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福田と小沢の談合

日銀総裁人事 信認低下のツケは大きい

戦後初の空席が続いていた日銀総裁人事が、混迷の末に決着した。就任して間もない白川方明副総裁を総裁に昇格させる政府の人事案が国会で同意され、総裁不在という異常事態は約三週間ぶりに解消された。

白川氏の後任の副総裁として前財務省財務官の渡辺博史一橋大大学院教授を起用する案は、参院本会議で民主、共産、社民各党などの反対多数で否決された。二人の副総裁のうち一人を欠く不正常な体制は続く。

それにしても後味の悪い総裁人事となった。副総裁に任命した白川氏を、政治の対立で総裁が決まらないという理由から昇格させたのは、何とも苦しい選択としか言いようがない。

総裁は日本の金融政策の指令塔であり、中央銀行の「顔」でもある。国内外の市場などに対する日銀総裁の権威や信認が傷ついたのは間違いない。発言力の低下は免れず、そのツケは大きい。日銀出身の白川氏本人が一番、受けたダメージを懸念しているのではないか。こういう事態を招いた政治の責任は極めて重い。

福田康夫首相が描いていた構想とはかけ離れた人事になった。「その場しのぎ」のような手法で迷走し、指導力のなさを露呈した。

民主党の対応も理解に苦しむ。福田首相が提示した総裁候補者は二度とも財務省OBだったが、いずれも拒否した。「財政と金融の分離」「天下り禁止」などの反対理由を掲げたが、説得力に欠けた。欧米では珍しいことではなく、あくまで人物本位で判断すべきだった。

「政争の具にした」と言わざるを得ない。さらに参院の副総裁人事案採決で一部の民主党議員が造反し、小沢一郎代表の指導力にも疑問符が付いた。火種を残す結果を招いたといえる。

以上は、山陽新聞の4月10日付けの社説である。

マスコミは概ねこのような論調で民主党に体よくしてやられている福田政権を挙って批判している。

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私もそう考えていた。

日銀総裁人事 信認低下のツケは本当に大きいのか?

福田と小沢の関係や、覇権が崩壊が隠しようもなくなった米国に対する全く異なる見解を述べている記事に出くわした。

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以下はフリーの国際情勢解説者である田中 宇(たなか・さかい)氏の国際ニュース解説『米露の接近、英の孤立』2008年3月22日からの抜粋である。

今後は強い円が日本の国益に合う」 
 
 日本政府は、日銀総裁を4月上旬まで空席にすることにしたが、この戦略は正しい。米金融界は今後4月前半にかけて崩壊していくだろうから、ちょうどその時に、日本は日銀総裁がいない状態だ。前回も書いたように、これは米政府から米国債の大量購入を頼まれるのを防ぐため、福田首相と小沢民主党党首が談合して日銀総裁を決められない状態にした疑いがある。敗戦以来、日本政府は、アメリカから強く頼まれたことは断れない状態にある。「日銀総裁が空席なので、決められません」「野党が反対してますので、できません」と言うぐらいが最大の戦略である。 
 
 日本のマスコミは、日米欧で協調してドルを支えねばならない時に日銀総裁がいないのは福田政権の失策だ、という論調だが、これは国賊的な間違いである。米政府自身がドルを下落させている時に日本などが買い支えても、一時しのぎ以上の効果はなく、結局買った米国債やドルが下がり、日本人の税金が無駄遣いされるだけだ。 
 
 EUの中央銀行(ECB)は「米連銀は自らの失策の結果、金融崩壊を激化させているのだから、ECBが連銀に協力して利下げする必要などない」と傍観する姿勢をとっている。日本政府も、同じ気持ちだろう。対米従属の日本は、EUと同様の露骨さでアメリカを批判できないので、代わりに日銀総裁空席作戦などで、米からの要請の回避を目論んでいるのだろう。

(以上、転載終了) 
 
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「国際情勢において「世界が多極化する瞬間」のようなものが近づいている。今後1カ月ぐらいの間に、アメリカの覇権や、米英中心の世界体制を支えていた何本もの柱が崩壊していく感じが加速しそうだ」という田中宇氏の認識に共感します。いよいよ自民・民主の大連立も現実のものとして見えてきたようですね。 
 

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