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各国通貨はどこへ向かうのか?

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タイトルのごとく、最近ちょっと気になる本・・・ 🙄
サブプライム発の金融危機→市場低迷→ドル安。
この金融危機に際し、基軸通貨であるドルをFRBが大量に供給したために
ドル安が誘引されたわけだが、一体どの程度のドルが供給されているのだろうか?


ドル安の要因である通貨供給量の実態、因果関係は田中宇氏 [2]に詳しい。
以下引用。

その結果、通貨(ドル)の供給量が急増している。米連銀は2006年春以来、主要な通貨供給量(M3)の発表をやめている(発表停止は、過剰な通貨発行を隠すためとみられている)が、代わりの通貨供給量の指標として、連銀発表のいくつかの数値を組み合わせたMZM(Money of Zero Maturity)があり、この指標で表した通貨供給量は、この2年間で25%増えている。特に、米金融界が崩壊寸前までいった今年3月には、年率換算で16・7%も通貨供給量が増えた。ドルの発行総額が、5年で倍増する計算になる。
通貨供給増は、インフレに直結する。通貨供給が2倍になったら、物価も2倍になると考えられる。世界的にインフレがひどくなっているのは、世界の主要商品の価格を形成している米ドルの発行量が急増した結果である。米連銀のバーナンキ議長は、通貨供給量を急増させるのが最良の不況対策だと主張してきた学者であり、彼は「造幣機」とか「ヘリコプター(から紙幣を街にばらまくことを景気対策と言った男)」とあだ名されている。インフレを軽視する点でバーナンキは間違っているが、彼の間違った政策は全速力で続けられ、世界的インフレの大惨事が起きている。
 世界の通貨の中でドルだけが供給増になると、ドルは円やユーロに対して下落するが、現在の世界では、世界のほとんどすべての国が、通貨の安定や輸出振興の観点から、自国通貨の対ドル為替の上昇を嫌う。多くの国が、ドルの供給増に合わせて、自国通貨の供給を増やし、自国通貨を意識的にドルに連動して弱体化させている。EU当局は年率11%のユーロの供給増を続け、ドル安ユーロ高を回避している。


基軸通貨であるドルの下落 は、各国の経済にも多大な影響を与えるが、各国は(上記にあるように)「自国通貨量の供給増」、もしくは「ドル買い」の方法で、ドル暴落を支えているのが現状だ。
しかし、これは延命措置に過ぎない。というのも、いずれも最終的には「世界的インフレ」or「ドルに対する切上げ」という現象に繋がるためだ。
基軸通貨の崩壊という必然的メカニズムから、ドル崩壊→米国の覇権衰退は明らかだ。
にも関わらずこのドルの延命措置を(日本は)いつまで続けるのだろう?世界では反米の機運も高まっている中で、どうして(政治家は)Noと言わないのだろうか?ドルを買い支えるだけの国家資金があるのなら、輸出企業を救う方がよほど日本社会のためだと思うが・・・

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