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シリーズ「どうする?市場の独占支配」2

Posted By cosmos On 2008年5月25日 @ 8:45 PM In 04.狙われる国の資産 | 5 Comments

 
【第2回:資源メジャーの再編と独占②】
 
 
今回は、日本鉄鋼企業の今までの対メジャー戦略について触れておきます。(前回は、こちら [1]) 
 
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   心に釘刺す者は誰か・・・・(あれ?よく見ると心も釘でできてる・・・)
 
 
改めて振り返ってみると、戦後日本は世界の資本主義システム(=弱肉強食の経済システム)の中で日本人的礼節を踏み外さずに市場に挑んで成功を収め、その影響力を発揮してきました。しかし、世界に先駆けて豊かさを実現したことによる競争力の衰弱+台頭する中国、インド、ブラジルなどの新市場の影響があいまって、略奪市場の覇者に力を奪われる瀬戸際にあるかのようです。今回の記事でその詳細にまでは触れることができないのですが、今後の記事も合わせて共有できれば幸いです。
 
では、・・・              
 


 
 
日本の鉄鋼業は、戦後の日本経済を牽引する役割を担っており、鉄鋼資源メジャーに対しても相当な影響力を有していた。そして、需要側の戦略として「世界鉄鋼石産業の育成」と「資源市場の分断」を図ることで、供給側に対して有利な交渉を続けてきている。戦略として、当時未熟な鉄鋼石産業を育成してきたことは、興味深い。
「鉄鋼石産業の育成」の例としては、日本の製鉄会社団と商社によってオーストラリアにおける生産者に対して資本と技術の提携先を仲介する援助を行うなど、鉄鋼石メジャーに対する影響力を蓄えてきている。こうして有利な鉄鉱石ビジネスに進出してきた外国企業の一つに英国のリオティント・ジンク社がある。1958年に開始された日本とブラジルの合弁事業であるウジミナス製鉄所 [2]も、当時の国営企業であったリオドセ(現ヴァーレ)との関係を強めるものだった。
「資源市場の分断」とは、複数の資源メジャーを相手とすることで供給側の競争により鉄鋼石価格を抑制する戦略であり、70年代では最も安かったオーストラリア産の鉄鋼石が確保されていた状況においてさえ、ブラジルやインドなどの競合先を開発し供給源の分散を図ってきた。
 
近年、中国やインドなどが鉄鋼生産国として鉄鋼石需要を高めてくることで、今まで日本が取り続けてきた戦略が崩れかけている。例えば日本と中国との需要家としての連携は困難で、新需要の台頭は相対的に日本の影響力を相対的に弱める結果となった。具体的には、台頭する中国と資源メジャーとの攻防によって市場環境が変化すると共に、そこでの取引価格が日本を含む他国の取引価格を左右するようになってきた。
 
また、有数な資源抱えるオーストラリアにおいては、鉱物資源をめぐる熾烈な争いが展開されてきている。2001年にはリオティント社がノース社を買収することで、オーストラリアの鉱物資源産業でのシェアを拡大した。日本側は鉄鉱石供給元を維持しようと厳しく争ったが、敗北の結果リオティント社は買手である日本市場の33パーセントを支配することとなり、BHPの24パーセント、ブラジルCVRDの16パーセンのいずれをも上回り、発言力(交渉力)を増していった。
 
1990年には日本の製鉄会社団は、リオティントとBHP両社の市場価値合計の約七倍の価値があったが、2001年にはオーストラリアのこの巨大資源会社二社の価値合計は、日本の製鉄会社団のほぼ二倍に達していることから、供給側の市場支配力の強化が伺える。さらに現在、(前回記事にあるように)BHPビリトン社がリオティント社に買収を仕掛けており、この買収が成立すると圧倒的に資源メジャー側が市場支配力(価格決定権)を強めることとなる。そのことに対する抵抗が、ブラジルのヴァーレ(リオ・ドセ社)との価格交渉結果だった・・・
 
(次回、中国と資源メジャーなど)
 
引用元:オーストラリアの鉱物資源をめぐる争い [3]
 
 
by コスモス


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[2] ウジミナス製鉄所: http://econgeog.misc.hit-u.ac.jp/excursion/04Brazil/06usiminas/9.6uziminasu.html

[3] オーストラリアの鉱物資源をめぐる争い: http://www.asiaproject.com.au/nihongo-rep01.htm

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