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炭素本位制時代は来るのか?NO3〜排出権取引市場が動き出す

Posted By ryujin On 2008年7月5日 @ 8:11 PM In 08.金融資本家の戦略 | 9 Comments

暖化ガス排出量取引市場がいよいよ日本で本格化する
6月6日国内の金融機関が排出量取引に参入できるようになる、「金融取引改正法」が参院本会議で可決成立し、排出量取引市場作りが本格的に動き出した。
この背景には洞爺湖サミットで低迷気味の支持率挽回を狙う福田政権の思惑もありそうですが、そんな日本の政権の目先の思惑を見越して、取引市場の仕掛けは周到に行われてきたようです。
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○日経新聞6月6日版によると、東証は京都議定書が定める排出量取引市場の制度作りを担う研究会を発足させた。以下その記事抜粋。

商社や電力会社が現時手がけている相対取引では、削減事業から将来得られる排出量を発行段階で売買するのに対し、東証は国連登録簿に認証された確実性の高い排出量を対象とする見込み。発足当初の取引参加者は企業・金融機関などプロに限る見通しだ。
国立環境研究所の亀山康子主任研究員は、取引所市場が実現すれば排出量の時価が明確になり、取引コストも下がって排出量の削減にプラス。一方東京電力など大口売買を手がける企業の中には、相対取引で充分。金融機関の取引が増えると排出量価格が高くなると懸念する。

つまり政府寄りの学者は賛成し、この市場が整備され、排出枠の上限を設けて過不足分を取引するキャップ&トレードを強制されると大きな負担を強いられる電力鉄鋼などの大口排出者は、これまでも反対の立場。
以下の解説は「飯田哲也 [2]・環境エネルギー政策研究所長」

※かつて電力会社の独占的立場を揺るがす電力自由化に賛成する現職通産大臣が2人も落選した経緯があり最近まで、電力会社の力の前には自由化を意図する官僚も打つ手を欠いていた。
しかしここに来て、経団連は排出権のキャップ&トレードに対して軟化姿勢を取り出した。
相次ぐ原発事故による稼働率の低下により火力発電の比率を上げた結果、京都議定書作成時の削減目標は大きく崩れ今や殆ど実現する見通しは無い。
そこで電力会社としても実現不可能な数値目標に対して、高まる削減圧力をリセットするためにキャップ&トレードに対し、これまでの反対の姿勢を軟化させたというのが真相のようだ

事実(キャノンの御手洗経団連会長は、国内排出量取引「科学的・合理的なら検討」 と早くも金融改革取引法が可決した6/6の記者会見で半分白旗を挙げている

「日経・JBIC排出量取引参考気配」の公表 [3]について によれば、
 

国際協力銀行(JBIC)と日本経済新聞デジタルメディアは、日本国内における確定排出量(注)取引の価格気配動向を伝え、市場形成に資するため、4月21日から「日経・JBIC排出量取引参考気配」の算出・公表を開始致しました。
  (中略) そこで国際協力銀行と日本経済新聞デジタルメディアは共同で、国内外における排出量取引市場の主要参加者であるエコセキュリティーズ日本株式会社、JPモルガン証券株式会社、ナットソース・ジャパン株式会社、フォルティス銀行、丸紅株式会社の5社(順不同)の協力の下、日本で確定排出量取引を売買する場合の価格動向を気配値として公表することについて検討してきました。その結果は別添の通りです。
 こうした情報を出来るだけ多くの企業等にタイムリーに提供することのニーズは高く、日本経済新聞社グループのネットワークや国際協力銀行を通して、今後も継続的に提供していくことが有意義であると考えました。そこで、情報を活用いただく際の利便性を図るため、この価格動向を「日経・JBIC排出量取引参考気配(Nikkei-JBIC Carbon Quotation Index)」として情報提供することにしました。

とあるように、既に国内外の金融機関は政府によるキャップ&トレードの「強制執行」と排出権取引の市場設置を見越して、着々と手を打っています。
そしてこの「気配値動向 [3]」によれば今年4月21日に2644.7円/tであったものが、6月30日には3486.7円/t、と何と2ヶ月足らずで約j32%も上昇した。
もはや金融機関にとっては、地球環境をどうするという課題はどこかへ飛んでしまい、サブプライム問題で傷ついた債権市場の代わりとなる新市場の立ち上げと動向にしか関心が向かっていないと見える。
日経新聞の今年4月12日版 [4]によれば日本が2007年度に購入した温暖化ガス排出枠は1200万トンになったそうだ。
仮にこれに今年6/30日の市場「気配値」3486円を掛けると、約418億になる。
又、京都議定書で約束した目標排出量11.86億tに対し、現状では13.8%もの削減 [5]をしなければならない。
仮にこれを全部排出権として購入せざるを得ないとすれば同じ気配値で計算すると、約5680億円もの負担を強いられることになる。半分としても3000億弱の負担となる。
「さてこれだけの金額が動いたわけですが、支払われたお金はどこへ行くのでしょうか?(瑠璃青(LuLiAzur)の日記)」 [4]と誰しも思わざるを得ません。
この一連の動きは結局、「環境貢献」の美名のもとに、実態はCO2削減の効果の検証のやりようの無い取引市場という幻想空間で、懲りない 「バクチ打」達にまたもや無から濡れ手に粟の機会を提供するだけの結果になることはほぼ明白ではなかろうか。


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[1] 日経・JBIC(国際協力銀行)による排出量取引参考気配: http://eco.nikkei.co.jp/NJCI/index.aspx?cid=ecow_topics

[2] 飯田哲也: http://eco.nikkei.co.jp/interview/article.aspx?id=MMECi3002021042008&page=1

[3] 「日経・JBIC排出量取引参考気配」の公表: http://eco.nikkei.co.jp/toya_summit/

[4] 日経新聞の今年4月12日版: http://d.hatena.ne.jp/luliazur/20080413/1208057971

[5] 13.8%もの削減: http://monthly.ascii.jp/elem/000/000/100/100131/

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