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世界はブロック経済化するのか?〜プロローグ〜

当ブログの大テーマ(カテゴリー)の1つである「07.新・世界秩序とは?」⇒「今後の世界は多極化に向かうのか?」を探るにあたり、2009/03/10の記事 [1] で述べた「ブロック経済(の総括)」について、何回かに分けて扱っていきたいと思います。
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■なぜ今ブロック経済なのか?
詳細は今後のエントリーで明らかにしていくとして、なぜ今ブロック経済の総括(見直し)を行うのか、第1回の本エントリーではそのプロローグとして切り口を提示していきたいと思います。
これまで世界経済を牽引して(牛耳って)きたアメリカとその基軸通貨ドル。これは、その国力(政治・軍事力)を背景に市場拡大路線を取ってきた、いわゆる「自由貿易主義」に当たります。
ブロック経済とは、これとは逆で「保護貿易主義」という政策(立ち位置)にあり、通常は世界恐慌以後の1930年代の「ブロック経済」を示すことが多く、そして一般的には「失敗だった」と総括されています。
そうした一方で、既に世界はブロック経済化している・・・という見方 [3]もあり、今後世界はどうなっていくのか、未来を見据える上では、重要なキーワードになっていくに違いありません
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■ブロック経済とは?
Wikipediaによると、ブロック経済(保護貿易)とは、

自国と友好国を「ブロック」として、関税障壁を張り巡らし、他のブロックへ需要が漏れ出さないようにした状態の経済体制


とあります。
友好国以外の外国製品に高い関税を課すことで、国内製品の需要を促し保護する、つまり国家側からすれば内需拡大の政策となります。また広義には、貿易相手国と結ばれるFTA(自由貿易協定:関税を失くす)も‘現代版’ブロック経済の一つと考えられます。
世界で最大のFTAを結んでいる地域、それはEUです。EU圏内では各国間の貿易障壁をなくし(関税もなく人材の往来も自由)、共通通貨ユーロを誕生させたことで、1.2億人の日本、3.1億人のアメリカを超える、人口4.9億人(2007年時点)の経済圏を成立させた。
また、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ3国で結ばれている「北米自由協定」(NAFTA.1992)も同様です。
つまり、現在のブロック経済は、自由貿易(による市場拡大)を前提とした経済圏の形成なのですが、昨年の金融危機以降、少し違った動きがみられます。
■新たなブロック化の動き?
WTOの調査によれば、金融危機が深刻化した2008年秋以降、世界16カ国・地域で合計19件の保護貿易措置を導入したことが明らかになったようです。6カ国・地域が関税の引き上げに着手し、エクアドルは940品目の関税を引き上げ、ウクライナは13%という高率の追加関税を臨時に適用したとのこと:リンク [4]
そして、今年1月末、米国の景気対策法案に盛り込まれた「バイ・アメリカン」条項もブロック化の流れにあります。これは米国内の景気対策で用意される資金で賄われる公共事業で使用される鉄と鉄鋼は、米国製に限定する、という条項です:リンク [5]
これまで散々自由貿易を推進してきた米国が、ついに(勝手に?)自国製品の使用を促す内需優先の政策を取りだしたわけです。
1930年代のブロック経済化は、全体主義を世界的に蔓延させ、ファッショ化するナショナリズムを引き起し、第二次大戦を招いたとも言われています。今後の世界を占う上で、現在進行中のブロック化はどういう意味を持つのでしょうか?かつてと同じように、自国やブロックを優先させることで世界経済は停滞していくのか?それとも、国家主導による自給自足型の経済の発展は可能なのか?歴史を振り返りながら、次回以降迫ってみたいと思います。

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