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政府紙幣の追求によって見えてきた「貨幣システム」の問題性

CA8904NQ.jpg [1] 日銀の弱体化 [2]政府紙幣シリーズ [3]を通して、今後の追求ポイントが見えてきましたので、これまでの流れを今一度整理してみます。
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未曾有の経済危機に直面し、中央銀行である日銀はこの事態に対処しようと積極的な政策に出た。
しかし、いくら政策金利を下げ、公開市場操作をしたとしても、肝心の銀行が必要な貸し出しを行わないため、景気は浮上しないままである。
もはや日銀の打ち出す金融政策が、市場で機能しないことが明らかになっている。
一方で、日本の豊かさ実現以降、縮小する市場をムリヤリ拡大させるために、国家が借金してきた額は地方債含めて900兆円に上る。金利負担だけでも30年間で実に275.3兆円もの負担を強いられているのだ。
そこで私達は、既に金融調整能力を失いつつある日銀と、国家に借金が生まれるシステム=中央銀行制度に問題意識を持ち、であれば、日銀を無用化し、政府(国家)自ら通貨を発行すれば良いのではないか?と考え、「政府紙幣」を追求することにした。
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※写真はsemiconductor INTERNATIONAL [4]からお借りしています。


◇政府紙幣を発行すればどうなる?
「序 政府紙幣が発行されると、何が変わる?」 [5]でも触れたように、実際に政府紙幣を発行する場合、様々なメリット、デメリットが考えられる。
その中でも、国の借金をゼロにできるというのは、インフレ懸念は残るものの、政府紙幣が持つ大きな可能性の一つだと考えられる。
しかし、これを実現する為には、政府紙幣の発行によって、現在の金融システムがどうなるのか?も同時に考える必要がある。そこで私達は、現在の「金利制度」「為替制度」に着目した。
◇発見!「金が金を生み出す」金貸しにとって都合の良いシステム
現在の金利制度や為替制度を調査していくと、それらが持つ構造的な特徴が浮かび上がってきた。

金利差を利用して二重に儲かる仕組み
「金利差を利用した儲けの手口」より [6]

為替変動を考える上でまず知っておくべきことは、この実需取引の割合が全為替取引の数%しかなことです。残り90%以上の為替取引は、国際資本取引によって行われます。
「通貨は投資家が決める」より [7]

後進国が固定相場制になると、他国の価値の高い通貨高に固定するので、実態以上に自国通貨高となる。そうすると、貿易に不利になり、輸出▼輸入△になってしまうので、貿易赤字は膨らみ、国内産業は衰退し、外貨準備高も底をつきてしまう。最終的にはIMFの支援を受ける代わりに、金貸し達の儲けにつながるような規制緩和、民営化、経済と金融の対外開放を迫る。
「為替で儲ける仕組み〜固定相場編〜」より [8]

上記のような「金が金を生み出すことのできる金融システム」は、莫大な金を持つ者=金貸しが支配しやすく、非常に都合の良いシステムになっていることが明らかになった。
◇金貸し支配によって私達が受ける影響とは?
元を辿れば、今回の未曾有の金融危機も、莫大な資産を持つ金貸しによって、上記のような金融システムを利用したマネーゲームによって引き起こされた。それに伴い企業の倒産や雇用不安が増加し、私達の生活不安は日に日に増している。
こうした状況変化は、生活者の意思とは異なり、彼ら金貸しが巨額な金を右から左に動かすだけで、金利や為替、株価が変動することで生まれている。
失業や雇用不安は、生活者から「お金」を得る機会と「お金」そのものを奪っていくのだ。
◇なぜ金が金を生み出すことができるのか?その原因構造は?
金貸し支配によって私達の生活が脅かされている。その大元は、金が金を生み出すシステムであると気付いたが、「シルビオ・ゲゼル」という経済学者は、同じ視点を持ち、さらに深く問題性を明らかにしていた。
ゲゼルはより深い位相で、原因構造=貨幣そのものが持つ特殊性について追求(実験)している。
ゲゼルは貨幣が持つ問題性について、大きく次の2点を指摘している。
・価値が劣化、陳腐化しない=蓄財が可能
・いつでも、どこでも、何にでも交換可能=高い流動性

この貨幣の特徴が、金貸しに特権を与える=「お金」の利用料を利子で支払う、ことを突き止めている。

歴史的な変遷で、お金は大きく偏在します。「お金」を持たざるものにとって、「お金」は常に不足します。生活者は「お金」を利用するためには、資本家から「お金」を借り、その利用料として利子を払います。借りた「お金」は利子を返済することを目的に、利潤を求めてのみ移動します。
結果、「お金」の利用は利子分の経済成長を前提にし、成長の原資として生活者又は労働者から労働力又は資本を搾取します。7月16日「貨幣の問題性 シルビオゲゼル①」より [9]

◇本丸は「貨幣システム」そのものの問題性に有り!?
仮に前段に挙げた、中央銀行制度を解体して政府紙幣を発行したとしても、結局は「お金」の特殊性は変わらない。それでは、金貸し支配を崩す抜本的な解決策にはなり得ない。
とすれば、今後金貸し支配の問題性を探っていく際に、「金貸しに代わり、誰が紙幣を発行するのか?」という位相の問題ではなく、より本質的な「貨幣システム」そのものの問題性に切り込んでいく必要がある。
ゲゼルは、特に貨幣の問題性にある「蓄財が可能」な点に着目し、「減価する貨幣」という方針を導き出すに至っている。

減価することで、これまで価値が普遍だった「お金」が、蓄財すればするほど損をするようになる。
すると、人々は蓄財による損を防ぐために「お金」を使うようになり「お金」は循環する。
「お金」が循環することで、「お金」は資本家の絶対支配から民主化されていく。
「お金」の発行は公共機関が担い、インフラ整備同様、税収によって管理する。
「貨幣の問題性 シルビオ・ゲゼル②」より [10]

なるほど。お金は持ってるだけで減価することはあっても、膨張していくことはないのだ。
「減価する貨幣」が導入された経済システムは、現在のものとはまったく違ったものが想像される。
今後は、ゲゼルを中心に、減価する貨幣を導入した場合の実現イメージを追求していくことにする。
続きをお楽しみに!!

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