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証券のバブル化とその崩壊(2) バブルの崩壊

AIG.jpg再証券化(CDO)で拡大した金融市場を、さらに拡大(バブル化)させたのは債務不履行に対する保険という金融商品(CDS)である。
2001年0.9兆ドルであったCDS市場が62兆ドルまで膨れ上がっている。保険保証総額は400兆ドルとも言われている。

その規模からも推定されるのは、CDSの発行者はもはや大元の債権には無関係な立場にあり、買い手もまた債権者が保険としてリスクヘッジしているのではない。ともに全くの(元の債務に関しては)傍観者であると言っても良い。
これは、バクチ経済と呼ぶのがふさわしい。予想屋(格付け)を羅針盤として、小さな掛け金で債務不履行の発生にかける客と、同じくデフォルト率を根拠に低い掛け金でお金を集める胴元の間の駆け引き市場なのである。
そして、元の資産(担保)と全く無関係な商品であることが、際限ないバブル化を可能にしてしまった。
AIGのCDSの保証残高は4000億ドル、リーマンはそれ以上のCDSを扱っていると言われている。デフォルト率が数%上昇するだけで、元利保証のための大穴が開いていく。


住宅ローンの対象がサブプライムにまで広げざるを得なかったということは、借り手がすでに限界に達していることを意味している。住宅価格の上昇も限界に達した。
住宅価格の高騰が止まれば、(資産上昇では補填できないために)たちまち借り手の返済能力が問題化し、サブプライムから住宅バブルは弾けてしまった。
そして、住宅価格の下落局面ではサブプライムローンどころか、プライムローンも焦げ付き始めている。
しかし、再証券化したCDOの資産(担保)を正しく評価することはほとんど不可能である。そして、どこから弾けるかわからない債務の不履行債権(CDS)だから、どのぐらいの元利保証が必要なのかも予測不可能である。ひたすら予想屋の格付けを信じて祈るのみである。
また、仮に予測できたとしても手の打ちようがない。格付けが下落して崩れてしまえば、このシステムは完全な機能不全に陥る。トリプルAaaのファニーメイやフレディマックが崩れてしまえば終いである。
金融市場(証券化バブル)の崩壊とは、消費大国アメリカが生み出したローン経済の末路であるとも、バクチ経済の当然の成り行きとも言えるだろう。
図解
【証券のバブル化とその崩壊】 [1]

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