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「農協貯金」が狙われている!?

皆さん、農協貯金というのが存在するのは、ご存知でしたか?
(注意:「預金」ではなく、「貯金」です) 
 
「貯金」と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは、郵便貯金。郵政民営化で、金融監督庁の管理下に入るまでは、旧郵政省の管轄だったあれです。 
 
そ、そうなんです! 
 
農協貯金も、郵便貯金と同じように監督官庁は、金融監督庁ではなく農林水産省なのです!だから、「預金」ではなく、「貯金」なのです! 
 
農協系統のお金の元締め農林中金
 
最近の報道で、農林中央金庫がサブプライム問題で数千億円規模の多額の損失を計上し、1兆6000億円に及ぶ増資を行ったという記事が流れています。 
 
「農協貯金」の全国総元締めが、農林中央金庫です。40兆円弱の資金量を誇っています。 
 
DN21.bmp 
農林中央金庫の本店ビル/DNタワー21(第一・農中ビル) 
 
何かヤバイ臭いがプンプンしますね〜。追求していきましょう。 
 
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そもそも農協って、どのような組織なのでしょうか? 
 
農林中央金庫って聞くけど、どのような金融機関なのか?
農協と関係あるの?
都市銀行や地方銀行、信用金庫などと比べるとその資金量や規模はどうなっているのか? 
 
もっと、そもそもに立ち返っての疑問は、一般的に農業は産業として採算を取るのは非常に厳しいといわれています。だから、後継者もいないということもよく聞きます。 
 
それなのに、そのような現金収入の少ない産業専門の金融がどうして成立するのか?何か、特別な仕組みがあるのか? 
 
数回に分けて、その辺を探って行きたいと思います。 
 
農協等の組織特徴と組合員数 
 
農協のホームページによれば、リンク [1]

農協とは、正式には「農業協同組合」と呼ばれるように、農業に従事する人たちの 協同組合です。JAは日本の農業協同組合(農協)の英語「Japan Agricultural Co-operatives」の頭文字をとったものです。 1992年4月からCI活動のひとつとして、JAマークを農協の愛称として統一しました。 
 
JAは、組合員の参加と結集を基本に事業・活動を行う組織です。 
 
具体的には、農業生産に必要な肥料や農薬などの資材を共同で購入したり、米やトマトなどの 農産物を共同で販売したりしています。JAの組合員である農業者は、消費者でも あり、日常的な生活物資の提供も行っています。また貯金・貸出などの信用事業や (JA信連)、生命・建物・自動車などの共済事業(JA共済)、高齢者福祉、健康管理、 旅行(農協観光)など幅広い事業を展開しています。 
 
このような単位JAの事業を、より効率的に展開するための組織として都道府県段階に 連合会・中央会があり、中央段階にも全国連があります。

ということになっています。 
 
漁協は、全漁連のホームページによれば、リンク [2]

JF全漁連は、全国のJF(漁協)や連合会とともに、協同して組合員の漁業経営と生活を守り、そして青く美しい海と豊かな海の幸を次の世代まで受け継ぐためさまざまな活動を展開しています。よりよい地域社会を築くこと、そして組合員の経済的、社会的地位を高めることを目的としています。
 JF全漁連は、各都道府県にあるJF連合会や浜に密着した活動をしている全国の約1100あるJF(漁協)を中心に組織しています。

とあります。 
 
農協、漁協、森組それぞれの組合数と組合員の数を整理すると以下のようになります。
総合農協の組合数、組合員数、職員数の推移リンク [3]によると、平成19年3月の時点で、農協の組合数は、839組合で、組合員数は実に9,322,000人です! 
 
漁業協同組合、同連合会事業別組織状況リンク [4]によると、平成19年3月の時点で、農協の組合数は、2,891組合です。 
 
森林組合、同連合会事業別組織状況リンク [5]によると、平成19年3月の時点で、森林組合の組合数は、3,605組合で、組合員数は18,569人です。 
 
農水省関係の組合貯金が、全て集まってくる農林中金 
 
次に、農協、漁協、森林組合の“親玉”的存在の農林中央金庫について見てみましょう。 
 
ウィキペディアによると農林中央金庫 [6]

農林中央金庫(のうりんちゅうおうきんこ、英称:The Norinchukin Bank、略称「農林中金」)は、1923年に設立された農協の系統中央機関の役割を持つ金融機関であり、国内最大規模の機関投資家である。 
 
特殊法人であったが、1986年に特別民間法人となり、農林中央金庫法を根拠法とする純粋な民間金融機関となった。 
 
しかし1986年以降も理事長は歴代農水省事務次官の天下りポストになっていたり、銀行免許を持つ金融機関でありながら金融庁ではなく農林水産省の所管となっているなど、通常の民間金融機関とは異なる側面を持っている。

支店数は、日本国内に34、国外に5。従業員数は2,744人、資本金1兆4840億円、総資産68兆円を超える巨大な金融機関だったのです! 
 
そして、その歴史は、
1923年4月 「産業組合中央金庫法」(大正12年法律第42号)公布。
1923年12月 「産業組合中央金庫」の名称で営業開始。
1938年 出資団体に漁業団体が加入。
1943年 出資団体に森林組合が加入。名称を「農林中央金庫」と改める(法律名も「農林中央金庫法」と改称)。
1973年 「農水産業協同組合貯金保険法」(昭和48年法律第53号)公布、いわゆる「貯金保険機構」の設置。
1986年9月 金庫法の改正、特別民間法人になる。
2001年 農林中央金庫法の全面改正(平成13年法律第93号)、経営体制の大幅刷新。
2005年9月 2006年2月 三菱UFJフィナンシャル・グループに合計2000億円の出資。 
 
農林中央金庫が巨大な金融機関であり、日本国内最大の機関投資家であるということは解りました。 
 
他の金融機関である都市銀行や地方銀行、信用金庫などと比べるとその資金量や規模はどうなのでしょうか? 
 
金融機関別貸出金残高リンクの6頁 [7]によると。 
 
2009年2月時点で、左端の農協と信農連を足した預貯金残高は、135兆円。多少の重複があることを考慮しても都市銀行の約半分、第二地方銀行の2倍以上あり、信用金庫に匹敵する預貯金残高を誇っています。これは、すごい規模です。 
 
一方、貸出金残高は2009年2月時点で、都市銀行の6分の1、第二地方銀行の4分の3、信用金庫の実に半分しかありません。預貯金残高と正反対です。 
 
つまり、農林中金をはじめとする農協グループは、貯金は沢山たくさん集まるのに、その貯金量に比べ、貸出先が極端に少ない金融機関といえそうです。 
 
ハゲタカファンドにとって見れば、まるまると肥えた食べ甲斐のある獲物に見えたとしても何らおかしくありません。 
 
それでは、今回はこの辺りでおしまいにして、次回以降、損失の詳細や構造を見ていきましょう。 
 

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