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世界は多極化する? 〜ドル安懸念から各国は通貨供給量を増加させている?〜

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国際基軸通貨であるドルが大量に増刷されています。
その結果、何が起きているかというと、
原油・穀物・鉄など国際相場の高騰。。。
また、ドルを大量に発行したことでドル安になっています。
これに対して世界各国は為替安定のため、通貨供給量を増やしているのではないかと考えられます。
そして、それもインフレに繋がっているのではないかと。。。
このシリーズでは、各国の通貨供給量の実態を調べ、上記仮説を検証していきます。
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初回は、基軸通貨ドルの大増刷の実態について

●ドルの大増刷 [1]
 銀行間の不信感は解消されているのかもしれないが、その他の面では、米経済はいまだに崩壊寸前の状態だ。すでに書いたように、米国民の経済状態は悪化するばかりだ。米経済の65%は、米国民の消費で成り立っている(アジアと異なり、製造業の比率が低い)。米国民の家計が大赤字では、米経済は不況から立ち直れない。米住宅市況は悪化の一途で、市況が底を打つまでは、サブプライムの破綻も終わらない。
 しかも米当局は、金融危機への対策として、ドルの大規模発行を続けている。米当局はドルの刷りすぎ状態を隠すため、2006年から通貨供給量(M3)を発表しておらず、代替指標としてセントルイス連銀が発表しているMZM(money of zero maturity)がある。MZMによると、昨年はドルの増刷は年率9%だったが、今年1−3月には年率30%の驚くべき大増刷となっている。
 連銀は今年、金融危機対策として大幅な利下げを行い、銀行への巨額の救済融資を行っている。しかし、それに伴ってドルの大増刷が実施されており、増刷はインフレを悪化させ、石油や穀物などの世界的な高騰を招いている。ドルの価値の下落を嫌気して、世界からアメリカに流入していた投資資金が止まっている。世界の投資家は今年1−3月、米欧に投資されていた1000億ドルの株式投信の資金を引き揚げている(昨年同期は190億ドルの流入)。
 3月前半に金融危機がひどくなった時には、金融危機がドル危機に発展する懸念が急拡大した。金融商品に対する不信感が、ドルの不信感に拡大する恐れがあった。あの時、何の方策も採られなかったら、世界の金融・通貨システムは大崩壊していたかもしれない。3月中旬のベアースターンズ救済劇の後、これらの危機は下火になった。しかし、危機はもう去ったわけではなく、一時しのぎで目立たない状態になっているだけだ。

MZM.bmp [2]
米当局が通貨供給量(M3)の発表をやめた2006年以降、ドルの供給量は鰻上りになっています!

[3] [4] [5]