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政府紙幣発行の可能性を探る〜金利の仕組み〜

日銀券(お札)の発行過程を辿ると、国家が国債を発行し、銀行等金融機関(日銀含む)に買い取らせることで、国家に金利負担が発生していることが分かる。
しかし、国が直接発行する政府紙幣を考えると、国自らがお札を作るため、そもそも金を借りる必要がなくなる。
すると、今まで当り前のように存在していた「金利」という概念はいずれ消滅の過程を辿るのではないだろうか?
そこで、国家紙幣発行後の金融システムを考えるにあたり、まずは現状の金利の仕組みを押さえ直してみたいと思う。特に、日銀の金融政策は社会的に大きな影響度を与えることから、日銀と金利との関係性に着目することとする。
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かつては良く耳にした「公定歩合」という言葉を、最近聞かなくなったのではないだろうか?
※参考記事 [1]
公定歩合とは、日銀が銀行に資金を貸し出す際に課す金利のことで、これが日本の金利動向に非常に大きな影響力を誇っていた。
1994年の9月までは銀行金利は国によって規制されていた ため、公定歩合を上げ下げすれば、それに応じて銀行金利も連動するという形で金融政策が保たれた。
具体的には、市中の金利は、公定歩合に銀行の利益分が加算されて決定されることになる。
つまり、市中金利は日銀のほぼ完全なコントロール下にあったと言える。

ところが、前述したとおり1994年9月に預金金利が完全に自由化されたことを契機として、銀行は日銀からの金利規制から開放されることになった。
銀行同士が自由に競争し、市中金利を決めてもよいということになる。
すると、今まで市中金利の基準となっていた公定歩合の役割が変化し、代わりに銀行同士が日々貸し借りを行なっている短期金融市場(中でも最も取引量が多く、最も低い金利である「無担保コール市場翌日物」の金利が、市中金利に大きな影響を与えるようになる。
具体的には、市中の金利は、無担保コール市場翌日物の金利に、銀行の利益分が加算されて決定される。
逆にかつて最も低い金利だった公定歩合は、無担保コール市場翌日物金利にその位置を譲る。(転換点は1995年。公定歩合が0.5%で据え置かれている間に、無担保コール市場翌日物金利が追い抜いた)
今の公定歩合はどういう位置付けか?
銀行の立場で考えてみると、無担保コール市場翌日物で調達する金利が最も安いのだが、ときに自らの信用不安が起こるなどして、無担保コール市場で「貸してくれない」or「高い金利でしか貸してくれない」という状況に陥った場合は、金融システムが混乱してしまうことになる。
そこで、担保さえ出せば日銀が必ずお金を貸す、その場合に用いる金利が公定歩合という役割に留まることとなった。それは、公定歩合が金利の下限→上限の役割へ転換したことを意味する。
纏めると、市中金利は銀行間同士が自由に貸し借りを行なう短期金融市場の動向に左右される形となり、日銀の金利に対するコントロール力が低下したと言うことができる。
金利の自由化によって、金利に対する日銀の影響力が下がる形になった背景には一体何があるだろうか?
〜続く〜

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