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鎖国の可能性を探る!-11 石油化学製品からの脱却

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前回のレポート、「どうする、石油はエネルギー源だけではない!」 [1]では、石油化学製品への依存状況を踏まえ、当面の対応策として「フィードストックリサイクル」というものがあることを報告しました。
さしあたりのつなぎ対策として可能性があるものですが、長期的に見れば石油化学製品から脱却する道を見出すことが必要です。
今回は、石油化学製品からの脱却の可能性を探ってみました。
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●現代先進国の生活の中には石油化学製品が幅広く利用され、それら抜きでは考えられない状況です。
特に、原油を分解して得られるナフサを原料として様々な製品が開発されてきています。
 …合成ゴム、プラスチック、化学薬品などまさに生活の隅々まで広がっています。
したがって、一気に石油化学製品から脱却するわけには行かないのは明らかです。
当面は、前回のレポートにもあるとおり、既存のストックをリサイクルしながら繋いでゆくことが不可欠だと思われます。
●しかし、冷静に考えてみれば、石油化学工業の歴史はまだ100年に満たないものです。
・始まりは、1920年に当時の米国で石油業界の覇権を握っていた、かのスタンダード・オイル社がプロピレンからイソプロパノールを合成したこととされています。
・日本では、戦後1955年に通産省による「石油化学工業育成対策」から石油化学製品国産化への道が開けました。
その後、まさに高度成長期を通じて右肩上がりで生産量とともに製品の用途も拡大してきました。
●つまり、石油化学工業とは、ごく短い期間に一気に広がったアメリカ式大量消費社会の産物だったといえるのではないかと思います。
・日本の石油化学工業は、1970年代を向かえ、2度のオイルショックで大きな痛手を被ったものの、業界共同で設備廃棄を進めるなどの対策で乗り越えてきましたが、概ね2割程度の余剰生産力を抱えたまま、低収益構造から脱却できない状況が続いています。
・一方、中国や東南アジアでの石油化学プラントが稼働し始め、さらに中東産油国で豊富で安価な原料を使う石油化学プラントが2010年前後に稼働し始めます。
●市場経済の面からも脱石油の必要に迫られている状況になっています。
●脱石油の方向として、現在、有力視されているのがバイオプラスチックに代表される、バイオマス原料による製品開発です。
・東レや帝人、NECなどのメーカーが石油由来のプラスチックを性能面で上回るバイオプラスチックを次々と開発し始めているようです。(リンク [2]
・いまのところは、とうもろこしやサトウキビなどの食料となる植物から製造されたポリ乳酸を原料としているようですが、これまでの石油化学の歴史を見れば、技術的なブレークスルーは遠からず可能ではないかと思われます。
●脱石油化学製品の対策としては、以下の3点が肝要だと思われます。
①総需要量を減らす。…アメリカ式大量消費社会から脱却することが不可欠。
②脱石油化学=バイオマス材料への転換を進める。
③生活全般のシステム転換を進める。
①については、「もったいない」という言葉が、最近、広く認められるようになってきていますが、ポイ捨てはやめてモノを長く使い続ける、無駄な浪費はやめるということ。
彼の米国でさえ、(表層的ではあるものの)スローライフとかLOHASがスマートであるとみなされるようになってきているようだし、どこの国でもこれから認められるようになると思われます。
②は、まさに日本が先陣を切っていける領域ではないかと思われます。産業界の人たちも新たな目標として活力を持って取り組み始めているようです。
しかし、②の方向性を誤らず、さらに活力を高めるためには③が不可欠だと思います。
限られた地球上で人類が生存するためにはどうしたらよいのか?という視点からみんなで考えてゆくところからしか答えには到達し得ないように思います。
具体的には、社会共認として、これからの生活のあり方を確立してゆくことですね。
ここは、まさに、日本の人々こそが先導して行けるところだし、世界中から期待されるところだと思います。
by わっと

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