カリフォルニア州は、この一〇年間で大学教職員を一〇万人もレイオフしたが、刑務所の看守は一万人増員しているのである。大学生一人あたりに州が支出する教育費は年間六〇〇〇㌦だが、囚人一人当たりに支出する額は年間三四〇〇〇㌦。
「矯正産業」と呼ばれる分野は、米国の成長産業となっている。大企業が刑務所設立・運営をビジネス・チャンスと考え、政治的に働きかけるので、刑務所システムの民営化がどんどん進行。現在「矯正産業」で働く人数は、GM、フォード、ウォルマートの三企業の従業員合計数よりも大きい。

続いて「暗いニュース・リンク」さんより 1923年のアメリカには、刑務所は61ヶ所だけだった。しかし1974年には592ヶ所となり、2000年には1,023ヶ所に増加。
全米でもっとも刑務所建設に熱心なのは(ブッシュが州知事を務めた)テキサス州で、過去20年間に120の刑務所を増設、今日では137ヶ所の刑務所を稼動させている。2番目に刑務所が多いのは(ブッシュ弟のジェブが州知事を務める)フロリダ州で、(20年間に84ヶ所増設)カリフォルニア(83ヶ所)、ニューヨーク(65ヶ所)がそれに続いている。
合衆国全体でもっとも囚人の割合が多い地域はテキサス州コンチョ郡で、4,000人弱の住民のうち、33%は刑務所に居るとのこと。

囚人数・刑務所数とも文字通りのうなぎのぼりですが、自然発生的ではなく、なんらかの意図的な操作によって増加しているように感じます。
アメリカ社会には、
社会を安定させて囚人数を減らしていこうとはならないかわりに、
金融市場が拡大すればそれでいい という強い意志が働いているのではないか、という疑念が
以下の最新状況 [3]からも感じ取れます。

[ニューヨーク 7日 ロイター] 8日付の米金融専門紙バロンズによると、米国株式市場で刑務所関連銘柄が上昇する可能性があるという。
米国内刑務所の収監者数については、政府がまとめた最近の統計で年率4%増との予想が示された一方、ピュー慈善財団は2月に同13%増と予測していた。これについてバロンズは、調査対象が37州だった政府統計に比べ、42州のデータと8州の推定値を使ったピュー慈善財団の方が実態をより正確に反映していると指摘。
その上で、バロンズはコレクションズ・コーポレーション・オブ・アメリカ(CXW.N: 株価, 企業情報, レポート)の増益率を20%と予想し、同社の株価が現在の25ドル前後から30ドルに上昇する可能性があるとの見方を示した。またコーネル(CRN.N: 株価, 企業情報, レポート)の株価は40%上昇する可能性があるとしている。
バロンズは、こうした刑務所関連銘柄の保有に不安を感じるなら「米国の最もクリエイティブなCEOの一部が今は刑務所の中にいることを考慮してみるべきだ」としている。 

るいネット [4]の土山氏がこう述べておられます。

市場拡大期というと一般的に社会秩序が安定した時期だと考えがちです。確かに、戦火から逃れるだけで皆精一杯というレベルの(≒秩序が根底から全面崩壊するほどの)異常な戦乱下では商売どころの話ではありません。
しかし、史実を辿ってみると次のような事実に遭遇します。まず、社会秩序が長期にわたって安定していた中世ヨーロッパでは市場はほとんど拡大していない・・・、また、日本の戦国時代は逆に城下町や宿場町の前身となる都市が繁栄し始め、市場は意外にも拡大していた・・・、これらの現象事実からは、市場の拡大期は安定期であるという捉え方は間違っていると思われます。
論理的に考えても、市場とは序列統合のすきまを突いた‘抜け道’であり、万全な国家体制は市場にとってはむしろ邪魔者です。つまり、市場拡大には序列統合内に一定の‘ひび割れ’があることが不可欠であり、極論するなら、市場とは不安定期の方が拡大しやすいと言えます。
                     ・・・中略・・・
市場拡大には国家統合における不安定要素が不可欠である・・・、この基本原理に対して一役も二役も買ってきたのが近代思想でありマスコミです。そして、この構造を巧みに利用してのし上がり、今国際市場を牛耳っているのがアメリカ金融資本(=ユダヤ資本)だと捉え直してみると、すべてが繋がるという気がします。

すでに利用するだけでは回らなくなったので、自ら不安定要素=混乱を作り出し、そこからカネを搾り出している。。。
そのような「錬金術」の領域に、現在のアメリカ金融社会は突入しているのではないか、という危惧を抱かずにはおれません。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
このような状況、なんとかしなければヤバイ、と感じた方、応援よろしくお願いします!

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