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世界経済どうなる?!〜その7.金利ビジネスは無効化した?〜

とうとうアメリカがゼロ金利に踏み切りましたね。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20081217-OYT1T00168.htm [1]

米連邦準備制度理事会(FRB)は16日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、短期金利の指標となるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を、年1%から0〜0・25%とすることを全会一致で決め、即日実施した。


しかし、99年以降、日本はすでに実質ゼロ金利が続いています。また07年サブプライム問題、08年リーマンショックといった金融危機を受けて、各国とも政策金利を下げてきています。このように、利下げは世界的な傾向となっています。
そもそも金利がゼロとは何を意味するのでしょうか?
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■まず、金融業(金貸し業)とはいったい何なのでしょうか?
 
金融業とは、お金が必要な人に融資して、利息をとるビジネスです。
借りた人は必死に働いたり金策して、期限までに利息を付けて返済します。
 
もし期限までに返済できないとどうなるか?
担保を取られたり、持っている財産を押えられたり、時代によっては奴隷にさせられることもありました。
 
つまり金融とは、融資して負債を負わせることで、相手を「支配する」システムであると言えます。
 
○借り手は事業拡大して儲からなくてはならない。
○もし返済できなければ借り手は身ぐるみ剥がされる。

 
このように金融というシステムは経済発展を前提に成り立っています。別の見方をすると、金融というシステムによって、市場経済は拡大することを強制されてきたとも言えます。
 
 
■しかし現在、そのシステムが機能不全に陥っているのです。
 
日本ではバブル崩壊後、デフレが続く中で、景気回復するためにゼロ金利政策→量的金融緩和政策をとってきました。お金が借りやすくなって社会に行きわたれば、設備投資や消費に向かうと考えたからです。
 
しかし量的金融緩和の結果どうなったでしょうか?
 
お金をいくら市場に供給しても、使われずに貯め込まれ、デフレ状況は殆ど改善されませんでした。
 
またアメリカに至っては、FRBは政府からの貸付や民間金融機関の当座預金無しにはドルを貸し出すことができなくなり、金貸しが金を借りるという状況にまでなっているのです。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=192077 [2]
 
■なんでこうなってしまったのでしょうか?
 
70年、貧困が消滅し、物的豊かさが実現されました。もうこれ以上モノが欲しいと思えなくなったんですね。その結果、市場経済は拡大を停止してしまいました。しかし市場拡大に代わる新たな目標が見つからない以上、これまでの路線を変えることはできません。そこで70年代以降は国が借金して公共事業などの仕事を作り出すという、ムリヤリ成長が人工的に続けられてきました。でもそれも限界があり、80年以降は新たな市場としてマネー経済が急速に拡大していきました。
 
その結果、90年代の日本を筆頭に、今回アメリカでもバブルが弾け、サブプライム破綻を皮切りに連鎖的に金融破綻が発生し、信用不安・信用収縮が世界的に加速ました。企業は資産に穴があいたり融資を受けられなくなったりして、倒産の危険性が高まっています。そんな状況の中、とりあえず市場システムを延命させるためには、金利をゼロにして、大量のお金をばらまくしかなくなってしまいました。
 
つまり市場が拡大を停止した以上、お金を貸して利息を取るというビジネスモデルは縮小せざるをえなくなったのです! 
 
■では今後の経済はどうなるのでしょうか?
 
まず大きな流れとして、モノが飽和して市場が拡大を停止した以上、今後物的生産がかつてのように回復することはないでしょう。そこに巣くってきた金融ビジネスは縮小するしかありませんし、マネー経済が暴走して経済が破綻するのを回避するためにも世界中の共認によって金融業は規制されていくと考えられます。
 
金融業は、もはや楽して金利を得るおいしい商売ではなく、必要とされるところ(例えば農業事業や教育事業など)に必要な分だけお金を回していくだけの、公共機関として存続していくのではないでしょうか。

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