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日本・中国・韓国の関係を考える

北京オリンピック真っ最中です。オリンピックのメダル獲得数を確認してみると(14日現在ですが)、1位が中国(34個)、2位米国(33個)、3位韓国(16個)、以下イタリア、ドイツ、豪州と続き7位日本(11個)となっています。中国と韓国の強さが一際目を引きます。 
 
ところで、ブログ「桑原政則のひとこと」に、日本の(貿易相手)お得意様は大中華圏と韓国という記事が出ていました。日米関係という強い絆ばかりに目が偏っていたと気付かされました。 
 
桑原政則のひとこと日本のお得意様は大中華圏と韓国 [1]

2007年訪日外客 
 
  大中華圏 360万人 (うち、中国94万人、95年は22万人)
  韓  国  260万人
  アメリカ   82万人
*大中華圏とは陸の中国+海の中国(台湾+香港+シンガポール)を指します。
*円安のため、人民元は19%アップしました。ウォンは、32%、ロシアのルーブル20%アップしました。訪日観光客が増えるゆえんです。
*苗場プリンスの最良の部屋は、ロシア人が占領しています。
*オーストラリア通貨は円に対して、58%アップしました。このためタクシーの運転手の給与は、円換算で1500万円となっています。ニセコのマンション、別荘はオーストラリア人が買い続けており、日本一高騰しています。
*日本はホテルも安いし、買い物天国とというのが、海外の通説です。 
 
貿易もアメリカからアジアシフトへ 
日本の貿易量2007年
  対大中華圏 28%
  対中国    18%
  対アメリカ  16%
大中華圏との貿易量が全貿易量の3分の1に迫っています。
2050年にはアジアとの貿易量が半分を占めるようになります。 
 
日本海物流の時代へ 
 
2007年世界港湾ランキング 
 1位シンガポール、2位上海、3位香港、4位深セン、5位釜山
 釜山のコンテナ扱い量 釜山>東京+横浜+名古屋+神戸+大阪
世界港湾ランキングを見ると、世界はアジアの時代であることがわかります。
日本の物流は、日本海側(アジア側)へシフトしています。1995年から2005年までの伸び率は、全国4.6%に対して日本海側は13%です。日本海側が伸びているのは、釜山への中継港となっているからです。
日本海岸側の物産はいったん安くて便利で営業時間が長い釜山へ集められ、そこから太平洋へ、アジア、アフリカへ旅立ちます。
たとえば、函館のカニ缶は、釜山へ運ばれ、釜山から函館沖の津軽海峡を通ってアメリカへ輸出されています。
日本は、各県1港方式で、値段も高いので国際競争に太刀打ちできません。内航船の価格が高く、鹿児島から沖縄までの運賃とアメリカから沖縄までの価格が同じです。

 
この大中華圏という視点から見た統計結果は、通常我々が考えている以上に大きな数字となっていることが改めて認識できます。 
 
大中華圏という認識は具体的にどんなことでしょうか? 
 
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その一つが寺島実朗氏の発言などに垣間見ることが出来ます。 
 
バーチャル国家シンガポール〜21世紀型先進国家として [2]

大中華圏の南端として 
 
シンガポールが果す機能として、大中華圏の南端として中国の実質10%成長力をASEAN諸国につなぐ基点の役割がある。シンガポールは反共国家であり、中国本土の政権とは政治的な壁がある。大中華圏は一枚岩ではないし、時に対立、競合さえしているのだが、大きな潮流として「陸の中国」(中国本土)と「海の中国」(華僑圏の中国、香港、シンガポール、台湾)の産業論的な連携は着実に深まっている。例えばシンガポール華僑や香港華僑の企業、台湾企業が本土の中国の企業を巻き込んで新たな事業に挑戦するパターンは珍しくない。 
 
いま「中国の台頭」が語られるのも、実はこの陸と海の中国の連携が深まることで、中国がことさらに大きく見えるという要素もある。華僑圏の海の中国にとっては、本土の改革開放路線の定着と10%成長の持続は魅力的な商機となり、本土にとってもグローバル化した世界経済での一層の飛躍のためには、海の中国をジャンプボードとして活用することの利益が高まり、相互連携、相互依存の構造が深まってきたのである。 
 
大中華圏自体が目に見えない、つまりバーチャルな有機的連携体であるが、その中で相互補完的役割分担がなされているともいえる。例えばシンガポールの場合、バイオの研究を軸に医療産業を充実させて、大中華圏における医療センターのような役割を果たしており、昨年も30万人を超す大中華圏の富裕層が検診や入院のために訪れたという。 
 
また、シンガポールは人口の8%を占めるインド系(印僑)の存在もあり、インドの実質7%成長力をASEANに取り込む基点にもなっている。とくに、IT大国化するインドのIT関連産業集積基地、バンガロールとシンガポールを結ぶ大容量光ファイバー海底ケーブルを完成させていることは注目される。シンガポール=グアム島=米本土という海底ケーブルをインドのタタグループが握り、欧米とアジアをつなぐIT基幹インフラとなっている。港湾の整備を通じた「モノの移動の中継基地」とIT基幹インフラ確保による情報基地となることによってソフトパワーを高めているのだ。 
 
さらには、大英連邦の一翼を占め英語圏であることを生かし、インドのみならず、オーストラリア、ニュージーランドなどとの連携を深め、欧米企業のアジア展開の中核基点として、国際情報集積力を押し上げている。
ISEA(東南アジア研究所)など、東南アジアに関する地域研究を集積させたシンクタンクを育てている。現実に、アジアの情報を体系的に入手しようとする時、シンガポールに行かざるをえないという情報の磁場を形成しているのである。欧米多国籍企業のアジア展開をみても、アジア広域をにらんだ地域統括会社をシンガポールに配置し、情報収集拠点を展開する傾向が高まっている。

米国の凋落、欧州の混乱、活力にみなぎっているように見えるアジア、北京オリンピックを契機に世界の中でのアジア、そして日本の立場を再度考える機会を得たように思います。 
 
最後にもう一つ、毎日新聞報道レポートで大中華圏を考えてみることにしましょう。 
 
講演抄録:大中華圏は日本の商機−第9回世界華商大会プレイベントにて記念講演− [3]

 次に華僑、華人のネットワークの特徴は何かです。中国、香港、台湾、マカオという「大中華圏」の人口は13億4000万人。さらに世界の華人、華僑の人口は昨年時点で4000万人を突破したと推計されます。だから中国人と華人・華僑の合計は13億8000万人という数字になる。 
 
 東南アジアのタイ、マレーシア、インドネシアでは、華人は地元住民に比べると少数ですが、経済は抜群です。インドネシア、マレーシア、タイでは国の経済の5〜7割を華人が握っている。 
 
 華人ネットワークの特徴は四つあります。まず同族、血縁のつながり。二つ目は同郷、地縁のネットワーク。三つ目は同窓、同じ学校出身の学縁。四つ目は同業つまり仕事の縁です。 
 
 華人、華僑ビジネスには大中華圏の視点が不可欠です。シンガポールは華人国家ですが、大中華圏の概念には違和感がある。中国も。なぜか。大中華圏と言われると「中国脅威論」が出てくるからです。でもビジネスの観点では必要になる。大中華圏はあくまで地理的、経済的な概念です。特に2010年は、大中華圏で自由貿易圏ができる可能性が高い。ますます一体化します。 
 
 では大中華圏は、世界やアジアの中でどんな存在なのか。中国、台湾、シンガポール、香港の華人国家・地域のGDPは世界全体の6・5%です。大体日本の6割ぐらいです。ところが、輸出は14%を占めている。これは日本の2・5倍です。輸入は世界の12%。これは日本の3倍弱に相当します。 
 
 日本から見ると、貿易相手のうち米国のシェアは17・8%ですが、大中華圏のシェアは何と28・2%です。さらに外から日本向けの直接投資は昨年米国が2・8%なのに対し、大中華圏は59%。圧倒的に大中華圏の直接投資が多い。日本に来た観光客は米国が11%で、大中華圏は39%です。 
 
 要するに日本の物流、金流つまり資本構造、人流のいずれも今、日本は米国よりも大中華圏に依存している実態が浮き彫りになっている。ですから大中華圏は日本にとって非常に重要な存在になっているんです。

大中華圏、この視点を持って相手を認識すること、これからの世界の関係を考える上で重要な認識だと思いました。 
 

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