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炭素本位制時代は来るのか?4

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【原発 年32基増必要、投資額4700兆円 IEA試算】

 国際エネルギー機関(IEA)は6日、2050年までに世界の温室効果ガスの排出量を半減するためには、原子力発電所や風力発電の増設などに総額45兆ドル(約4700兆円)の追加投資が必要になる、との試算を発表した。


 昨年ドイツで開かれた主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)では、世界全体の排出量半減の目標を「真剣に検討する」とした。今回の試算を受け、7、8日に青森県で開かれる主要8カ国(G8)エネルギー相会合では、省エネ推進や代替エネルギー開発に向けた協力体制づくりを目指す。(リンク [1]



 2050年までに4700兆円ということは、今2008年だからあと42年で割ると1年で112兆円、1日で3000億円…。日割りで考えてしまう発想が我ながらビンボ臭いですがとにかくすごい額です。なぜ減らすのにこんなに金が掛かるんでしょうか。逆にみんなで金使わなければ減るんじゃないの?





上記のニュースの元ネタはIEA(国際エネルギー機関)の出した
「エネルギー技術展望2008(リンク [2])」
のようです。
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この資料によると、[地球温暖化を摂氏2度から2.4度までに抑えるためには、温室効果ガスの排出量は2050年までに50%から85%まで削減されなければならない。]と結論付けています。そのために必要な投資として挙げられている主なものを紹介すると…。



■建築物部門
・外壁対策、ヒートポンプ、太陽熱暖房、高効率照明など:7兆4000億ドル
■発電部門
・原子力発電32基/年、風力発電14000基/年、太陽光発電所80基/年など
 :3兆6000億ドル
■輸送部門
・10億台の電気自動車・燃料電池自動車など:33兆ドル
■産業部門
・鉄鋼、セメント、製紙プラントのアップグレードなど:2兆5000億ドル



CO2を減らすために色々作らなければならないようですが、これらを作るために排出する分はちゃんと計算に入ってるんでしょうか?

なんだかダマされているような気もするのでもう少し詳しく読み込んでみると、資料の前文「2050年までのシナリオと戦略」では、こう述べられています。

[経済成長と開発を持続させていくため、世界は絶えずエネルギー供給を増加させていく必要がる。しかしエネルギー資源は逼迫しており、今日のエネルギー利用から来る二酸化炭素の排出は既に我々の気候を脅かしている。]

さらに[我々エネルギー部門において深刻な課題に直面している。国際経済は現在から2050年までの間に4倍の規模に成長を遂げると考えられており、中国やインドといった発展途上国においては成長率は10倍近くに達し得る。この経済成長は経済的な利益や人々の生活水準の大幅な向上をもたらすが、同時に現在よりはるかに多くのエネルギー利用を伴うことになる。もし我々がエネルギー需要の伸びを経済成長と切り離し、また化石燃料の需要を切り離さなければ、天然資源や環境に対して持続不可能な圧力がかかることは避けられない。]



 IEAの論旨は、「今後も世界経済は成長して、人々はもっと物的に豊かになっていかなくてはならない。エネルギー供給も増加させていく必要があるが、CO2は減らさないといけない。」ということのようです。


なんかこう「食事制限はしたくないけどダイエットしたい。」「お金使えばなんとかなる?」とのたまって深夜通販で色々買ってしまう人と共通するものが感じられます。(それでうまくいったという話はあまり聞いたことありませんが。)




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なんかこうさらにダマされてる感が漂ってきます。市場拡大を維持したままでCO2を半減ってちょっと虫が良すぎる気もするんですが、「IEA」ってどんな組織なんでしょう?

[3] [4] [5]