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米国債の海外保有状況〜1年で保有額を4倍にまで引き上げた国家とは?〜

「米国債海外保有残高」 [1]の最新データ(平成21年6月)をもとに、各国の動向を整理してみます。
まず、直近1年分をもとに見ていくと、6月時点で海外諸国が保有する米国債は3兆3,824億ドルに上り、過去1年ベースで見ると7952億ドルの増加。1年間で約25%増えている計算になる。
ちなみに、2009年6月時点での米国債発行総額は約11兆5,452億ドル。海外保有額は実に30%弱占めています。約5%弱の海外保有の日本国債と比較すると(国債800兆円の内、2009年3月時点で約43兆円が海外保有額)、いかにアメリカが国債消化を海外に頼っているかが分かる。
次に順位を見ると、ご存知の通り、1位が中国。2位が日本。
両者は2008年9月に順位が入れ替わっています。
では、中国・日本を含めて、海外保有の中で占める各国の割合はいかほどか?グラフに纏めてみました。
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海外保有額の内、1位の中国と2位の日本を併せて、実に約40%強を占めている。
そして、保有額トップの中国は、ここ最近、アメリカに揺さぶりをかける動きが顕著になってきている。
NIKKEI NET6月1日「ガイトナー長官、米国債購入継続を期待 中国副首相と会談」 [3]
メディアジャム7月28日「米中関係を最重要視 初の戦略・経済対話開幕」 [4]
今日も、アメリカの中国大使よりオバマ大統領が11月中旬に訪中することが発表されている。
ロイター通信8月23日 [5]
中国が米国債の最大の買手になる立場を利用しての揺さぶりと思われるが、直近1年の増減を纏めたグラフを見ると、その背景が分かり易い。
※グラフは、2008年6月時点をゼロとし、2009年6月までに国債購入の増減を纏めました。
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5月始めころから、ガイトナー財務長官を初めとする米国主要閣僚が中国に渡っているが、この慌しい動きは、FRBが国債の直接買取りを実行した3月以降のタイミングと一致する。FRBの直接買入れ(今年10末で終了予定)は、米国債の消化に行き詰ったことを意味するが、最大顧客の中国が、1年スパンでは買い増し傾向とはいえ、3月以降になって売りと買いを頻繁に繰り返している。
中央銀行が直接国債を買い入れるという異例の対策を採る中で、中国の行動は、アメリカとしては気が気ではない。かといって、大量の米国債を抱える中国としても、米国債暴落は国家の死活問題に直結するため、迂闊に踏み込めない問題であることは確か。中国が主導権を握りつつ、米中関係が急接近している状況と言えるだろう。
そして、もう一つ着目すべきポイントがある。
イギリスが急に米国債を買いに入っている点だ。 🙄
2008年6月時点では550億ドルだったものが、2009年6月時点で2140億ドル。
なんと、たった1年で約4倍も保有額を増やしている!
この動きは一体何を示しているのだろうか?
マスコミからの積極的な報道は見受けられないが、米国の女房役として買い支えに回っているのか?または、暴落を予測して一気に売り浴びせて儲けを狙っているのか?
直近の6月では、中国が大きく売り越し。
それを、日英が買い支えているようにも見える。
米国債の動向を探るにあたり、中国以外に、イギリスの動きには今後特に注視していく必要がある。

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