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中国の頭痛 『伸び悩む経済・激増する失業者』 

マスコミは、これからの世界経済は中国が牽引すると言ってますが、実はそうではない、という話です。
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写真は頭を抱えるWBC中国コリンズ監督(アメリカ人)と、全然気にしてない中国チームの人たち
(本文にも微妙に関係があります・笑)
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るいネット [1]に                                                            

中国のハッタリが明るみに出てきている

                                                             
という切り出しで投稿があります。
以下、要点の引用です。                                                      

まず、中国の経済成長率の現状ですが(中共政府の発表が信頼に値するかどうかの話は置いておいて)、08年第4四半期の「対前年同期比」成長率は6.8%になったと報道されています。
ところが、対前期比の成長率は発表されておらず、幾つかの証券会社やリサーチ会社が「分析」した結果を発表している状況です。
【中国の08年第4四半期 対前期比実質GDP成長率 推定値(情報提供TM様 多謝)】
・モルガンスタンレー:年率換算1.5%
・スタンダードチャータード:年率換算1%
・メリルリンチ:0%
・日本経済研究センター:年率換算マイナス0.3%

                                                                    
報道と実態は見解が異なり、実質成長率ははぼゼロ、ということです。
                                                              

07年第4四半期の中国の実質GDPを100とすると、08年第3四半期が106.8、翌第四半期も同じく106.8ということになります。横書きに書くと今一分かりにくいので、箇条書きにしますと、
・07年第4四半期:100
・08年第3四半期:106.8
・08年第4四半期:106.8
というわけです。

                                                             

御存知、中国の輸出対GDP比率はちょうど40%程度です。そして中国の09年1月の輸出は前年同月比17.5%マイナス、2月が25.7%減でした。
09年第4四半期の輸出を対前年同期比マイナス25%と仮定すると、100×0.4×0.25=10。ちょうど07年第4四半期の一割分の外需が消滅(輸出の寄与度マイナス10%)することになります。

                                                             

とりあえず面倒なのでサービスを省くと、09年第1四半期における中国の実質GDPは、輸出のみで対前期比9.3%マイナスの寄与度になるわけです。
中国の実質GDPの実数値が公表されていないので、どのくらいの金額規模なのかはさっぱり分かりませんが、韓国の08年第4四半期は輸出の寄与度がマイナス5.3%(輸出自体はマイナス9.2%)でした。中国の今四半期の輸出の寄与度(マイナス)は、前四半期の韓国を上回る規模になる(はずな)のです。

                                                             
大不況の韓国よりさらに深刻な状況!しかし、中国の輸出依存度からして、この数字は実感に合致します。
中国としては、このままではヤバイので、内需拡大に転じます。
                                                             

中国は外需激減を補うため、政府支出を増やし、公共投資を拡大することで乗り切ろうとしています。そして、特に欧米のメディアを中心に、「中国は内需拡大により、今回の危機を乗り切れる」論が流行しています。
しかし、対前期比で輸出の寄与度がマイナス9%を超える(GDPが9%以上減る)ような状況で、それを補うような政府投資が果たして本当に一気に可能なのだろうか、というのが一点。日本の前四半期でさえ、輸出の寄与度はマイナス2.6%に過ぎなかった(輸出自体の減少率は、マイナス13.9%)のです。

このように外需激減を契機に、中国経済は抜き差しならない局面に追い込まれている、と言えそうです。
さらに追い討ちをかけるのが、膨大な人口→失業者増大問題です。

もう一点は、公共投資を拡大したとしても、輸出製造業から失われた雇用を補うことは「絶対に」できない、という点です。
日本の1992年から99年までの公共投資総額56兆円(奇しくも、中国政府がぶち上げた54兆円景気対策と、ほぼ同じ規模)により創出された雇用は、合計で117万人分でした。
中国の人件費が日本の二十分の一水準(かなり中国の甘め)である事を考慮し、54兆円を全額公共事業にぶち込んだとしても、創出される雇用は2000万人が良いところではないでしょうか。これでも確かに凄い規模ですが、昨年下半期だけで新たに3500万人が失業したような状況では、全然足らないでしょう。しかも、別に54兆円は全額が公共事業に使われるわけでも何でもありません。

『伸び悩む経済と、激増する失業者』、中国指導層にとっては文字通り頭痛のタネとなっている状況が理解できると思います。
さて、これに対する妙案はあるのでしょうか?中国指導層になったつもりで考えてみましょう 😈                                          
るいネットの別の投稿 [2]から引用してみます。

一方、中国は重荷である過剰人口をプラスに転化できないかと戦略を立てているのではなかろうか
ローテク、ハイテク、管理者等をセットで海外に輸出し、当地で華人ネットワークを発展させつつ富を吸収している。
国内では、少数民族地域に漢民族を半強制的に移住させ、人口の数で民意を左右しようとしてきた。今やひとの頭の数は有力な戦略資源である。今まで重荷だった過剰人口を逆に利用して、海外に圧力をかけていくのは中国にしかできない手法である。

13億人の人口を擁する中国にとっては、移民による人の数で、政治経済に影響を与えるというのは、歴史的に得意とするところだ

                                                                                                                                                     
華僑の歴史から考えると、この手法は大いに考えられます。
日本人には想像だにできない戦略ですが。
                                      

では、頭脳の方はどうだろうか。
開放改革政策以来、中国は90万人の留学生を海外に派遣したが、20万人の人材しか帰国していない。
優秀な人材ほど帰国せずに海外の研究機関に留まっているとも聞く。
この状況をどう評価するかは難しい。頭脳流出ともいえるかも知れないし、米国や日本で活躍しつつ本国とのネットワーク形成の重要な役割を演じているとも言えよう。

  

中国の巨大な人口(頭数)とネットワーク力というのが、研究分野や知的労働の分野でも、無視できないものになるということは容易に予測できる。
そのためのインフラ(例えば移民政策、労働力の受け入れ等)に新しい動きがあれば、それは中国の圧力が大きく働いていると見るべきであり、それを実現しようとする政治的動きがあれば、中国との関係に注視する必要がありそうだ。

              
★アメリカは基軸通貨体制+自国人口を膨張させ消費大国化することで覇権を握ったが、中国はまた違った戦略で覇権を握ろうとしているのかも知れない。
『一発逆転』なので、そううまく行くとは思えないところもあるが、気が付いたら、日本が中国人に乗っ取られていた、という事態は避けなければならない。                                                               

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