- 金貸しは、国家を相手に金を貸す - http://www.kanekashi.com/blog -

サーマルリサイクルってどうなの? Vol.1

皆さんがお住まいの地域ではごみは分別回収されていますか?
日本の各地でペットボトルをはじめ、パック容器を分別回収してリサイクルに回して地球に優しい生活に心がけているものと思います。
私の住む東京都では多くの地区で今年の10月から「サーマルリサイクル」が始まり、分別が楽になった。とか不燃ごみの量が減って保管やゴミ出しが楽になった。などの感想を持つ方も多いようです。

23%E5%8C%BA%E3%81%AE%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB.JPG
区報によると東京湾の最終処分場の延命と資源の有効活用を図るために実施する。
とあり、これまで不燃ごみであった菓子袋やカップ麺の容器などの廃プラスチックを「可燃ごみ」として
活用することで「不燃ごみ」の減少が見込める、と説明しています。
またサーマルリサイクルの一手段である廃棄物発電は、太陽光発電や風力発電と同様に新エネルギー法により石油に換わる「新エネルギー」として位置づけられています。
この「サーマルリサイクル」って本当に最終処分場の延命に繋がるのでしょうか?
新エネルギーとして期待できるのでしょうか?  少し調べてみました。 
続きはブログランキングの応援(ポチッと押す)をしてからお読み下さい。
                


%E3%81%94%E3%81%BF%E7%99%BA%E9%9B%BB.gif
○まずは「サーマルリサイクル」って何?
 廃棄物を単に焼却処理するだけではなく、焼却の際に発生するエネルギーを回収・利用すること。
 廃棄物を焼却した時の排熱を回収して利用することは、欧米では早くから一般に行われていました。 
 戦後、日本もこれに倣って、1970年代以降徐々に清掃工場の排熱利用が普及してきた。
 つまり以前から熱回収は行われていたのです。しかしリサイクルとは言っていませんでした。
 焼却とは物質を消滅させる方法の一つと考えられます。
 だから欧米では、通常、燃焼をリサイクルの概念には含めない。
 燃やしてもリサイクルというのは勝手な判断なように思います。
%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E3%81%AE%E7%8A%B6%E6%B3%81.jpg
○モデル事業の状況
 区報によると東京都は一部の地区で昨年の9月からサーマルリサイクルを始めておりその状況は実施前と実施後半年間の実測値を比べると、可燃ゴミは56.8トン/月が74.9トン/月で32%増加、
不燃ゴミは17.9トン/月が5.4トン/月で70%減量、そして資源回収量は微増しているという結果
でまずまずの結果のようです。

○技術的な裏付けとしては
“サーマルリサイクルに関する報告書公表”と言う報告書を経済・財務・産業省鉱業委員会が作成しています。 この委員会は、産業大臣と環境大臣からの照会に応え、廃棄物処理時に発生するエネルギーの回収に関する報告書を公表した。
報告書のポイントは以下の引用文のとおり。
①廃棄物エネルギーの回収は、国のエネルギー自給にとっては大きな目標にはならない。しかし、
  地球温暖化への配慮としては著しい効果がある。
②廃棄物焼却蒸気熱やバイオガス燃焼による「発電」は、経済的メリットがない。一方で、熱の直接
  利用は、経済的にも環境的にも、最もメリットが大きい。ガス供給網への精製バイオガスの混入
  は、有毒性に関する規制がない場合には、同様に興味深い。
③リサイクル政策については、当初は再生不可能な資源の節約のためであったが、温室効果ガス
  排出抑制という別の目標が現れた。この点について言えば、紙やダンボール、時にはプラスチッ
  クも、リサイクルするより焼却し熱を回収するほうがよい。また、リサイクルのための分別収集コス
  トは、焼却と比べると非常に高い。
④バイオガスについては、コンポストのよい利用法を見つけることができれば、推奨できる。この為に
  は、生ゴミの分別と良質なコンポストに対する配慮が必要となる。

これらの点を踏まえ、報告書では、マテリアル利用がよいのか、熱(サーマル)利用がよいのか判断するためには、コスト、関係者のメリットとの兼ね合いが基本となるとして、価値判断指標を用い、バランスのとれた判断をすることが望ましいと結論づけている。
———————————– 以上が引用 ———————————————
と言うように都合の良い判断をしています。ごみ発電等のサーマルリサイクルという考えが「リサイクル」に加わってしまうと、燃やしても「リサイクル」と言うことになります。そして、他のリサイクル運動と同様にして急激にリサイクル率が上昇し、このリサイクル率が免罪符となって生産量が増えていくdしょう。
次回はもう少し詳細を見て、
①最終処分場の延命になるのか?
②資源の有効活用が図られているのか? などを調べてみます。

[1] [2] [3]