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中国はどう動く??【貿易実態からの予測】

アメリカ発の金融不安が日に日に加速していますね。
市場経済を牽引してきたアメリカ、先行きが非常に怪しくなってきてます。
そのアメリカ(の国債)を買い支えてきたのが日本と中国。
この両国が今後の鍵を握るといえそうです。
特に中国がアメリカに及ぼす影響は大きく、中国の方針一つでアメリカの、ひいては世界の経済状況は激変しそうです。
というわけで、今日は中国について調べてみました。
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写真は輸出される中国産自動車


■■中国の収益構造
中国の貿易黒字は、1970年代に入ってから急拡大しています。
年間10%を超えるGNPの成長は、この貿易黒字が源になっていることは明らかです。
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続いて「輸出」「輸入」それぞれの中身を調べてゆきます。
■■輸出
まず、どの国(地域)へ輸出しているかを見てみましょう。
JETRO(日本貿易振興機構)のHP [1]によると、2007年実績の輸出総額割合では、

   アジア 46.6%
   北米  20.7%
   欧州  23.6%

となっています。さらに、前年比伸び率では、

   アジア 24.6%
   北米  15.7%
   欧州  33.7%

となっています。
ここから読み取れるのは、
意外にも、北米依存度が小さいことと、さらにその依存度が下がってきていることです。
続いて輸出品目を見てみましょう。
おなじくJETRO(日本貿易振興機構)のHP [2]では、

工業製品 94.9%、そのうち機械・輸送設備47.4%

となっています。「世界の工場」といわれるだけあって、予想以上に工業製品の割合が高いことに驚かされます。
(ちなみに現在問題になっている「食品」はわずか2.5%に過ぎません。)
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工業製品、と言われてもピンときませんが、すでに世界シェアを牛耳り始めているパソコン [3]を始めとする精密機器が従来のシロモノ家電を凌駕する状況にあるようです。
参考に、日本への輸出品目グラフを載せておきます。(グラフ中の“計算機”とはパソコンのこと)
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また、自動車の輸出も爆発的な伸びを示しつつあるようです。

2002年に1万6537台にすぎなかった中国の自動車輸出は、2006年に34万6840台、2007年は63万6750台へと急速に拡大した。 [4]

そしてその対象国は、

中国機械電子輸出商会が発表した上半期の中国自動車輸出報告によりますと、国別の統計では中国における自動車の輸出相手国はロシアが依然として第1位を占め、ベトナム、イラン、ウクライナ三カ国への輸出はそれぞれ第2位、第3位、第4位となるということです。 [5]

のように、東欧を中心とした途上国が中心となっています。
■■輸入
今度は輸入面を見ていきます。
JETRO(日本貿易振興機構)のHP [6]で、国別(地域別)の輸入相手国を押さえます。

   アジア 64.9%
   北米  8.4%
   欧州  14.6%

圧倒的にアジア依存となっています。
続いて品目はJETRO(日本貿易振興機構)のHP [7]によると、

工業製品 74.6%、そのうち機械・輸送設備43.2%

となっています。
工業製品を輸入し、工業製品を輸出する、ということになっており、奇妙に感じますが、高付加価値の部品や材料、製造設備などは輸入に頼らざるを得ず、これらを(orこれらで)加工・組み立てした工業製品を輸出している、というのが実態 [8]のようです。
■■今後の予測
以上、中国の貿易構造のポイントをまとめると、

・アジアから部品や半製品および製造設備を輸入
・上記で作った工業製品をアジア、北米、欧州に輸出
・ただし、北米への輸出割合は意外にも低く、年々その割合は下がっている
・途上国への輸出割合・輸出品目も増え始めている

ということになります。
アメリカ(アメリカ国債)を中国が買い支えてきたのは、
アメリカが「お得意様=最大の輸出国」である、という前提があったことが大きな理由なのですが、
いまやその構造が崩れており、中国からすると、もはやいつ手を引いても構わなくなってきた、というのが実態ではないでしょうか?
もし、中国がアメリカを買い支えなくなったとしたら、残されるのは日本だけ、ということになり、破綻してゆくアメリカの巻き添えを食う可能性が非常に高くなると思います。
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