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ポンド・ドル統合というシナリオが浮上?

米国覇権の終焉は世界共通の認識として拡がりつつあり、世界は多極化に向かう。この流れは変えようがない。したがって、ドル基軸通貨体制の崩壊は不可避。
るいネット [1]

 
崩壊後のシナリオとして、「金本位制の復活」や「バスケット通貨体制への移行」説などがあるが、今回紹介するのは『ポンド・ドル統合』説。
 
 
金貸し2大勢力の対立を考えると、英・米の統合はありえなかったが、深刻化する危機を受けて、共倒れを防ぐため(もしくは窮地にあるイギリスをアメリカが救うため)、英・米が手を組むこともありうるのではないか?
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以下、『NIKKEI NET』(2009/01/16記事 [2])より引用。

植野 大作 氏
野村証券 金融経済研究所
経済調査部 国際金融調査課長
シニアエコノミスト
 近年の為替市場で「ドル基軸通貨体制の崩壊」を唱える向きが増えている。昨年夏場に米ドル実効為替レートが戦後最安値まで暴落したこともあり、米国発の金融危機が世界中に拡散した2008年を「米ドル基軸通貨体制の崩壊元年」と位置づけ、「構造的なドル価値の瓦解が今後一段と進む」という見方は、一部において非常に根強い。「ドル基軸通貨体制の崩壊」は、本当に始まっているのだろうか。
交代可能な対立候補は
 債券市場に指標銘柄が必要なように、為替取引の現場では、基軸通貨が無いと困る。よって、基軸通貨がその地位を追われる際の絶対条件は、「交代可能な対立候補」の登場だ。しかし、現時点ではドルに代替可能な対立候補を見つけるのは容易ではない。
 例えば、「金本位制への回帰」や「商品バスケット本位制の導入」を主張する向きもあるが、昨今の国際商品市況の暴力的な変動率の振幅を考えると、これらを次世代の通貨秩序を担うシステムとして市場参加者が選択するというシナリオはあまりに非現実的だ。
(中略)
覇権争いのカギを握る英国
 現在、ドルへの挑戦資格を持っている唯一の通貨はユーロだろうが、現時点では「出来高不足」が最大の足かせになっている。例えば、国際決済銀行(BIS)が3年ごとに実施している世界為替出来高調査によれば、07年時点で、世界第1位の出来高占有率を誇るドル(43.2%)と2位のユーロ(18.5%)の間には、ダブル・スコア以上の開きがある。ユーロ域内にニューヨーク市場に比肩しうる国際金融の集積地が無いことも、ユーロの問題点だ。そうした観点に立つと、世界最大の国際金融取引の集積地であるロンドン市場を擁し、第3位の日本円(8.3%)に次ぐ出来高のある英国ポンド(7.5%)がユーロに加盟して初めて、ユーロはドルへの挑戦権を獲得できるのではないか。
 現時点では、ドル基軸体制を維持するコストの方が、放棄して他のものに取り換えるコストよりも小さい。「ドル基軸通貨体制の崩壊」は、長期的検討を要する課題だが、現時点ではやや時期尚早の感が否めない。ただし、今後長い目でみると、かつて基軸通貨国の座を米国に禅譲した英国が、「ユーロ参加の是非」を通じて、次期基軸通貨の覇権争いの「キャスティング・ボート」を握ることになりそうだ。
 荒唐無稽な話だが、もしも英国ポンドがユーロではなく、ドルとの統合を選択し、例えば「アングロ」などという名の通貨が生まれることを夢想してみると、ユーロとの取引量の格差はさらに拡大し、ロンドン市場とニューヨーク市場を内包する巨大通貨圏が誕生する。その場合、ユーロがドルへの挑戦権を獲得するのに要する時間は、少なくとも50年以上は先に延びるだろう。「英国のユーロ加盟問題」は、長期的な為替市場の鳥瞰(ちょうかん)図を考える上で、とても重要なテーマであり、国際分散投資を長期的視野で考える人々にとっては、必須の検討課題であると言える。

証券大手のエコノミストが「ドル崩壊後」に言及しているのも、注目ポイントではないか。

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