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日本銀行の仕事って何?3〜日銀の影響力〜

日銀の仕事として物価の安定 [1]がありましたが、現在はそれが景気の安定へと拡大しているようです。その景気安定の手法として日銀は政策金利(かつては公定歩合 [2])を使っています。例えば

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逆に好景気=市場が活性化しすぎて、物価上昇しインフレが懸念されるときは、日銀が金利を上げて、物価の安定を図るのです。

そのほかに日銀が行う景気対策として公開市場操作と言われるものがあります。今回はこの公開市場操作を扱っていきます。
公開市場操作とは、景気を安定させるために市中に出回る通貨量を調整する目的で、手法としては、市場で国債やCP、手形などを売り買いする買いオペレーション、売りオペレーションがあります。
例えば、買いオペを行い「民間銀行の法定準備金(日銀当座預金残高)を増やす⇒そこから銀行が企業に貸し出しを増やす」ことで市場の通貨量が増え市場の活性化につながると言われています。

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通貨量の増減を見るには“マネタリーベース”というデータがあります。
マネタリーベースって何?

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マネタリーベースとは、マネーサプライの元になるお金という意味で、
マネタリーベース=現金通貨+法定準備金(日銀当座預金残高)     となります。

マネタリーベースは、信用創造の基礎となるお金です。このお金が民間銀行に供給されて、貸出しの原資となります。法定準備金には利息が付かないので、儲ける為には銀行は企業等に貸し出しをします。そしてこの「貸出しと預金の繰り返し」によって銀行と企業を循環することで、銀行の預金通貨をどんどん増やしていきます。これを銀行の信用創造機能と呼んでいます。
ちなみにマネーサプライとは民間部門(金融機関と中央政府を除く、一般法人、個人、地方公共団体)の保有する通貨量残高を集計したものです。

*銀行の信用創造については、るいネット [3]に詳しくやさしい記事がありますのでご参照ください。

日銀としては、マネタリーベース増⇒マネーサプライ増としたいところです。但し日銀の仕事は民間企業に対して、企業貸出しの原資を提供するに止まります。

実際のところ、銀行は日銀の思惑通りになったのでしょうか?

■マネタリーベースとマネーサプライ(左単位は億円)
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グラフを参照すると、2000年まではマネタリーベースと通貨流通高(現金)の動きはほぼ同じです。
2001年には量的緩和も伴って、日銀は民間銀行に貸出しの原資(マネタリーベース)を大量に持たせますが、通貨流通高は多少反応しましたがその伸びについていけず、マネーサプライレベルで見るとほとんど影響なしといってもよいでしょう。
もはや日銀が笛吹けど(金を渡せど)銀行は踊らず(市場にばら撒かず)ということです。20年12月19日に日銀のCP(コマーシャルペーパー)買い切り方針もこのことを反映していたのでしょう。
実際、その間銀行はどうなっていたのでしょうか?

銀行は、預金と貸出しを繰り返して信用創造し、商売しています。言わば金貸しである銀行の力量そのものとも言えますが、それを見るのに、貨幣乗数という統計があります。
マネタリーベースが信用創造によってどのくらいのマネーサプライになっているかというものですが、それはどうなっているのでしょうか?

■マネタリーベースと貨幣乗数
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貨幣乗数は1991年バブル崩壊を境に下降傾向にあります。
マネタリーベースが増加した2001年〜2006年はそのまま貨幣乗数の下降につながっており、銀行の信用創造力が低下している顕著なデータとなっています。

日銀の銀行に対する影響力低下=市場に対する影響力低下と、民間銀行の銀行業による信用創造力の低下が大きく見て取れます。

紙幣を発行する大きな権限を持っているはずの中央銀行も、金余り現象の中ではもはや衰弱する一方なのかも しれません。

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