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マネー市場は疑心暗鬼、ドル売り加速で1ドル100円割れ

米国のサブプライム発の信用不安が止まらない。 
 
その信用不安から、ドル離れが加速し、円/ドルの為替レートが、1ドル=100円を割り込み、12年振りの円高、ドル安のゾーンに突入した。 
 
円/ドル為替レートの推移 
 
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この状況を伝えるロイター記事を紹介する。 
 
リンク [1] 

「破たん」キーワードに投機筋のドル売り活発化、12年ぶりの100円割れ 
 
[東京13日ロイター] 「大手ヘッジファンドが破たんするらしい」「米国の州に破たん懸念が持ち上がっている」——。13日の外為市場では数多くの「破たん」のうわさを手掛かりに投機筋のドル売りが活発化。ドルは対ユーロで最安値を更新したほか、対円でも12年4カ月ぶりの100円割れとなった。 
 
<同時多発の「破たん」観測でドル急落、株安も円買いを後押し> 
 
12日の海外から13日の東京にかけて、外為市場では多くの「破たん」のうわさが駆け巡った。ニューヨークに本拠を置く債券運用会社、米ドレイク・マネジメントが傘下3ヘッジファンドの清算を検討していることが明らかになったことを引き金に、欧州系大手金融機関傘下のヘッジファンドや米系金融機関、米国の複数の州など数多くの「破たん」のうわさが出回った。うわさは「根拠がよく分からないものまで含まれていた」(外銀)が、市場の疑心暗鬼がくすぶる中、外為市場ではそうしたうわさを口実に投機筋のドル売りが一気に強まった。 
 
(13日の)日中にドルが急落した際も、米プライベートエクイティのカーライル・グループ傘下のカーライル・キャピタルが債権者との協議で合意に至らなかったことが売りの一因となったが、このときも市場では「報道が流れる前からうわさが流れていた」(邦銀の外為ディーラー)という。大手金融機関や米景気への不信感がドルのセンチメントを悪化させる地合いが続いている。

 
解説:カーライル・グループは、世界で最大級の投資会社。55のファンド(基金)を運用し、運用総額は8兆円弱という規模である。 

カーライル・グループは、世界最大級のプライベート・エクイティ投資会社です。4つの投資分野「バイアウト」「リアルエステート」「グロース・キャピタル」「レバレッジド・ファイナンス」で55のファンドを運営し、その運用額は総額で約756億ドルにのぼります。グローバルな視野とローカルな洞察力を併せ持つ900名以上のスタッフが、北米・欧州・アジアを中心とする21カ国で投資活動を展開しています。

リンク [2] 
 
このカーライル・グループが、2007年7月のオランダ・アムステルダム証券取引所に上場したのが、カーライル・キャピタル(carlyle capital)である。しかし、カーライル・キャピタルは、1年足らずで破綻に直面した。 
 
カーライル・キャピタルの株価 
 
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カーライル・キャピタルの破綻の状況は以下の通り。 

ここで、直近勃発したヘッジファンド破たんの例を検証してみよう。まず、カーライル キャピタル。昨年7月に設定されたばかり。なんと自己資本の30倍もの資金を借入れ、2兆2千億円相当のトリプルA住宅ローン債券を購入していた。これらは、米国二大住宅金融公社のファニーメイとフレディーマックが暗黙の了解で保証していたようなカタチになっている。ところが、ファニーメイの住宅ローン債券の利回りは、今や米国債に対して22年ぶりの相対的低水準に沈んだ。カーライルキャピタルは、銀行団からのマージンコール(追加証拠金積み増し)に答えられず、デフォルト(債務不履行宣言)を受けるに至る。

引用先:ヘッジファンドのヘアカット危機 [3] 
 
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(ロイター記事の続き) 

<中東勢のドル売り目立つ、FRBのバランスシート悪化を懸念> 
 
前日からドル売りが勢いづいた要因として、市場ではオイルマネーなど中東勢のドル売りを指摘する声が出ている。これまでも中東諸国からは、外貨準備のユーロシフトに伴うと見られるユーロ買い/ドル売りが市場で「コンスタントに出ていた」(別の外銀)が、複数の市場筋によると、前日海外の取引で「かなりまとまった規模でユーロ買い/ドル売りが入った」(別の外銀)ことが、ユーロ/ドルを史上最高値まで一気に200ポイント近く持ち上げるきっかけになったという。 
 
前日海外では、カタールやアラブ首長国連邦(UAE)が米ドルペッグ制廃止を検討するとのうわさに加え、ヨルダンが外貨準備に占めるドルの構成を低下させるとの報道もドル売りの手がかりとなったが、まとまったユーロ買いはこうしたうわさを手掛かりにした短期筋の動きだけではなかったとされる。 
 
ある外銀関係者は中東勢がドル売りを強めた要因として、11日に米連邦準備理事会(FRB)が打ち出した資金供給策にあると見る。「米国債と住宅ローン担保証券(RMBS)を交換することで、米中銀のバランスシートが悪化する可能性があるのと同時に、ドル資産そのもののき損も懸念し始めている」というものだ。 
 
5中銀が11日に打ち出した資金供給策に入札型ターム物貸出(TAF)を加えると、今回の資金供給規模は全体で4360億ドル。「FRBのバランスシートの半分以上に相当」(東短リサーチ・取締役チーフエコノミストの加藤出氏)する規模に膨れ上がる。「FRBがそれだけ問題解決に前向きな姿勢を見せたといえるが、それだけリスクを取らざるを得なかったともいえる。FRBの対応は後手に回り続けているように見える。今、ドルを売らずに何を売るんだ」。ある都銀のチーフディーラーはきょう午前、こう語気を強めた。

 
 
中東産油国のドル離れ、ユーロシフトについては、るいネットの以下の投稿を参考。
貿易における通貨ドルからの離脱 [4] 
 
ドル下落、円高はまだまだ続きそうである。 
 
ドル下落によって、日本の対外資産(ドル資産)は大きな損出を発生させ事となる。 
 
例えば、1兆ドルにも積み上がった外国為替資金特別会計の資産は、1ドル=115円程度から、1ドル=100円へと10%以上も下落し、円建てでは、10兆円以上の評価損を出す事になる。 
 
米国(ドル)離れ、米国追随の金融・財政政策の転換が急がれる。 
 

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