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最近の地価動向の(裏)事情

http://debutpth.tea-nifty.com/turning_point_of_my_life/2008/02/post_4b93.html [1]%E5%85%A8%E6%97%A5%E7%A9%BA%E3%83%9B%E3%83%86%E3%83%AB.bmp
地価動向を検討する際は、データを収集して分析し、論理を組み立て、これからの動向を予測するというのが一般的な手順だと思います。
しかし、最近の地価の動きは急激で統計データの発表が後追いになる状況。
また、全般的に下落傾向が続く中で、東京圏の都心部のみが突出して高騰あるいは暴落するといった動きを示しており、それらの不動産取引の内情を探ることの方が現在の状況を把握する上では有効ではないかと思われます。
というわけで、最近耳目を集めたいくつかの取引事例を改めて調べてみました。
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●2006年9月 ダビンチ(不動産ファンド)が丸の内パシフィックセンチュリープレイスのオフィス部分を2000億円で買収
収益還元法価格でのリーズナブルな取引きが瓦解し、破格の値付けが横行しだしたきっかけとなった取引きとの説もある。
Cap Rateは約2.2%、ダヴィンチは現行賃料約4万5千円/月坪を約6万5千円/月坪で改定していて、全て新規賃料になればCap Rateは約1%上がるというシナリオ。
●2007年4月 モルガンが全日空のホテル13ヶ所を2813億円で落札リンク [2]
全日空が当初見込んでいた売却額は1000億円。
メイン物件のアークヒルズの全日空ホテル(873室)の価値は、収益還元法価格では150億円そこそこにしかならないので再開発して、さらに高層化して多機能ビルを想定して1000億円以上の破格の値付けにした。
このモルガンショックから、「バブルではない」との論拠となっていた収益還元法価格によるプライシングモデルが壊れたとも言われているもよう。
●2007年9月 森トラストグループが虎ノ門パストラルを2300億円で落札リンク [3]
落札金額は2300億円と、おおかたの予想を大幅に上回った。
二番札も約2000億円だったらしい。
サブプライムローン問題の影響で外資系の資金競争力が弱まり、前向きだったブラックストーンやローンスターにとって大きな足かせとなり、「サブプライム問題さえなければ、2500億円ぐらいまで値が吊り上がっていたのではないか」との声もある。
数年前であればせいぜい1000億円程度だったとされるパストラルの敷地。2年間は現状のホテルのままでの運営が条件づけられており、「開発が完成するまで最低でも5〜6年はかかる」(不動産会社幹部)と見られている。
●2007年 9月 三井不動産が帝国ホテルの株式を約860億円で取得リンク [4]
帝国ホテル株式の33.16%を1株あたり8750円、総額861億8750万円で取得。三井不動産は日比谷地区の再開発などを進めたい考え。
 三井不動産の岩沙社長は、帝国ホテル株取得の理由について「日比谷地区の再開発や、リゾート・ホテル分野での協力を検討していきたい」と説明した。
具体的な計画については「どういうふうに日比谷・内幸町地区をどのように魅力的に出来るか、様々な角度から計画を進めている」(岩沙社長)と述べるにとどめ、明らかにしなかった。
帝国ホテルの小林哲也社長は「中長期的に考えると、建て替えなければならないときがくる。単独では資金力などを含め、選択肢に限りがある。三井不動産の資金力やノウハウを生かして企業価値向上につなげたい」などと語った。
●2007年 10月 三菱地所連合が東新宿の土地を2300億円で取得リンク [5]
三菱地所連合が都営地下鉄大江戸線「東新宿」駅最寄の都市再生機構ものである「日本テレビゴルフガーデン」跡地(26,000㎡)をSPCを使って2,300億円で取得。
3〜5年後の完成をめざしてオフィスを中心とした複合開発を進めるらしい。
落札したのは新宿区新宿6丁目にある約4万平方メートルの同跡地のうちの「N街区」。明治通りから東側に入った一画で、現状の容積率は最高700%。高層オフィスビルを中心に商業施設などを組み合わせた複合開発を進める。SPCには三菱地所、大和ハウスのほか平和不動産、日本土地建物などが参画している。”
この案件について、以下のような書き込みも見られる。
大江戸線はビジネスラインではない。こんなところにオフィスを主体とした複合再開発をして採算が取れるのか?
ここは、明らかに二等地。2008年に副都心線が乗り入れるとはいえ、素通り駅になること必至。
「次順位より3〜4割高い落札額」、「40千円/坪の賃料でないと採算が取れない
」との見方もあるもよう。…
◆2008年 2月  <記事> [6]
不動産業者は悲鳴を上げている。更地売りなどがいい例である。買い取り仲介業者などの投げ売りが始まるまでは買ってはいけない。
新興・小規模のJ-REITの投資法人や私募ファンドは資金調達が出来ずに呻いている。まさに過去の総量規制と同じことが今、起きている。
ネクタイが要らなくなる頃(クールビズの頃?)には、不動産は2〜3割値下がりしている。
不動産仲介は全く動いていないから手数料収入が激減している。売り控えと買い控えの中での不動産仲介はビジネスとして成立しない。
都心5区以外の不動産、ブランド価値のない立地の不動産は更に暴落率は高いだろう。
首都圏の新規分譲マンションの契約率は52.7%になった(供給戸数が激減しているのに)。用地の仕入れ価格の高騰に加え建築原価の高騰分をそのまま価格転嫁した今の新築マンションは、もはや一次取得者層には高過ぎて手が届かない。
◆2008年3月 <記事> [6]
 「年が明けたら、手のひらを返したように銀行の態度が変わった」 
渋谷区内の幹線道路沿いの土地約三百平方メートルを約六億円で購入する取引を進めていた都内の不動産業者は一月中旬、本契約の直前で取引の中止に追い込まれた。大手銀行からの融資が契約直前で急きょ実行されないことが決まったためだ。
 取引が成立すれば六億五千万円で開発業者に転売する段取りだった。
業者は5%の手付金を地権者に支払っている上、20%の違約金も請求される。業者は傷口をこれ以上広げないため、廃業の準備に入った。
 「前回のバブル経済崩壊の時よりひどい。あの時はじわじわ影響が出てきたが、今回は一気に冷え込んだ」。東京都中央区のマンション開発会社の中堅幹部は嘆く。
同社のもとには連日のように、完成したマンションの在庫の処分売りの依頼が届く。都心から離れた郊外の物件が多い。売り出し価格の半値近いものもあるが「冷え込んだマンション市場では、駅から離れた郊外物件はリスクが高過ぎる」と敬遠する。  
冷え込んでいるのは消費者の購買意欲の減退に加え、金融機関が不動産向け融資に慎重になったためだ。
不動産業界団体の幹部は「年明けから異変が起きた。事業者間取引への融資は事実上凍結されている」と言い切る。
 二年前からの不動産価格の急騰を支えたのは国内外の投資マネーだった。その受け皿となっていたのが不動産ファンドだが、ここへ来て世界的な不動産市況の悪化に加え、金融機関からの資金供給が滞っている。
 ファンドは投資家からの出資金に加え、その数倍の資金を銀行からの借り入れに頼っている。「住宅からオフィスに重点を移した」(大手銀行幹部)など、金融機関は融資先の選別を強めている。
 ファンドへの融資も同様に選別され、いったん融資が滞ると旺盛だったファンドの物件取得の動きが止まり、個人も含め不動産業界全体へ影響が広がる。今回の地価下落の裏では、こうした悪循環が始まっている。
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最近の高額取得事例は、明らかに収益還元価格から大きく外れている。
帝国ホテルの事例は別の事情もありそうだが、いずれも、将来の値上がり期待を見込んでいることには変わりない。
サブプライムローン問題などで、金融機関からの融資が絞り込まれて、売りに出され、買い手が付かず値下がりというのが現在の状況のようだが、これはある意味客観的な状況判断(金融機関の責任回避の色彩が強いとは思うが)から、将来の値上がり期待は無謀という結論が出されたともいえるのではないか。
一方、世界的に見て円の価値が相対的に割安だから外資が流入している、という事情もあるもよう。 [7]
これは世界を股に駆けた金貸しに達にとっての話であって、円の圏内に住んでいる私たちには関わりのないこと。そのおかげで、私達は迷惑を被ることになるわけです。
しかし、その場合も、将来の円の価値が高まるから転売で利益獲得できるという判断をしているわけだが、円の上昇が地価の下落幅よりも大きいという保証はどこにもないはず。
今年に入ってからの金融機関の絞込みの様子は、18年前のあの頃に酷似している。ごく一部の地域でのバブルだったからあまり目立たないわけですが、明らかにバブルが弾けはじめているようです。
byわっと

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