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フランス第2位の銀行(ソシエテ・ジェネラル)の破綻

年明けから、米国シティバンクの巨額損失が発覚し、世界の株式市場は大幅下落を続けた。 
 
乱高下する株式市場により、金融機関の自己売買で損失が隠せない事態に至った。 
 
8月のサブプライム危機の端緒を作ったフランス(パリバ銀行の発表)から、またもや、巨額損失の発表が行われた。 
 
損失額49億ユーロ(約7600億円)である。
「一人の若手トレーダーの不正行為によるもの」との公式発表だが、22日のFRBの緊急利下げにも繋がっているようで、19日の週末から21日の週に、世界の金融崩壊の危機にあったと推察されます。 
 
その動きを追って見ます。 
 
先ずは、24日のソシエテ・ジェネラルの公表から。 

●仏銀大手ソシエテが1兆円の損失・不正取引、1人で7600億円(日経新聞1月24日) 
 
フランスの銀行大手ソシエテ・ジェネラルは24日、同行のディーラーによる株価指数先物の不正取引で49億ユーロ(約7600億円)の巨額損失が発生したと発表した。ほかに米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)などに関連して20億5000万ユーロ(約3200億円)の有価証券評価損が出ており、2007年10—12月期に計上する損失は総額69億5000万ユーロ(約1兆800億円)にのぼる。 
 
個人による不正としては過去最大規模の不祥事となった。最近の世界的な株安を背景に不正が発覚した格好。サブプライム問題が深刻化するなかで、大手銀行の市場部門のリスク管理が甘くなっていた実態が浮かび上がったといえそうだ。 
 
ソシエテ・ジェネラルは資本不足で経営が悪化する事態を回避するため、米モルガン・スタンレーとJPモルガンを引受先とする55億ユーロ(約8500億円)の増資を実施することを明らかにした。ブトン会長兼最高経営責任者(CEO)は辞任を表明したものの、23日の取締役会で否決された。

 
参考:ニュースレリース
『ソシエテ ジェネラル グループ、市場取引分野の一部門において異例の不正取引を発見』リンク [1] 
 
ソシエテ・ジェネラルを巡る動きは、24日の発表以前から始まっている。 
 
以下は、幾つかの動きを伝えるものです。 
 
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『なんで俺が言わなければならねえの』さんのブログから
リンク [2] 

フランス国のサントラ・バンクに穴 犯行は複数化 ソシエテ・ジェネラル銀行の大株主は安泰 
 
ソシエテ・ジェネラル銀行は今回の巨額の不正取引行為が発覚する前の2週間にソシエテ・ジェネラル銀行の諮問監査委員の一人が8570万ユーロ(約140億円)の株をパリ株式市場で一株95.27ユーロで売リ払っていることが報道された。 
 
1月9日から11日までにソシエテ・ジェネラル銀行の株価は22%以上暴落していた。 
 
これは、この時点でソシエテ・ジェネラル銀行の内部で既に不正取引行為の発覚者があったことを示しているという意見もある。ソシエテ・ジェネラル銀行の50億ユーロ(約8250億円)の不正取引行為を発表したのは1月24日になってからである。 
 
12月17日にはソシエテ・ジェネラル銀行株は一株51.65ユーロであったが、問題の発表される1月24日直前で98.46ユーロになっていた。 
 
ソシエテ・ジェネラルは不正行為を1月19日に発見したと言っている。この犯罪は一人の人物により行なわれていたが、「統御システムを熟知していることから」「ニセの取り引きを仮想し作りかえることによって、犯罪の存在を隠滅したために」その上司にも発見されなかった。この額はソシエテ・ジェネラルの 2006年度の利益は52億ユーロに比較しても莫大なものである。

仏ソシエテ銀行巨額損失問題続報 Garbargenews1月27日 
 
Jerome Kerviel氏(トレーダー)が自分の不正を明らかにした19日の時点では、彼の損失は49億ユーロではなく15億ユーロ(2350億円)に過ぎなかったということが「ライバル銀行の関係者」からの話として伝えられている。ソシエテ・ジェネラル銀行は危険なポジションを維持するよりは、損失を確定すべきであると判断し、ポジション整理を実施(俗に言う「損切り」)。結果として34億ユーロもの損失を上乗せすることになった。 
 
一方でソシエテ・ジェネラル銀行そのものの情報公開への姿勢に関係者からは不満の声が続出している。事実開示は24日だったものの、不正行為の確認が出来たのは19日の段階だったという。当銀行の法人担当のトップJean-Pierre Mustier氏によれば、Jerome Kerviel氏が保有していたのはイギリス、ドイツ、そしてユーロSTOXX株価先物のポジションで、総額500億ユーロ(7.91兆円、ソシエテ・ジェネラル銀行の市場価値以上)にも登っていたとのこと。そしてこのポジションは翌週の21日から解消され、24日の情報公開・損失額発表に至っている(【Pressure grows for SocGen answers (Financial Times)】)。

リンク [3] 
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経過を追って見ると。 
 
1月上旬にはソシエテ・ジェネラルの諮問監査委員の一人が、巨額の保有株の売却を行う。
(ソシエテ・ジェネラルが、サブプライムの余波で、大幅損失の可能性がうわさされる。) 
 
1月19日(土曜日)、銀行内でトレーダーの巨額の取引保有500億ユーロ(7.91兆円)と15億ユーロ(2350億円)の損失を確認する。 
 
週明けの21日から23日まで、欧州市場で、保有株式(先物取引)の解消売りを行う。損失額が49億ユーロ(7600億円)に膨らんでしまう。 
 
平行して、モルガン・スタンレーとJPモルガン・チェースを引受先とする55億ユーロ(約8500億円)の増資を交渉。(発表は24日) 
 
22日に、FRBが臨時で大幅(0.75%)利下げを発表する。
(一部では、22日のFRBの利下げは、ソシエテ・ジェネラルの危機管理だったと受け取られている。) 
 
24日に、ソシエテ・ジェネラルから株取引による大幅損失とモルガングループの増資引き受けを公表する。 
 
ユーロの本拠地であるフランスとドイツ(州銀行の破綻処理を抱えている)で、大手銀行の破綻が進行している。
その危機管理は、ECB(欧州中央銀行)、各国中央銀行では実行できず、FRB(米国連邦準備制度理事会)と米国の巨大金融機関の危機管理に依存しているとも言える。 
 
但し、続々と大手金融機関の損失発表が続き、危機は一層深まりそうである。 

UBS、サブプライム損失1.5兆円に・10—12月(日経新聞1月30日)  
 
【フランクフルト=石井一乗】欧州銀大手のUBSは30日、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に絡んだ2007年10—12月期の損失額が約140億ドル(約1兆5000億円)にのぼったと発表した。昨年12月に発表した損失見込みを40億ドル(約4300億円)積み増した。証券化商品の価格下落に歯止めがかからないためで、07年通年の最終損益は44億スイスフラン(約4300億円)の赤字に転落した。 
 
UBSは2月14日に決算を正式発表する。2月中旬にかけて発表が相次ぐ欧米主要金融機関の通期決算で、追加損失を計上するケースが相次ぐ可能性がある。 
 
10—12月期の損失額の内訳は、サブプライム関連商品の評価減が120億ドル、それ以外の米住宅ローン関連投資の評価減が20億ドル。UBSは昨年12月10日、これらの損失額を「およそ100億ドル」としていた。年末にかけて市場の混乱が拡大、保有金融商品の評価引き下げを迫られた。

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