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外為特別会計の欺瞞、為替安定化という名の米財務省証券の買増し

Posted By leonrosa On 2007年12月27日 @ 11:48 PM In 03.国の借金どうなる? | 8 Comments

日本の20年度予算編成過程で、「霞が関埋蔵金」論争が起こった。 
 
増税(消費税の大幅値上げ)路線をとりたい、財務省と自民党財政改革研究会(会長は与謝野馨前官房長官)と中川秀直氏(元自民党幹事長)の間の論争である。 
 
>最初に「伝説」という表現を使ったのは、財政再建派の与謝野馨前官房長官が会長を務める党財政改革研究会の11月の中間取りまとめ。「国の財政には歳出削減の余地があり、増税せずに財政再建が可能だ」などとする民主党の主張を「具体的な根拠がなく、『霞が関埋蔵金伝説』の域を出ない」と皮肉った。 
 
>だが、成長重視派の中川秀直元幹事長は12月1日の講演で、国の特別会計にある積立金や余剰金を念頭に「40兆〜50兆円の埋蔵金がある」と指摘。これにすぐさま財政再建派の谷垣禎一政調会長が「どこにそれだけの埋蔵金があるのか。社会保障の財源は一過性のものではだめだ」と強く反発した。 
 
>中川秀直元幹事長は12月5日、財政融資資金など二つの特別会計を例示し「計約40兆円の繰り越し益があり、一部は政令改正で財政健全化に充てられる」との主張を展開した。 
 
>さらに、中川氏は、07年度末で財政融資資金と外国為替資金の二つの特別会計に各20兆円近い繰り越し益があると指摘。政令改正でこの一部を取り崩し、財政再建に充当する案を示した。 
 
>財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は12月12日の分科会で、2008年度に財政融資資金特別会計(財融特会)の積立金を取り崩し、国債返済に充てる財務省の方針を了承した。これを受け、同省は同年度予算の成立に合わせ、積立金に関する政令を改正する。取り崩し額は9兆8000億円。 
 
特別会計のうち、財政融資資金特別会計の積立金の取り崩しは行なわれるが、何故か外国為替資金特別会計は手が付けられていない。 
 
中川氏もスルーしてしまっている。何故か! 
 
結論を言えば、『外国為替資金特別会計』に踏み込むと、米国(財務省)の逆鱗に触れるからである。 
 
我々は、別に、米国財務省を気遣う必要もないので、事実を明らかにする。 
 
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先ずは、『外国為替資金特別会計』って「何」です。 

●外国為替資金特別会計の目的 
 
外国為替資金特別会計は、昭和24年、外貨管理権がGHQから我が国に委譲されたことに伴って創設された外国為替特別会計を前身としています。 
 
その後、昭和26年に外国為替資金特別会計となり、政府が行う外国為替等の売買に関し、その円滑かつ機動的な運営を確保するため外国為替資金が設置されるとともに、その運営に伴って生じる外国為替等の売買、運用収入等の状況が区分経理によって明らかにされています。 
 
●外国為替資金特別会計が経理している事務及び事業の内容 
 
外国為替資金特別会計は、本邦通貨の外国為替相場の安定を実現するため、政府が実施する外国為替等の売買(為替介入等)等の円滑化に資するため設けられています。 
 
具体的には、円売り・外貨買い介入の場合には、政府短期証券(為券)の発行により円貨を調達し、外国為替市場における為替介入により円貨を売却し、外貨を購入。為替介入で得た外貨は外貨建て債券等に運用されます。逆に円買い・外貨売り介入の場合には、外貨建て債券の売却等により外貨を調達し、外国為替市場における為替介入により外貨を売却し、円貨を購入。為替介入で得た円貨は政府短期証券(為券)の償還に充当されます。 
 
これら外国為替資金の運営から生じる収入(外貨の利子収入等)・支出(政府短期証券(為券)利払等)については、外国為替資金特別会計の歳入・歳出にて経理されます。また、歳入と歳出の差額である毎年度の利益(決算上剰余金)については、積立金として積み立てる金額を除き、一般会計への繰入れの対象となります。

リンク [1] 
 
外国為替特別会計とは、円・ドル為替の安定を図るために、日本政府が、ドルを買ったり売ったりするのです。 
 
急激にドル安(円高)になりそうだと、円売り・ドル買い出動を行い、ドルを買い支えます。 
 
具体的には、政府短期証券を発行して円資金を調達します。この円資金を為替市場に売却し、ドルを買います。買ったドルは、ドル建て預金やドル建て証券で保有します。 
 
この結果、特別会計の負債側に「政府短期証券」が増加し、資産側に「ドル預金・ドル証券」が増加します。 
 
最新の『外国為替資金特別会計』の貸借対照表を見てみます。 
 
17年度末(18年3月末)の貸借対照です。カッコ内は17年3月末。 
 

資産の部  
資産合計 109兆 942臆円 (102兆1247億円)
 現金・預金  30兆9236臆円 ( 28兆7941臆円)
 有価証券  74兆8150臆円 ( 70兆2656臆円)
負債の部  
負債合計    99兆5346臆円 ( 96兆6240億円)
 政府短期証券  97兆4052臆円 ( 94兆7844臆円)

 
17年度中に、ドルを買い支える為に、新たに日本政府は3兆円の借金を増やしています。 
 
リンク [2] 
 
では、この5年間の動きはどうでしょうか。 
 
財務省から、「外国為替資金特別会計の外貨建運用収入の内訳等について」という資料が公開されている。 
 
平成14年度末から平成18年度末への増加は以下の様になっています。 
 
外貨預け金  7兆9644億円 → 14兆5038億円 ( 6兆5394億円増加)
外貨証券   42兆9685億円 → 82兆2343億円 (39兆2658億円増加) 
 
リンク [3] 
 
つまり、5年間にドル安防止の為に46兆円もの日本政府の借金を増やしているのです。 
 
外貨証券の中身が気になります。米国財務省証券の日本の保有残高は、2007年3月(平成18年度末)で6112臆ドル(約70兆円)ですから、上記の外貨証券は、殆どドル建ての財務省証券(TREASURY SECURITIES)ですね。 
 
因みに、2007年10月末の各国の財務省証券の保有状況は、以下の通りです。 
 
日本 5918臆ドル、中国3881臆ドル、英国2965臆ドル、産油国合計1303臆ドル、ブラジル1128臆ドル、カリブ諸島(タックスヘブン)781臆ドル。 
 
リンク [4] 
 
最後に、『外国為替資金特別会計』の欺瞞です。 
 
為替レートは、変動相場制になったのですから、市場原理からいっても、需給関係からドル安・円高が進むのは必然です。しかし、日本政府はドル安高進、ドル崩壊不安を避ける為に、恒常的なドル買い介入をしてきました。 
 
その結果、貯まりに貯まったのが、100兆円の外貨資産(外貨預金と外貨証券)=日本政府の借金です。 
 
為替安定化のためだけなら、このような巨額の資金を用意しておく必要はありません。
直ぐにでも、数十兆円の資産=負債に圧縮することが可能です。
これだけで、日本政府の借金は70兆円減らせます。 
 
しかし、対米従属を強めている「日本政府・財務省」が、取り上げて欲しくないのが、『外国為替資金特別会計』の圧縮です。
 
 
この、『外国為替資金特別会計』の圧縮過程は、ドル売りを伴います。ドル安・円高が進みますので、ドル建てで輸出している企業の為替差損が生じます。(代表企業はトヨタ自動車ですね。) 
 
一方、輸入については、円高による為替差益がでます。原油価格のドル建て価格上昇に対しては、円高による打ち消しが可能です。現在始まっている輸入インフレの防止策として有効です。
 
輸出企業には、若干痛みを伴いますが、輸出先は、中国、欧州、アジア諸国、ロシアと拡大しているので、ドル建ての桎梏から離れる絶好のチャンスですね。


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[3] リンク: http://www.mof.go.jp/jouhou/kokkin/gaitametokkai_191107.pdf

[4] リンク: http://www.treas.gov/tic/mfh.txt

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