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イギリスの経済を探る②

さあお待たせしました。イギリスの経済を探る②です!前回は「金余り状態→土地に投資先が向いた」で終わっていましたね。金余り状態は、1980年代にマーガレット・サッチャー政権が行った大規模な金融の規制緩和(金融ビッグバン)の結果、シティ(ロンドン金融市場の中心)の金融機関が外資系金融機関に買収されたこと(ウィンブルドン現象)によって発生しました。今回は、何故土地に投資先が向けられたのか?=住宅バブルは何故起こったのか?を探っていきます。
そもそも日本の感覚では住宅に投資するというのが理解できないですよね。日本では30年もすれば建物の価値なんてゼロに等しくなってしまいますから。ところが、日本の住宅の平均寿命30年に対してイギリスの住宅の平均寿命は140年なのです。イギリスに限らず自身の少ない欧米では建物の寿命は日本より長めです。ですからイギリスでは経年によって住宅の価値が減少することはあまりなく、それどころか改修の仕方よっては逆に価値が上がる事だってあるのです。日本の事情とは違い、古い住宅でも、きちんと手入れをして魅力的になっていれば、築年数に関係なく高い値段で売ることができるのです。


また、イギリスでは中古住宅市場が発達していることも住宅が投資先に選ばれやすい一因です。イギリスの市場で販売されている住宅の90%は中古住宅で、新築住宅は10%でしかありません。逆に日本は新築住宅が90%近くを占めます。そんな背景があるのでイギリスでは「日本と比べて中古住宅市場が発達していた→住宅(投資対象)の売却が容易」だったのです。
 さて、イギリスでは日本と違って住宅が投資の対象に選ばれやすいということを理解してもらったところで、何故住宅バブルと呼ばれるまでに住宅価格が吊りあがったのか?に迫ります。
 まずはこのグラフを見てください。
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イギリスの住宅価格は1997年ごろから徐々に上がり始め、2001年を境に急激にその上がり幅を増やしています。1997年といえばブレア政権が発足した年、ブレア政権が発足してからイギリス景気はうなぎ上りで、住宅価格もうなぎ上り…

英国の住宅ローンは、「プライム」と「サブプライム」をきちんと分類できない。大手金融機関の大半は、所得証明も求めずにローンを提供している。

http://blog.kaisetsu.org/?eid=578960
住宅価格は上がり続けたが住宅は売れ続けた、その理由は仕事してなくてもローンが組めたから!?そんな馬鹿なって感じですが住宅評価額が上昇している間は焦げ付きが発生したら住宅を差し押さえて売却すればよかったのですから問題もなかった?
さて、それでは2001年に住宅価格の上がりは場が増えたのは何故かというと…同じく2001年に起こった9.11事件が原因です。2001 年の 9.11 事件以降の米国のイスラム資金に対する警戒的措置のためイギリスの銀行で預金が急増しているのです。このオイルマネーが住宅に流れ込んだ結果が先ほどのグラフの急勾配です。

これと同時に、英国での銀行預金が増えていっています。原油高で急増した、有り余るドル資金を分散投資する中継地として英国に蓄えているのです。英中銀によると、産油国からの預金が急増したのは原油価格が上昇基調に入った2003年頃からだといいます。さらに後押ししたのが2001年の米同時テロで、テロ後の米国では海外の資金の監視を特に強化しているため、英国に預けていたほうが、安心感があるのです。まさに、オイルマネーが世界に流れていくその中継拠点に選ばれたのが英国なのです。

http://www.gaitame-ax.co.jp/html/fxtky/m_england.html
さて、プライム層とサブプライム層の区別すらできていないイギリスのモーゲージ残高がどうなっているのかというと…
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なんとアメリカよりもやばいじゃないですか!失業率も10%になるといいますし…イギリスの未来は暗いかもしれませんね。

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