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サーマルリサイクルってどうなの? Vol.2

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前回のVo.1 [1]ではサーマルリサイクルが総合的に有効な手段である、と言う行政の言い訳のような部分を投稿しました。
今回はまず廃棄物量(一般廃棄と産業廃棄物)の推移がどうなっているのかを押さえた上で最終処分場の延命に繋がっているのか、資源の有効活用になっているのかを見ていきたい。
ブログランキングUPに協力して頂いた上で続けてお読み下さい。
                 


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○ 廃棄物量の推移(上記のグラフ[環境省のHP]を基に考察すると)
①一般廃棄物
 ・ 総排出量は約5000 万トンで安定推移orやや減
 ・ 一人当たり排出量(一日)は、2000 年度をピークに減少傾向
 →容器包装リサイクル法がきっかけとなり減量が「進展」?
 ・ 最終処分場の残余容量自体は減少しているが、最終処理量が減少している為に、残余年数は増加
②産業廃棄物
 ・ 総排出量は4 億トン前後で安定推移orやや減
 ・ 最終処分量は順調に減量の傾向 ・ 率の上でも最終処分量は顕著に減少
 →再生利用率の貢献度が高い:減量化率はほぼ横ばい
 →産業廃棄物は、比較的同質のものが大量に排出されるため、一般廃棄物に比べて リサイクルが容易
 →法整備により「再利用」が義務化されたことによる効果
 →企業イメージに大きく影響するため、企業もリサイクルを強く意識
  (ゼロエミッション企業:ex.アサヒビール)

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○東京都の状況
 (上記のグラフ[東京二十三区清掃一部事務組合のHP]を基に考察すると)
 23区のごみ収集量は、平成2年度から平成12年度まで11年連続して減少しています。その後、一時期横ばいになりましたが、平成15年度以降再び、減少傾向で推移しています。
この資料には資源ごみが含まれていませんが同HPよると他のごみと同様に減少傾向です。

つまり、環境省の全国版と同様にサーマルリサイクルの開始以前から、経済活動の衰退に合わせ減少しているのです。これに加えて法整備やリサイクル事業が順調に拡大している事により、今後も減少していくものと考えられます。
○資源の有効利用になっているのか?
 これについてはかなり微妙です。 
焼却することで体積は約1/40になり処分場の延命に寄与しますし、処分場の衛生面も改善します。
経済的にも中間処理経費は若干増になりますが、運搬費や埋め立て費が削減されますので総経費は減少します。しかし、もっと広域に捉えれば焼却による発電効率は電力会社の約半分にしかならず地球温暖化ガス(主にCO2)も増加します。また、排ガス処理設備にかかるコストも使用エネルギーも膨大なのです。環境負荷的には有効ではないのです。

○じゃあなぜ燃やすのか?
 これに関して去年の11月4日の日本経済新聞に” 廃プラスチックなぜ燃やす?燃えるごみの「不足」を穴埋め”と言うタイトルで掲載されました。記事の中には、焼却炉メーカー関係者が匿名を理由に話した次のようなコメントが掲載されています。

 
『ごみの量は自治体の想像以上に減少しています。せっかく焼却炉を作ったのに“ごみ不足”で連続稼動が困難なケースもあるようです。それなら廃プラも燃やした方がいいと考えたのかも知れません』 (2007年11月4日(日)/日本経済新聞より)どうもこの辺りに理由がありそうです。
 
○じゃあどうしたらいいのか?
 行政が、埋め立て処分場延命を理由にスタートさせたプラスチック焼却ですが、サーマルリサイクルという一見「良いこと」のように思える方法をとってしても尚、前述のような新聞記事が掲載されると言うことは様々な場面においていまだに「なぜ燃やすのか?」を問い直されているのだと思いますます。

 
リサイクル運動の原点である『環境基本法』に立ち返り、各リサイクル法を見直す必要があります。
『環境基本法』(環境に関する憲法のようなもので理念が制定されている)では、廃棄物の処理などに関する考え方としてまず、「廃棄物の発生を抑制する」次に「.製品を再生利用する」となっており、焼却や.埋め立て処分は最終段階に行うものという考えがされています。
また費用の負担も原因者(≒製造者)負担と明記されています。

 
つまり現在の各リサイクル法をはじめ、ほとんどの環境に関する法律は『環境基本法』の理念からずれています。
 “リサイクルをする”という意味は、「資源の有効活用」という側面と、「リサイクル費用を生産者が負担する=結果買った人、利用した人が負担する」と言う二つの側面を持ちます。

 
 現在は、ごみになるプラスチックの容器包装類=ペットボトルや発泡スチロールのトレイ、シャンプーやリンスのボトルなどの収集運搬費用は、税金で自治体が負担しています。
 これを、生産者が負担する仕組みを作ることにより、ごみにかかる税金の費用分担を利用する人・買った人へ明確にしようと言うのが、リサイクルの意味です。
 
 
 ごみが減っている現実・資源を有効活用しなければならない問題・清掃費用にかかわる税金の使い方のあるべき姿・市民の健康への配慮・・・こうした視点からみんなで問題点や事実を出し合い、考えていけばとるべき最善の方策は自ずと見えてくるのではないでしょうか。
 
 ごみが減って連続稼動できない清掃工場がある現状で、プラスチック焼却を選択した行政の苦しい選択を、、目先でしかない理由を、、みんなで考えましょう!!

 
 

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