- 金貸しは、国家を相手に金を貸す - http://www.kanekashi.com/blog -

インドやベトナムなどが国内向け食糧確保のためコメ輸出を規制 〜自国の胃袋を最優先するという当たり前の政策姿勢に転換〜

Posted By katuko On 2008年4月11日 @ 1:33 AM In 06.現物市場の舞台裏 | 3 Comments

私は、30代の会社員です。まさしく飽食の時代に育ちました。
今まで、食事に事欠く経験などしたこともありませんし、そのような心配をしたこともありません。
しかし、私たち日本人にとって、食糧確保や食の安全保障が深刻な問題になってきているような気がします。
大豆やとうもろこし、小麦といった穀物価格の国際的な急騰の煽りを受けてか、日本人の主食であるコメの国際価格も急激な上昇をしているようです。
もちろん、国際的に流通しているコメは、日本人が好む品種とは異なる品種ですが、すでに沖縄の泡盛というお酒は100%輸入米で醸造されているようです。
中長期的、かつ、、代替可能かどうかという視点で考えると、同じ主食穀物であるコメとして、今後価格が上昇する可能性は多分にありそうです。
現在の日本の食糧自給率は、40%に達していません。食べ残しなど無駄に廃棄している量を考慮しても、不足することは、明らかでしょう。
遅きに失した感はありますが、日本の安全保障の観点からも、そろそろ自分たちの胃袋をどうやって満たしていくのかを真剣に考えてもいい時期に来ているのではないでしょうか?
以下引用
日本農業新聞・食ナショナリズム(2008.3.19) [1] 

□自国の胃袋 最優先(禁輸)/混乱する穀物貿易 
 
 自由貿易、国際化、市場原理。世界中の農業と食の分野で語られてきた「改革」の危うさが一気に吹き出した。食べ物が不足する時、人はまず自分と家族の分を最優先する。国は自国民を品不足から守ろうとする。国際穀物需給の逼迫(ひっぱく)と価格高騰の中で、穀物の輸出国は相次いで輸出規制に踏み切った。食のナショナリズムは、穀物貿易を大きく揺さぶり始めた。
 バングラデシュとの国境に位置するインド西ベンガル州の都市、イングリッシュ・バザール。2月8日、米を積んだトラックの通関手続きができず、突然の渋滞が始まった。3日後には300台に達した。ドライバーは出国が許可されず、引き返すこともできない。地元紙は「米の禁輸措置で大混乱」と報じた。
 インド通産省は、高級な香り米を除いて普通の白米の輸出を昨年10月9日から突如禁じた。その後、水害で大幅な米の減産となったバングラデシュ向けに限って輸出を一部解禁。だが、今年2月7日、再び政府間貿易を除き、原則として禁輸を決めた。国境の立ち往生は政府の急な決定に業者が振り回されたものだ。
 「国民に配給するのに十分な在庫がないとなれば、輸出を規制することは当然だ」。政府系のジャイパー開発研究所前所長のシャブド・アチャルヤ博士は言い切る。インドでは米輸出は1991年までは完全な輸出許可制だった。97年に原則自由化され、数量制限と最低輸出価格制度が一部残った。その後、公式には完全自由化されて、輸出も奨励された。
 しかし、米の需給が逼迫するや、「インド政府はためらわずに禁輸を決めた」
(タイの大手米輸出業者)。国内の需要が伸びていることに加え、アフリカ向け輸出も好調。昨年のインドの生産量は過去最高の9400万トンを記録したが、急増する米輸出を前にして、国内の米供給を最優先する姿勢を明確にした。

 
続きを読む前に、クリックを! 
 

 世界の米貿易(2007年)は約3000万トン。最大輸出国のタイが3分の1を占め、500万トンのインドと450万トンのベトナムが続く。ベトナム政府も昨年夏から米輸出にブレーキを踏んでいる。「計画数量の輸出契約が結ばれた」として、政府が民間業者に対して新たな輸出契約をストップするよう強力な行政指導を行ったのだ。
 「年が明ければ新穀が出回り、輸出は解禁される」。楽観的な見方が業者の間で流れたが、年明けも民間による輸出契約は滞ったままだ。ハノイにある農業農村開発省のキム・ソン政策・戦略研究所長は、明快に言い切る。
 「ベトナムは世界貿易機関(WTO)に加盟、農業分野でも規制緩和を進めている。だが、米は基礎的な食料で特別だ。貧しい人たちにも十分供給する責任が政府にはある。食料の安全保障を考えれば、農地は守る。需給もある程度コントロールが必要だ」
□米市場 停滞の危機/
 中国政府は2月、穀物の輸出企業に対して「国内需給を乱すような輸出をしてはならない」と個別の指導を強化し始めた。昨年末から今年初めにかけ、輸出税の導入など相次いで食料の輸出抑制策を打ち出した。しかし、豚肉など国内の食品価格上昇は止まらない。「国民の不満を抑えるため、内々に締め付けを強め始めた」。事情をよく知る中国政府関係者の解説だ。
 世界の米輸出の上位7カ国の中で、昨年以降に何らかの形の輸出規制を敷いたのは4カ国(インド、中国、ベトナム、エジプト)ある。いずれも「自国への供給を優先する」というのが理由だ。
 最大の米輸出国、タイ。現在のところ輸出規制を計画している様子はない。しかし、米需給の逼迫(ひっぱく)が国内の米不足まで進めば、話は別だ。
 「タイも1970年代には米禁輸に踏み切ったことがある。今回も国内への影響が大きいと政府が判断すれば、同様の措置をとるだろう」
 タイ政府の米政策に詳しいカセサート大学のソンポーン・イスビラノンダ准教授は、事態の展開によっては、タイ政府が輸出抑制に傾く可能性はあると指摘する。その場合、世界の米貿易はほとんどが停止状態に陥るはずだ。
 米需給が逼迫し国際相場が上昇。国内相場もつられて上がり、輸出国政府が国内優先の立場から輸出を絞る。これが国際市場に「品不足」のメッセージを送り、さらに国際相場を押し上げる——。悪循環が始まった。
□穀類値上げやまず/トウモロコシ2倍超
 世界の食料価格の高騰が止まらない。過去2年の間に、安くていつでも買えるトウモロコシや小麦、大豆が姿を消し、シカゴ先物相場は連日高値を更新している。小麦は2年前の3倍、トウモロコシや大豆は2倍以上に値上がりした。
 需給逼迫の原因は、需要の増加と供給の伸び悩みだ。石油代替のバイオ燃料向けの急増や、新興国での食生活の近代化が需要を底上げする一方、各地で干ばつ被害が相次ぐ。穀物生産量が消費を下回る状態が続き、世界の在庫が減って、不安定さが増している。
 見逃せないのが先物市場への大量の投機資金の流入だ。穀物の新たな買い手として登場し、相場高騰の主役の一人として定着しつつある。
 このあおりで世界中で食料価格の値上がりが相次ぎ、開発途上国の中には暴動が起きた所もある。
01_03.jpg
□揺らぐ主産国・タイ現地報告/米急騰、輸出ブレーキ “逆さや”に嫌気
 毎週水曜日、バンコク市内のビル街から離れた静かな場所にあるタイ米輸出業者協会の事務所には、昼前から高級車がずらりと並ぶ。午後1時から理事らが顔をそろえ、事前に報告を受けた契約価格を元にして、その週のタイ米の輸出価格をまとめる。
 「みんな情報は持っているから、時間はかからない」。協会のチューキアット・オファスウォンセ会長は説明する。理事会終了後には、数分のうちに一覧表がメディアを通じて世界に発信される。事実上の米の国際価格はこの場で決まる。
 米の需給は1990年代後半から緩和し、しばらく1トン当たり200ドル前後(100%白米B級)の価格が続いた。2004年に300ドル水準まで上昇し、07年末から一気に高騰し、今年3月には500ドルを超えた。12日の段階で556ドルだ。
 米農務省によると、2000年に36%あった世界の米在庫率は、今年半分の18%まで低下した。在庫の取り崩し過ぎが需給逼迫(ひっぱく)の背景にある。
 「1000ドルまで上昇しても驚かない」
 オファスウォンセ会長は、2月下旬の理事会が終わった直後、記者に断言した。
 理由として挙げたのはインドやベトナムの輸出規制だ。現実、輸出余力を持つ国はタイと米国に絞られている。海外からの注文が盛んな一方、供給が限られるため、値下がりしにくい。
 「特にアフリカからの注文が目立つ」というのは、別の大手米輸出業者だ。アフリカでも産油国を中心にして経済成長が続き、米需要は着実に伸びている。伝統的にインド産が回っていたが、インドの禁輸で手当てできず、タイ米で調達をするようになった。
 もう一つの理由は、国際相場のペースを上回るタイ国内米相場の急速な上昇だ。業者は数週間から数カ月先の輸出契約を結び、実際の出荷が近づくと現物を手当てすることが多い。相場が落ち着いている時には問題はないが、あまりの国内米相場の急騰で、輸出業者が逆ざやに陥るケースが続出している。
 オファスウォンセ会長が自らの経験を説明する。
 「日本向けに450ドル前後で契約したが、実際に手当てできたのは470ドルの米。1トン当たり20ドルの逆ざや。5000トンで10万ドルの差損が発生した。それ
でも米を集めるのが大変だ」
 米相場の先高観が強くタイの農家や産地卸、精米業者が手持ちの米を増やしている。「ある程度の在庫が流通段階に積み上がらないと、まとまった量の米の出回りは期待できない」。こんな見方がタイの米業者間では一般的だ。
 契約した国際相場と国内相場の逆ざやが続けば、「業者によっては輸出契約の履行が難しくなるかもしれない」(タイの大手米輸出業者)といううわさも広がってきた。業者が逆ざやから身を守ろうとすれば、輸出量を絞る以外に道はない。
 国際相場の高騰はタイの米輸出業者にとって追い風。しかし、国内相場の急騰は強い逆風だ。米輸出大国も急激な需給逼迫の中で立ち往生し始めた。

 
 
穀物価格や資源価格の国際的な高騰を受けて、私たちの生命を根底から支えている食の分野で、ブロック化の動きが出てきているようです。
食糧や穀物の状況についてもっと詳しく知りたいという方は、以下の食ナショナリズムのシリーズに目を通してみて下さい。 
 
[食ナショナリズム](2)政治/輸出解禁 先延ばし [2] 
 
[食ナショナリズム](3)迷走/米確保で四苦八苦 先延ばし [3] 
 
[食ナショナリズム](4)復活/穀物管理を厳格化 [4] 
 


Article printed from 金貸しは、国家を相手に金を貸す: http://www.kanekashi.com/blog

URL to article: http://www.kanekashi.com/blog/2008/04/509.html

URLs in this post:

[1] 日本農業新聞・食ナショナリズム(2008.3.19): http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/tinyd/index.php?id=235

[2] [食ナショナリズム](2)政治/輸出解禁 先延ばし: http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/tinyd/index.php?id=237

[3] [食ナショナリズム](3)迷走/米確保で四苦八苦 先延ばし: http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/tinyd/index.php?id=238

[4] [食ナショナリズム](4)復活/穀物管理を厳格化: http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/tinyd/index.php?id=239

Copyright © 2014 金貸しは、国家を相手に金を貸す. All rights reserved.