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G20 ロンドンサミット宣言の内幕

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去る4月3日、ロンドンで開催されたG20の共同宣言では、会場の外ではデモ隊と警察との間で流血もある中、財政出動をめぐり米英との温度差が指摘されていたフランス、ドイツの両首脳も「大きな前進」(サルコジ仏大統領)、「歴史的ともいえる歩み寄り」(メルケル独首相)と、首脳宣言 [1]の内容を高く評価した。
①来年末までに各国は(総額5兆ドルの)財政出動による景気対策を行う
②途上国支援の為、総額110兆円のIMF基金出資を行う
③ヘッジファンドや格付け機関への規制を行う
④来年末までの保護主義的動きを禁ずる(4/18日朝のNHK・TV)
という合意が発表されました。
夫々の首脳が成果を自画自賛する中で、その合意に至るまでには主要国の思惑の違いが明らかになったようです。
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今回のサミットではアメリカEU(主要には仏)、中国の夫々の思惑が三つ巴の様相を呈したようです。
EU(特に仏のサルコジ)は、野放しの現行金融に規制をかけるべきことを強硬に主張した。

欧州が要求したのは金融規制である。市場をここまで荒らしたのは米国のヘッジファンドなどだ。その規制を国際的に強めていくことこそ、今回の不況を引き起こした張本人である米国の取るべき道

主張した [1]
また、金融規制の一貫でタックスヘイブン(租税回避地)国のブラックリストの公表を強く要求した。

これに対し、経済が金融業に依存している米国は縛りを嫌った。対立が解けない中で、フランスのサルコジ大統領は、中途退席をほのめかすほどだった。米国は、財政出動こそ世界を救う、とばかり、各国に国内総生産(GDP)の2%を財政支出の目標にと求めていた。ところが2%といえば、日本のGDPに換算すれば十兆円にも上る。財政規律を優先する独仏からすればのめなかった。
またタックスヘイブン国のブラックリスト公表には、租税の公平という大儀名分から米国オバマは賛成を表明。

中国は、サルコジの要求するブラックリストの公表には反対であった。というのも、自国に抱えるタックスヘイブン地であるマカオ香港への規制強化を懸念したからである。一方、中国の経済は「世界の工場」として輸出に大きく依存するため、アメリカの主張する財政出動による世界景気浮揚には基本的に賛成。また、他国への輸出のためには保護貿易が拡大することには反対である。 

結局、今回のG20は野放しの金融活動に規制を強化しようとするEU(特に仏、独)と、実態経済活動を放棄し、従来の金融活動からの上がりに依拠せざるを得ず、規制強化を嫌う米国と、臭いものには蓋をして、とにかく輸出拡大を図りたい中国との主導権争いと妥協の産物であるといえる。
妥協するに当っては、オバマがサルコジと胡首相の仲を取りもったということです [2]
EUとしても、アイルランドや、ハンガリーなど東欧諸国の国家経済破綻国への支援課題を抱えることから、IMF増資による破綻国支援を何とか実現する必要があることから、G20の決裂は避けねばならない事情もあったようです。
結局タックスヘイブンのブラックリストからは、マカオと香港は中国の同意を取り付けるため、消されたようです。
宣言では各国は協調して総額500兆円という財政出動に「合意」したとなっているが、実際はしばりのない努力目標であり、真水部分は200兆円程度と言われている。(NHK TV)
またIMFへの融資枠を現行の3倍の7500億ドルにするため、日米欧が各1000億ドル、中国も400億ドルを拠出することになった。
これで果たして世界経済は軟着陸出来るのでしょうか。
世界一をトヨタと争う米GM連邦破産法11条(日本の民事再生法に当る)の適用も秒読みに入っているとの報道もある。
既に米政府はGMに134億ドル(1.3兆円)の緊急融資を実施している。
GMにもし破産法が適用されれば、その処理費にさらに400億ドル(3.8兆円)が必要といわれる。
そうなると、中国政府の農村に対するバラマキ政策で一息つきそうな世界市場も、負の連鎖で一気に奈落の底に落ちる可能性もある。
やはりドル暴落は避けられないのだろうか。

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