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多国籍企業はなんで多国籍なのか?

禅問答のようなタイトルですね。
というわけで、今日は多国籍企業について突っ込んでみたいと思います。
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いつもありがとうございます
多国籍企業とは、活動拠点を一国におかず複数の国に渡り世界的に活動している営利企業 [1]ですね。
初歩的な切り出しですみません
で、これを読んでる人がすぐに思い浮かべるであろう、石油メジャーや穀物メジャーはもちろん、日本の自動車メーカーや電機メーカーはすべてリストに入ってます。
というより、一定規模以上の企業はすべて多国籍化していると言っていいようです。
では、なんで彼らは複数の国で事業を行なうのか?
ビジネスチャンスを増やすため?(ベタですみません
しかし、これだけ多数の「多国籍企業」が国境を超えて商売すれば、すぐに市場飽和してしまうのでは?
う〜ん、どういうことだ???
ここを追究するために、多国籍企業をとりまく状況を押さえてみましょう。
「ほっとけない、世界のまずしさ」 [2]さんが、よくまとめられているので引用させていただきます。

多国籍企業といわれている大企業は、世界で6万社を超えてありますが、そのうち90%が先進国の企業です。
総売上は18兆5千億ドルで、世界の総生産のおおよそ半分を占め、最も規模の大きい100社の企業だけで4分の1を占めています(※1)。
それがどの程度の規模かと言えば、多くの多国籍企業の年間売上高は、一国のGDP(国内総生産)をはるかに超えるまでになっているのです。
例えば、従業員10万人ほどのエクソンモービル社の年間売上高は6,700万人の人口を抱えるトルコのGDPより大きく、ウォルマート社はオーストリアより大きく、ゼネラル・モータース社はペルーおよびアルジェリアよりも大きいのです。

わかりやすいですね。
これらの巨大規模の企業が、どのように成立=利潤を上げているのでしょう?

 さて、貿易と多国籍企業の関係に話を移しますと、世界の貿易の3分の1は多国籍企業の系列会社どうしの貿易です。つまり、松下電器(日本)は松下電器(中国)と貿易し、IBM(日本)はIBM(アメリカ)と貿易しているというように。これは本来の意味での貿易とは言い切れませんが、上記松下電器の例で言えば、日本と中国との貿易として統計上は処理されるのです(実際、税関を通しますので)。
 世界貿易のもう3分の1は、多国籍企業どうしの貿易となっています。例えば、松下電器(中国)とIBM(日本)というように。あとの3分の1だけが、その国にしかない企業とか国営企業が参加する本来の意味での国家間の貿易です(※2)。
 このように世界貿易の3分の2が多国籍企業によって担われているのです。

え。世界貿易ってこういうことになってるの?
おどろきです
じゃあ、この たらい回し のような貿易のメリットとは???

系列会社どうしの貿易とは、例えばM社のテレビを生産するのに、A国では液晶パネルだけを生産し、B国では電子回路だけを生産し、C国ではケースを生産し、そしてD国で最終組み立て行う、というように国をまたがって生産しようとするものです。
つまり、高度な技術を要する部門、中程度の技術を要する部門、技術より労働力を要する(労働集約)部門等々、その国の技術力、資源力、商慣習(関税率ほか)などを総合的に判断し、もっとも効率的に生産するために行うのです。

なるほど、「新興国に生産拠点を移しました」ってやつですね。
ものづくりを生業とする企業ではその過程ごとに最も適した条件の場所で事業を展開する、納得です。
しかし、調べていくと、どうもそれだけではないことが分かってきました。
ほかに効率化するやり方があるようなんです。
そのやりかたのひとつに「移転価格」というのがあります。
こちら [3]に載っているように、関連企業間で利益を他国に移転させ、移転させた国の緩やかな税制などを活用しよう(つまり脱税しよう)というものです。
先進国においては、移転価格にかかる税制が整備されているようですが、実際には機能していないことが「タックスヘイブン〜グローバル経済を動かす闇のシステム」 [4]には書かれています。

つまり多国籍企業は、税金の高い国に設立した子会社に、高い価格を押し付けて、そこの国で上げた利益を削減しているのである。
・・・中略・・・
たとえば、チェコからアメリカに輸入されたプラスティックのバケツが1個/972.98ドルという天文学的な価格であるのをはじめ、中国からの化粧用手袋(袋状タオル)が1キロ/4121.81ドル、あるいはフランスからの差し錠が1キロ/3067.17ドルといった調子である。
その一方、アメリカのミサイル発射装置がイスラエルに1機52.03ドルという価格で輸出されており、
・・・中略・・・
「移転価格」によって、2001年のアメリカの税収は531億ドルの損失を被り、その損失額はますます増大している(1998年には357億ドルであった)と、この2人の研究者は推計している。

 
う〜む、そういうことだったのか。。。多国籍化は必須だな、こりゃ。
でも、これだけやりたい放題なら、ルールを作って規制するとかされるんじゃ?
という疑問に答えてくれたのが、再び「ほっとけない、世界のまずしさ」 [2]さんです。

世界の貿易ルールを決めるのが世界貿易機関(WTO)ですが、当然各国交渉の背後には自分たちに都合のよいルールを決めさせようとする多国籍企業の存在があります。
世界各国すべてのセクターの企業を代表しているといわれる国際商工会議所(ICC)、大西洋をはさむ地域の多国籍企業の150人ほどの社長を結集している大西洋ビジネス対話(TABD)などがグローバルな形での多国籍企業側の結集体で、これらがWTOに、そして米国やEUに大きな影響を与えています。
日本では日本経団連が日本の多国籍企業の結集体で、これも日本政府に大きな影響を与えています。
 

経団連、そうだったとは。。。
「市場は、云わば国家というモチに生えたカビ」 [5]
つまり、そういうことですね。

[6] [7] [8]