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G20な国々 ロシアその②「ロシアの可能性を検証する」

今後の国際状況を占う上で、世界一の国土を持つロシアの存在は重要です。
前回のロシアの基礎情報に続き、「ロシアの可能性」を検証してみます。
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コチラ [1]からの写真です
これまで、ロシアの政治・経済状況に関して、マイナス側の観測が多かった。
例えば、こんな予測です。

■2009年は米国、中国、ロシアがズタズタになる
2009年の世界の動向を予想すると、米国内はもうズタズタになるだろう。中国も同じようにズタズタになるだろう。それから、ロシアもなると思う。
ロシアはプーチン前大統領の政治を見て、外国資本が逃げてしまうだろう。外国資本が逃げるだけではなく、ロシアの資本が外国へ出て行く。
ロシアには資本が持ち込まれなくなるから、ロシア経済は孤立して沈没する。少なくとも短期的にはそうなるはずだ。

「株式日記と経済展望」 [2]より
ところが最近はそうでもない(確信するには尚早だが・・・)
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2月までのモスクワは、「経済危機」一色だったが、2月中旬にはルーブルの下落は止まり、銀行融資は徐々に再開し、株価も上昇に転じた(それでもまだ、株価総額は上場企業手持ちの現金総額を下回るそうだ)。
これをもって「ロシア経済は底を打った」と評する専門家さえ出始めた。
トロイカ・ディアログというロシア最大の証券会社のチーフ・エコノミストであるガヴリレンコフ氏は、09年のGDP成長率はプラス3%にはなるだろう、と言いはじめた。

「資金不足に陥ったロシア経済」 [3]
金融危機の混乱からいち早く抜け出す事が出来るのでしょうか?
幾つか検証してみます。
●しばしばロシアの不安材料として上げられる対外債務はどうなるのか?
その原資となる外貨準備高は、金融ショック後も微増している(1月初旬1週間で外準は4260→4265億ドル)。これは暴落した原油価格でも黒字である事を示している。
そもそも、この対外債務は、「対外債務」とは言いながら、実はそれは他ならぬロシア人自身が海外に逃避させた資金(脱税などのために)がまたロシアに再投資されている分がかなり多いとも言われているくらいである。
●インフレは懸念材料か?
実際、この2〜3年、年間30〜40%のペースで伸びてきた輸入が急減している。
ルーブルが40%も下落したことで輸入品価格も急上昇し、輸入が止まったのだ。
この結果、必需需要を国内生産で賄う方向に動いていると考えるとインフレ下でも健全な方向に進むとも見れる。
そういえば、農業生産量も増強され安定して来ている。
「食料自立への道を探る4.ロシア、復活の兆しを見せる農業生産」 [4]
●信用不安による銀行間、銀行・企業間の金詰り、問題は?
2月中旬にはルーブルの下落が止まり、銀行は企業への融資を再開し始めた。
政府は更に公的資金の注入を考えている。クドリン財務相は2月5日ロンドンで、「ロシアの大銀行に400億ドルの資本強化を考えている。現金、株その他でこれを行う」と述べている。
金融が回り始めれば、輸出は戻らなくとも国内生産は戻り、輸入代替生産も伸びてくるとも言われている。
●「政府財政に十分の資金はあるのか?」という視点
ロシア政府が国債を大増発する以外に方法は無いのでしょうが、こんな時期に外国で捌けないので、ロシアの中央銀行が政府国債をどんどん買い上げてルーブル紙幣を大増刷するしか道はない。・・・・しかし、この手法は今や何処の国でもやっている常套手段
●インフレは?
ロシアは、1998年8月の金融破綻の際に、ルーブルは4分の1にも切り下がったものの、インフレ率は80%で済んだという実績がある。
前出の農業を始めとする、国内生産の回復などを背景に、貧困層が減少していつ今となっては致命的なインフレは起きないと考えられる。
ロシアはそもそも豊富なエネルギー資源を持ち、この間の国内生産力の回復空考えて、金融危機の混乱から抜け出すのは早そうです。
G20で、「G4」等を主導し始めているのは、このような国内事情が背景に有るのでしょう。
金融規制、国際共通通貨の提唱など、国際共認に向けて力を発揮する力を持っているロシアですが、どの様な方向を伺っているのか目が離せません。
東西冷戦以前の「ソ連の意思」や、最近のエネルギー戦略などを見ると、危なっかしい気もしますので・・・・続報を期待してください。

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