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日本は食糧を輸入するお金が十分あるが!

穀物の国際価格が、ファンドによる投機的資金により、急激に値上がりしている。 
 
そこで、日本の輸出入において、食糧輸入はどうなっているのか、今回は、貿易統計を使って、みてみました。 
 
まずは、日本の輸出入です。 
 
2007年の輸出総額は、83兆9314億円。輸入総額は、73兆1359億円。
貿易黒字は、10兆7955億円です。 
 
品目別輸出では、一般機械、電気機器、輸送用機器が主要3品目です。 
 
輸送用機器(自動車、自動車の部品、二輪車、船舶等) 20兆8392億円。
電気機器(半導体等電子部品、映像機器、電気回路等の機器) 16兆9498億円。
一般機械(原動機、電算機、金属加工機械等) 16兆6313億円。 
 
対して、品目別輸入では、圧倒的に原油・石炭等のエネルギー輸入が大きい。 
 
鉱物性燃料(原油、石油製品、天然ガス、石炭等) 20兆2061億円。
食料品の輸入額は、6兆408億円。 
 
2007年の日本の貿易を荒っぽくまとめてしまうと。 
 
・輸送用機器の輸出20兆円で、エネルギーの輸入を賄う。
・電気機器の輸出16兆円で6兆円の食料を輸入して、10兆円が黒字として残る。
・一般機械の輸出16兆円で、その他諸輸入を賄っている。 
 
2007年までは、貿易で稼いだお金で、十分、海外から食料を買うことが出来ました。 
 
しかし、2007年の数字は、原油価格の急上昇、穀物価格の急上昇が、まだ十分には反映されていません。 
 
今後、エネルギー輸入が、20兆円を大きく上回り、食料輸入が8兆円、10兆円となれば、貿易黒字がなくなってしまう危険を孕んでいます。 
 
エネルギー輸入20兆円の行方が気になりますが、今回は、食料輸入の方をみてみます。 
 
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品目でみた穀物輸入額と輸入単価の値上がり 

 品 目  輸入額
(2007年)
単価(千円/トン)
2003年
 
2007年
 
2008年3月
とうもろこし  4,517億円   16.3   27.2   32.4
大  豆  1,955億円   34.0   47.0   64.4
小  麦  1,922億円   24.1   36.4   61.0

 
2008年3月通関の単価を見ると、とうもろこしは、トン当たり3万2400円、2003年の2倍の価格になっている。大豆は、トン当たり6万4400円、これも2003年の2倍です。
小麦の値上がりが一番大きく、2008年3月でトン当たり6万1000円。2003年の3倍弱です。
2007年の平均に比べても、2倍弱です。 
 
この値上がりの激しい、とうもろこし、大豆、小麦は、どこから買っているのでしょうか? 
 
そうです、アメリカからです。 
 
とうもろこしの93%、大豆の78%、小麦の58%が、アメリカからやってきます。 
 
アメリカの商品取引所で、ファンドの投機により穀物価格が暴騰する。その値上がりした価格を、穀物メジャーが日本に押し付ける。そして、日本は、値上がりした穀物を輸入する。 
 
今現在は、日本は値上がり食糧を輸入する外貨をもっています。 
 
日本という外貨余力のある市場が確保されているので、ファンドの投機で穀物価格の値上げが可能になっているのです。
だから、「投機で値上がりした高い穀物価格なら、日本は輸入しない!」
「商品取引所は実需に基づく価格形成を行うように、管理監督せよ!」との主張を、どこの国よりも言える立場にあります。
飽食日本が、(もう一つの爆食中国と連携して)、食料輸入を2割、3割削減すれば、食料価格バブルが弾けます。
それが、現在の世界的な食料(価格)危機に対する、有効策のように思います。 
 

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