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G20の可能性を探る G20な国々 ⑧中南米

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G20な国々シシリーズですが、今回は「中南米」です。
G20に選ばれているアルゼンチンやブラジル、メキシコを個々に見てきましたがその廻りの国々も調べていくと興味深い内容でした。
中南米諸国は、完全にアメリカもしくは、アメリカ企業の属国でした。
アメリカもしくはアメリカ企業の意向に逆らった政治家は、失脚させられるかクーデターで倒されるか、直接米軍の侵略を受けるかしました。
現在ではそのアメリカの力も弱くなる中で「中南米に可能性はあるのか?」を調べてみました。
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●左傾化する南米の政権
 アメリカが1990年代に南米にやらせた「経済改革」が失敗したことは、南米の人々が経済改革を推進する右派の政治家を嫌う傾向を招き、その結果、南米諸国で次々と左派政権が生まれている。
 2002年10月には、ブラジルの選挙で労働党のルラ・ダシルバが大統領になり、エクアドルでは同年11月の選挙でルシオ・グティエレスが、経済界に支持された対立候補を破り、大統領に就任した。
アルゼンチンやチリでも以降2−3年間に、それまでの右派政権が選挙に敗れ、左派が台頭している。
 ボリビアでは2003年10月、政府が1990年代から進めてきた石油ガス産業の民営化と外国資本への売却政策に反対する先住民らが、天然ガスをアメリカに輸出するためのパイプライン建設を阻止し、政府がそれを弾圧したことから暴動が広がり、ロサダ大統領の政権が倒され、大統領はアメリカに亡命した。

●国交が活発化し経済圏を構築しようとしている
<国交>180年前の統合の夢を復活させる
 ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラなど南米諸国は、テロ戦争に暴走するアメリカに対して距離を置き、アメリカ抜きの「非米同盟」を作る動きを示している。
2004年12月9日、南アメリカ大陸の12カ国すべての代表がペルーのクスコとアヤクーチョに集まって「南米サミット」を開き、互いの政治経済を統合していき、EUのような統合体「南米共同体」(Comunidad Sudamericana de Naciones)を作ると宣言した。
 この計画は、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイという南米南部の4カ国で結成する自由貿易圏である「メルコスール」と、南米北部のベネズエラ、コロンビア、ペルー、ボリビア、エクアドルの5カ国で作る「アンデス共同体」を合体させ、さらにチリ、スリナム、ギアナという南米の残りの3カ国も加わって、新たな南米の広域共同体に発展させる試みである。
このように中南米の国家間の交流は活発化していて、キューバのフィデル・カストロ前議長の死亡説が流れた時、アルゼンチンのクリスティナ・フェルナンデス大統領が、キューバを訪れてその健在を発表したりしている。また、彼女は、ウゴ・チャベス大統領と会談し、21の共同事業について合意したりもしている。チリのミチェル・バチェレ大統領も、同姓の大統領としてクリスティナ・フェルナンデス大統領と会談している。
<経済圏>
ボリビアのエボ・モラレスはカストロ・キューバ国家評議会議長とチャベス・ベネズエラ大統領との三者会談を行った。三者は「米帝国主義の中南米支配」に抵抗するため、三国の政治・経済・社会面での統合および連携を強めることで合意。
チャベス提唱の南米統合プラン、「ボリバル代替統合構想(ALBA)」の結成をぶち上げる。
この合意に基づいて南米最貧国であるボリビアは、医療技術が進んだキューバからの医師団などの派遣、世界有数の石油輸出国ベネズエラからのエネルギーの優先的配給を受けることとなった。また、カストロとチャベスはボリビア製品への関税廃止協定にも署名。
国家間での、合弁事業や技術協力等も多く成立していて、互いに貿易関係が密接で、1つの経済圏を構築しつつあるとも言える。ブラジルとアルゼンチンなどは、両国間の貿易決済から、米ドルを排除することに、両大統領は調印する予定だ。
今後、それぞれの通貨による直接的な決済を可能にし、より円滑な通商関係を模索するとのこと。エクアドルとキューバの医薬品分野での合弁事業も有名だ。

●企業の国有化が進んでいる
ボリビアでは国内すべての天然ガス事業の国有化し、外国資本の生産施設と産品の国有
会社移管、国有化交渉に合意しない外国資本の排除を行なう予定である。
アルゼンチン政府は、アルゼンチン航空とアウストラル航空や、年金基金、国鉄を、国有化する方針だ。航空などは、イタリア系の資本から半ば強制的に実施しようとしている。
ベネズエラ政府の国有化はオリノコの原油、シドル製鉄、外資系銀行、そしてセメント(セメックス(墨)、ラフエルジ(仏)、ホルシン(スウェーデン))と続いている。また電力会社は2007年以来完全な国有化となっている。

●中南米共通の課題
何処も悩みは同じで、インフレと雇用不安。
そして、今回の金融危機の煽りを受けての輸出低迷。しかもアメリカの輸入後退によるところが大きい。
アルゼンチン全体での若年層の失業率は25%と高い。
さらにこの年代では男性は54%、女性は39%しか仕事をしていないとの統計もある。

●この経済圏に目をつけているロシア
アルゼンチン領海での資源開発に食指を伸ばし始めた。
フェルナンデス大統領は、ロシアのウラジミール・プーチン首相(元大統領)と会談もしている。
この中で、アルゼンチン近海での原油、天然ガス採掘への投資姿勢が示されたという。

●日本との関係
アルゼンチン政府は、採用する地上デジタル放送の様式を日本式にする方針だ。
今回のアルゼンチンの決定は、チリなどの国々の決断に影響を与える可能性がある。
中南米は日本との関係も実は濃い。
20世紀初頭には南米各国へ多くの日本人が入植している。
「最初の移民船がブラジルに着いたのが1908年だった」

米軍のイラク侵攻以来、世界はアメリカによる単独覇権から、アメリカ以外にEU、ロシア、中国などの
地域覇権国が立ち並ぶ多極化の状況を強めている。
中南米諸国は昔から植民地にされ金貸しに食い物にされてきました。
近年、ブラジルとベネズエラを中心とする中南米連合は、豊富な資源とアメリカの相対的な地位低下、ブラジル・アルゼンチンの対外債務の完済により、「反米」の旗幟を掲げるだけの政策を超え、本来の国際的な影響力を発揮する準備が整ったと言えるのではないでしょうか。
「アンデス共同体」の動きに注目しましょう。

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