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G20〜イギリスの謀略

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11月15日のG20サミット会議には、参加国の様々な台所事情が垣間見えます。
特に、欧州イギリスには、過去の怨念とも言うべき世界金融支配の野望が見え隠れします。
田中 宇さんのブログ〜「世界通貨」で復権狙うイギリス
では、イギリスの「バンコール」復権説を説いています。
今後の市場経済は、どうなるのか?
中国、ロシア、ブラジルと言ったBRICの動きもさることながら
金融支配国家イギリスも気になります。
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「世界通貨」で復権狙うイギリス [1]

米国の経済崩壊、ドル覇権体制の崩壊に備えた、英国の新たな世界戦略の一つが、かいま見えてきた。それは、1944年のブレトンウッズ会議で英国代表のケインズが提案したが、米国の反対によって実現しなかった世界共通通貨(国際決済通貨)「バンコール」(bancor)の構想を復活させることである。
 11月15日に米ワシントンDCで「第2ブレトンウッズ会議」の通称を冠されたG20サミット会議が開かれる。この会議の発表されている主なテーマは、国際金融危機を繰り返さないための体制作りである。この会議に対し、英ブラウン首相は10月初めから「ブレトンウッズ2が必要だ」と言い続けてきたが、1944年のブレトンウッズ会議の主なテーマは、第二次大戦後の国際通貨体制の確立であり、金融制度ではない。
 なぜ金融制度の会議に、通貨制度の会議の名前をつけるのかと私は疑問に思っていたが、どうやらブラウンは、ブレトンウッズ2会議(11月15日のG20会議、もしくはその後繰り返されるであろう同種の会議)で、IMFがドルに代わる新しい国際決済通貨を発行する「世界政府」的な「新世界秩序」を提案するつもりらしい。
ブラウンは、明確な表明はしていないが「本物の国際社会(truly global society)を作らねばならない」といった、世界政府や世界通貨を想起させる発言を放っている。この発言を報じた英ガーディアン紙の記事は「ブラウンは新世界秩序(new world order)を目指している」という見出しがついている。「新世界秩序」とは、欧米の上層部が以前から目指していると、世界の陰謀論者たちから疑われている「世界政府」の別名である。
 世界政府を目指す米中枢の動きに敏感な「孤立主義者(米国優先主義者)」である米共和党下院議員ロン・ポールは最近「新たな通貨体制と世界的な中央銀行が作られ、世界の全天然資源をも管理下に置くような世界政府が、しだいに作られていくのではないか。11月15日の会議は(米国など世界各国の)国家主権が奪われていく流れの始まりとなりうる」と述べている。

イギリスは、アメリカに基軸通貨国の座を奪われ、その怨念が溜まっていたのでしょう。

ドルは現在、日々の為替としては、まだ他の諸通貨に対して優勢だが、基軸通貨としての潜在的な力は、大幅に落ちている。米政府は、金融危機対策と景気対策のために巨額の財政支出をしており、財政赤字は急速に増えている。来年以降、米国債が売れなくなって長期金利が高騰する事態になりかねない。米国債はもはや最優良の投資先ではなくなりつつあるという指摘が、米マスコミに載るようになっている。英国が「ドル崩壊後」の世界戦略を考えるのは当然だ。
 世界では、米国の覇権衰退と同時に、中国やロシアといったBRICや途上国の発言力が増し、覇権の多極化が起こり始めている。金融危機対策会議がG7ではなくG20(G7+BRICなど)の枠組みで開かれるのが、その象徴である。英国の新戦略は、多極化を横目で見ながら展開されている。英国は、G20で発言力を持っているBRICと協調する姿勢を強め、特にこれまで敵対してきたロシアとの対立緩和を模索し始めている。
 英国も加盟するEUは、8月にロシアとグルジアが戦争して以来、ロシアとの欧露戦略対話を棚上げしていた。東欧と英国が「ロシアが南オセチアとアブハジアから撤退するまで、欧露戦略対話の再開には反対だ」と表明し続けていた。しかし英国は11月10日、欧露戦略対話の再開に賛成する姿勢に転換し、対露対話再開に積極的だった独仏伊に同調した。EU内ではリトアニアなど東欧勢がまだ対露対話に反対しているが、小国の反対を無視して、EUは再び対露協調路線に動き出しそうだ。
 中国やロシア、ブラジルなどは、すでにドルを敬遠する姿勢を見せている。しかしその一方で、中国は、人民元をドルから切り離して自由に変動する為替相場体制に移行し、人民元を国際基軸通貨の一つにすることを拒否している。ロシアは、ルーブルを国際通貨にしたいが、自国の金融市場は悪化したままで、意志はあるが実力がない(英国などの意を受けた資金がロシア市場を崩壊させた)。ドルは崩壊しつつあるが、BRICは代わりの通貨制度を作れていない。だから、英国が提案する世界通貨案は、受け入れられる素地があるが、BRICが「世界通貨を裏で操るのは英国になる」という謀略に気づいているなら、英国案は受け入れられないだろう。
 BRICなどの新興諸国は、英国に比べて、国連やIMFなどでの議論を自国好みの方向に展開させる謀略的な外交技能が低い(米国ですら、正攻法では英国にかなわず、変則的な自滅戦略をとった)。だから、いったんバンコールの焼き直し的な世界通貨が導入されると、その後の世界の財布のひもは、いつの間にか英国に握られてしまう。

イギリスは、巧みな金融市場操作でもって世界の財布を手中に納めると言うストーリーである。
しかし、イギリスは、金融操作だけでBRICを手中に収め一国支配出来るのだろうか?
各国の中央銀行を押えたとしても、国際世論はそうは行かない。
資本家たちが作り出した金融派生商品そのものが、金融秩序を破壊し世界市場経済をガタガタにした張本人じゃないかとの世論形成が広がるのではないかだろうか。
当然、市場の後始末を国家や他国に押し付ける構造が日の目を見ることになる。
ましてや、国内経済も生産力も地に落ちて、世界からの評価は下がっている。
来年、4月2日に第2回G20サミットが、イギリスで開催されると言う。
次回金融サミットは4月2日 ロンドンで開催と英首相 [2]
日本を差し置いて、イギリスで行う意味は何なのか?
果して、ドル暴落⇒市場軟着陸路線として第2の基軸通貨「バンコール」が返り咲くのか?
BRICとの協調通貨路線「通貨バスケット制」が展開されるのか?
資本家たちの謀略は、どう展開して行くのでしょうか?

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