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最近の東京人口集中の特徴

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前回に続き、東京への人口集中の実態を調べてみました。
大学進学とその後の就職を契機に大都市に若者が集中するという現象は昔から変わらないわけですが、その後の動きが昔と変わってきているようです。
さらに、男女別の人口移動をみると、東京圏の大きな特徴が浮かび上がってきました。
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これまでの東京圏への人口集中とは以下のような状況になっていました。
●東京圏への転入超過数は、バブル期前の1987年ごろにピークを迎え、以降1994年まで減少していった。(93年〜95年の時期は転出超過)
1994年を底に、東京圏への転入超過数は増加に転じ、以降、現在まで継続している。
●以上の動きを転出数と転入数に分けてみると、94年の時期までは転入数の変動が中心だったが、94年以降転入数はほぼ横ばいとなり、転出数が減少することによって、差し引きの転入超過数が増加してきた。

これを具体的な現象としてみると、以下のようなストーリーになります。
●かつて、高度成長期以降、首都圏では15〜24 歳の若年層を受け入れ、20 歳代後半〜40 歳代の中堅層を送り出すという構造だった。そして、首都圏の中では、「進学・就職で東京に出てきた若者が家族を持って家を買い郊外へ移り住む」というパターンが主流だった。
●近年は、若年層を地方から首都圏に呼び寄せる状況は一貫して変わらないが、20歳代後半以降の流出が止まっている。これは、首都圏で生まれた人のシェアが大きくなり、地方に戻る人の数が減っているということが一因。
また、大学進学率が高まり、大学進学とその後の就職を契機に若者が首都圏に転入してくるという現象は継続しているものの、高学歴の人材が地方に移動しなくなっていることも転出数の減少の原因になっていると考えられる。
以上の状況を、男女別に見ると首都圏の大きな特徴が浮かび上がってきます。
90年代後半以降、出産適齢期の女性が東京圏に集中 [1]
ややセンセーショナルなタイトルのレポートですが、近年、首都圏以外で転入超過になっている名古屋圏と東京圏の人口移動データを比較し、以下のような状況を浮かび上がらせています。

1980年の人口水準をベースに5年毎に20代〜30代の男女別の人口水準を見た結果
●2000年までの人口増加は、東京圏男性>東京圏女性>名古屋圏男性>名古屋圏女性の順番
●名古屋圏女性は2005年まで、一貫して1980年水準を下回っている。
●東京圏男性、東京圏女性、名古屋圏男性は、1995年以降に1980年水準を超えた。
●2000年から2005年の間に、東京圏男性は減少し、東京圏女性と名古屋圏男性は横ばい
●2005年時点では東京圏女性>名古屋圏男性>東京圏男性の順位となり、東京圏女性の伸びが顕著になってる。
この状況を学歴別に見ると以下のようになっています。
1990年と2000年における女性の転入超過数
●東京都では、1990年は短大、大卒、大学院卒の女性は大幅な転出超過だが、2000年になると転入数が増加する一方で転出数は増加しておらず、大幅な転入超過数の増加となった。
●愛知県では、1990年、2000年とも転入・転出ともに多く転入超過数はごくわずかになっている。
●以上、90年代後半以降の首都圏における転入超過の増加の背景のひとつに、高学歴者を中心にした20〜30代女性の転入がある。

・少子化、晩婚化の傾向があるとはいえ、出産は20〜30代が中心になることから、その年代の女性が集まることで、首都圏への人口集積の傾向はさらに継続する可能性がありそうです。
・一方、製造業を中心にした集積が進む名古屋圏については、その限りでは将来の人口集積には限界がありそうです。男性が働き、女性は家庭といった旧い考え方の時代は製造業の集積で地域人口の集積が進んだわけですが、これからの時代はそうはならない可能性があります。
・高学歴の女性たちが首都圏に集まる理由として、彼らにとって魅力のある就業機会があることがあげられています。大企業の本社機能や官公庁、商業、医療、教育、サービスなどの産業集積によって働く場としての魅力とともに生活・消費地としての魅力も高まっていることがあげられています。
・このあたりの分析は、もう少し深めたいところですが、いずれにしろ旧来の考え方による地域振興策ではうまくいかないことの理由のひとつになりそうです。
byわっと

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